京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「ネコっかぶりの時間」

2023-01-08 08:51:40 | 時計修理

朝から食欲もりもりの花。庭に散歩へ出かける前にお腹いっぱいにして元気にお出かけします。以前、地域ネコ用にご飯を出している家庭で食べていたようで一日のカリカリ量が残ったので花が食べた分、地域ネコちゃんの食事が減るようなら申し訳ない。たっぷり食べた後、外へ出します。花は見た目は乱暴ネコのようですがビビリ、毎朝扉を開けて送り出すとき「おとうちゃん出掛けていいの?」振り返る花を見送るのです。今日1月8日は一か八かの勝負の日。迷子用電話番号と名前を書いた首輪をつけて花を送り出す私は「今日も元気にもどってきてね~こ」毎日賭け事のような気分です。

時計業界は残念ながら惨敗の量販期だったようです。頼みの中国人のインバウンドもコロナ禍で見送り、12月は祝日も消えてなんとなく年末なのかぁ~?あっという間にクリスマスも終わりました。欧米の来日客が増えても時計には見向きもしない。ロレックス、カルティエ、セイコー、シチズンなど自国でそれぞれ買うほうが安いのだから日本国内で買うはずが無い。フランス人は時計嫌い!旅先まで時計をつけるなんて!店内に欧米客が来ると窃盗団か冷やかしなのだからベテラン販売員は接客に入ることは無い。

「負けた負けたぁ~!春からすっからかんやぁ~」工房に来るのは「仲間修理」若い職人さんが一か八かチャレンジした結果、見事にバラバラになって届きます。バラバラの状態でメーカーへ送ると門前払いか修理どころか新品並みの見積が来るので完成品に近い状態まで持ってくるお仕事です。年末年始にはこんな仕事が多い。

ローターなど付けなくてもいい箇所に大量に注油するものだから寒くなると硬くなってしまう。ロレックスのガンギクルマのホゾなどへの注油はしないなど修理マニュアルにしっかり書いてあるのにやらかしてしまう心理が悲しい、さらにクオーツ時計の場合夜間零度以下の環境では電池の電圧も下がり止まる。これを故障だと勘違いするユーザーは多くこんな修理依頼にいざ時計を開けてみてどこも異常が無いのであせります。

失敗時計師の私が大きなトイレットペーパー、救いの紙といわれる季節がやってきました。一番困るのは臆病風に吹かれてそのままメーカーへ送ってしまうことでしょう。学習機会をなくし、さらにお客様には費用負担がかかります。最近「ネコっかぶりの時間」失敗を許さない社会になってきました。経費節約のため非正規社員ばかりになった修理部門「一か八か、のるかそるか」の勇気も持ちにくい時代でしょう。私の場合やるなといわれてやってしまう数々の失敗にネコっかぶりが得意でした。いつかはその後始末の時間が必ず来る、神様からを試されている瞬間というものがある、その償いをさせてもらう時間も来る。勇気を出してウラブタにこじあけを差し込みましょうね~。

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