今年もあと数時間を残すのみとなりました。
バルザックがその著書「ランジェ侯爵夫人」を献呈したフランツ・リストの生誕二百年でもあった2011年は東日本大震災でコンサートを延期したり、バンコクでのコンサートは洪水で開催が危ぶまれました。けれども、終わってみれば全てのコンサートは無事に終了し、たくさんのお客様に2台のピアノが織りなす音楽を心行くまで楽しんでいただけたようです。このような大災害の起きた年に演奏活動が滞らなかったことは幸運でした。リストの作品を取りげたコンサートも4回に及びました。
バンコクのコンサートを収録したDVDを演奏した作品の作曲家やそのご家族にお送りしましたが、こちらが驚くくらいの反響があり、「とても楽しみました」「是非ライブで聴いてみたい」とか「はやく私の国で演奏会を開いてください」といった言葉を添えてメールや写真が世界中から届いています。
そんな中に悲しいお知らせも届いてしまいました。菅原明朗先生のご令嬢の北島明美さんが今年8月にお亡くなりになったことが、先生の御令孫からのご連絡で分かりました。2007年2月4日の私達のコンサート「赤い絨緞の想い出~ソ連時代の2台ピアノ作品」に明美さんとご一緒にいらした想い出も書かれたお葉書でした。北島明美さんはご高齢ではありましたが、今年の年賀状はいただいていたので非常に悲しいお知らせでした。折に触れコンサートのcd-rやDVDをお送りすると、「とても楽しく聴かせていただいています」と必ずお返事が届いていました。心よりご冥福をお祈りいたします。
今年も様々な国からたくさんの2台ピアノ作品が届きました。シュミットの連弾楽譜出版に関連して、金澤 攝先生や井上二葉先生と交流が出来たことも特筆すべきでしょう。また、チェコの女性作曲家の作品を集めた9月11日の「プラハ音楽だより」は後年になっても尽きることなく語ることのできる出色の企画だったと思います。
ピアノ連弾や2台ピアノの織りなす音楽の世界の深さにただ驚くばかりです。歴史に残る2011年という年を無事に生き延びたことで、2012年に更なる作品群との邂逅を体験できることを嬉しく思います。会場に来てくださったみなさん、このブログをお読みになっている皆さんに感謝いたします。ありがとうございました。新しい年も音楽にきちんと向き合い、真摯に作品と取り組む人々が正しく評価される音楽界であってほしいと思います。どうぞみなさん良いお年をお迎えください。
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