インド神話に出現するもっとも有名な猿族 (ブァナラ) が 「ハヌマン (Hanumaan)」 という。ハヌマンは、風神ブァーユの化身とされ、したがって空も飛ぶ事ができる。
そんなハヌマンの別名の一つが 「マルティー(Maruti)」 なのだ。
同じ 「Maruti」 という単語が、インド大手の自動車メーカー 「Maruti Suzuki India Limited」 の名称に含まれている。その会社は、元々はインド政府と日本のスズキ社が1981年に合弁会社として設立され、現在はスズキ社の乗用車生産販売子会社となっている。
俗にいう Maruti Suzuki 社がインドで最初に販売したのは Maruti 800 という車種だった。その車が1980年代のインド国内で小型車市場を事実上独占した。既に生産が終了しているが、Maruti 800 は現在の自動車ブームの先駆けとなったことは間違いない。
そんな往年の名車 Maruti 800 が今にわかに再注目されている。
最近、インドで開催された航空ショー 「エアロインディア2011」 で、世界最新鋭の戦闘機たちの間になぜか1台の Maruti 800 が展示されていたという。
で、良く見ると (パッと見でも良いけど) 、車体上の四隅に4枚の回転する翼が付いているじゃありませんか、みなさん。さらに、4つのタイヤ部分にフードが付いているじゃありませんか、みなさん。
これが 「フライング・マルティー※ (Flying Maruti)」 という名の空飛ぶ車。
※ちなみに、「Maruti」 のカタカナ表記を 「マルティー」 とすべきだ。当然、「Flying Maruti」 は 「フライング・マルティー」 だ。 「フライング・マルチ」 はおかしい。
ある一個人が16年間研究に研究を重ねて Flying Maruti を作り上げたという。車の構造については企業秘密のため明らかにできないようだが、 開発者によると 「車に関係する250万種類の形状と物体を研究し、複雑な理論を通じて、垂直上昇能力を車に与えることができた」 とか。
大渋滞にはまる度に車に乗ったことを後悔するインドの道路事情。そんなときに、空中に垂直上昇し、渋滞の上空を飛ぶことなんかできれば言うことない※。
※でも、みんなが Flying Maruti に乗っていて上空で渋滞したらどうなるって?? そんなの知らんがなぁ~
しかし、だ。
Flying Maruti に対してまだ一度もテスト飛行が行われていないという。
うん? 航空ショーに展示されていたにも関わらずまだ飛行していない?
どうもそのようだ。
神話の世界では、風神の化身だった猿族の Maruti が自由に空を飛ぶことができたという。はたして、現世では Flying Maruti が風神の化身になりうるのか。
見ものだ。