2月19日の土曜日、第130回となる「フレンチ・クラシック・レアリティーズ」を無事に開催しました。フランス革命の時代を生きた作曲家たちの華やかな宮廷音楽を2台のピアノでお届けしました。
プログラムより
第 一 部
1. ジャン=ピエール・バウア
JEAN–PIERRE BAUR [1715-?]
ハープとチェンバロのための2つのソナタ
TWO SONATAS FOR HARP & CEMBALO
ソナタ 変ロ長調 作品8-3
SONATA IN B FLAT MAJOR OP.8–3
I. ALLEGRO
II. ANDANTE
III. TEMPO DI MINUETTO
ソナタ 変ロ長調 作品8-4
SONATA IN B FLAT MAJOR OP.8–4
I. ALLEGRO
II. ANDANTE
III. TEMPO DI GAVOTA (RONDEAU)
ブルボン王朝の末期から,大革命を経て,王政復古期までのフランス音楽の器楽の名品をご紹介します.激動の時代,人々の心を和ませてきた爽やかな楽曲の数々は,二百年の時を超えて現代の私たちの耳にも新鮮に響くことでしょう.コンサートは,まだ王侯貴族たちが太平の世を謳歌していた時代の典雅な音楽で幕を開けます.バウアは当時の上流社会で人気を博したハーピストで,このソナタはブルボン家の公妃に献呈されました.瀟洒で洗練された独特の味わいを持つ名品です.
2. ブノワ・ポレ
BENOIT POLLET [1753-1823]
二重奏曲 第1番 変ホ長調
DUO NO.1 IN E FLAT MAJOR
I. ALLEGRO MODERATO
II. RONDO (ALLEGRETTO)
ブノワ・ポレは,ジャン=バチスト・クルムフォルツの弟子で,美しいハープ曲やギター曲を多く書き残しました.ポレの娘のマリー=ニコル・シモナンはナポレオンのジョゼフィーヌ皇后つきのハーピストとなりました.ここでご紹介する二重奏曲は,新しい時代の到来をことほぐような華やぎがあります.
第 二 部
3. グザヴィエ・デザルグ
XAVIER DESARGUS [1768-1832]
「月明かりに」による幻想曲
FANTASY ON THE AIR “AU CLAIR DE LA LUNE”
19世紀の前半にハーピストとして活躍したデザルグがハイドンから主題をとって変奏を加えた曲は,後世の名ハーピスト,マルセル・グランジャニーに大きな影響と霊感を与え,その結実としてグランジャニーは傑作「ハイドンの主題による幻想曲(作品31)」を手がけることとなりました.このエピソードからも,デザルグが確固とした手腕を持った第一級の作曲家であったことがわかります.ここでは,有名な古謡が多彩に変容されますが,ロマンティックで爽やかな味わいの一篇に仕上がっています.
4. ギヨーム・ガテ
GUILLAUME GATAYES [1774-1846]
クルムフォルツのソナタによる2つの二重奏曲
TWO SONATAS BY KRUMPHOLTZ ARRANGED FOR DUOS
ソナタ ヘ長調
SONATA IN F MAJOR
I. ALLEGRETTO
II. ANDANTE
III. ALLEGRO SCHERZO
ソナタ ハ長調
SONATA IN C MAJOR
I. ALLEGRETTO
II. ANDANTE
III. SCHERZO (ALLEGRETTO)
ジャン=バチスト・クルムフォルツは,古典期のフランスを代表するハープの名手で,フランス大革命の翌年に妻の不貞に絶望するあまりセーヌ川に投身して果てた悲劇の人でもありました.ギヨーム・ガテはギターとハープの名手として活躍した人ですが,クルムフォルツの音楽に深い愛着を持ち,素晴らしい手腕で二重奏用に編作しました.平明な中に憂愁と悲哀を加え,ただ一つの和音であざやかに光と影を転換させる手法は,クルムフォルツが得意としたものです.ガテは原作の本質をふまえ,2台の楽器でしか表現し得ない深みを与え,偉大な音楽家に捧げるオマージュとしています.
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