3/15・ＯＫ、アンドリュー・ジャクソン

3月15日は、紀元前44年のこの日、ローマの独裁官ユリウス・カエサルが「ブルータス、お前もか」と叫んで殺された日だが、合衆国第７代大統領、アンドリュー・ジャクソンが生まれた日でもある。
自分はこの大統領の名前を中学一年生のころから知っていた。当時の担任の教師が、あるときの授業中、こう教えてくれたからである。
「ＯＫという英語は、もともと、ジャクソンというアメリカの大統領が、書類などに、All Correct と書くところを、Oll Korrect とまちがえて書いたのがはじまりなんだよ」

アンドリュー・ジャクソンは、1767年、米国のノースカロライナとサウスカロライナの州境で生まれた。両親はアイルランドからの移民で、アンドリューの上には、アイルランドで誕生した兄が二人いた。父親は、アンドリューが誕生する前に事故で死亡していた。
1775年、アンドリューが8歳のとき、アメリカ独立戦争がはじまった。兄たちは出征したが、長兄は戦争のなかで高熱をだし死亡。
13歳のとき、アンドリューは軍に志願して加わったが、戦いのなか、彼は次兄とともに英国軍につかまり、捕虜となってしまった。囚人となったアンドリューは、あるとき英国軍の兵士からブーツをみがくよう命令され、これを拒否した。すると剣で頭と左手を斬り付けられ、ジャクソンは負傷した。一命はとりとめたが、この頭と手の傷は生涯消えずに残った。
同じく捕虜だった次兄は、病気で亡くなり、息子たちの看護に駆けつけた母親も天然痘で亡くなり、アンドリュー・ジャクソンは14歳にして天涯孤独の身となった。家族の不幸の責任はすべて英国にあるとして、彼は強い反英感情を抱いた。
その後、職人、学校の教員などをへて、弁護士となったジャクソンは、西部開拓時代の荒くれ者の多い土地で、土地をめぐる争いやけんか沙汰をあつかってのし上がり、法務官となり、29歳でテネシー州の下院議員、30歳のとき、上院議員、31歳の年には、テネシー州検事総長の職に就いた。
34歳の年に、ジャクソンはテネシー州市民軍の指揮官となり、以後、長年にわたってネイティブ・アメリカン(アメリカン・インディアン)を攻撃する指揮をとった。デヴィー・クロケットも彼の指揮下で戦ったことがあるという。
1812年、45歳のときに米英戦争が勃発。英国に味方するネイティブ・アメリカン、クリーク族を討伐し、1815年には、ニューオリンズ郊外の戦いで英国軍を破り、ジャクソンは一躍国民的英雄となった。
1828年の大統領選で当選。貴族出身でない最初の大統領だった。
プライベートでは彼は、情熱家の愛妻家で、離婚歴のある妻を侮辱する者があると、決闘を申し込み、ジャクソンは何度も決闘した。一度は相手を殺し、ジャクソンのからだにも銃の弾が残った。肺に入った、心臓に近いため取りだせない弾のため、彼はときどき喀血したり、けいれんを起こしたりしたという。
大統領選挙中に、敵陣営がジャクソン夫人を中傷していたのを知ったショックで、夫が当選した2週間後に、夫人は心臓発作で亡くなった。
大統領に就任したアンドリュー・ジャクソンは、ホワイトハウスを庶民に開放したり、食べ物を提供したり、庶民の味方であることを強く打ちだした。が、それはあくまでも白人の庶民に対してであって、ネイティブ・アメリカンや黒人に対しては正反対だった。ジャクソンは、きびしい人種差別主義者だった。
また、大統領としては、南部出身者らしい「州権主義者」で、連邦政府が権力を掌握するのでなく、なるたけ各州が権限をにぎり、国はその連合であるべきだとして小さな政府を目指した。大統領職は、二期8年務めた。
晩年は、テネシー州ナッシュヴィル郊外にある自宅ですごした。1845年6月、その自宅にて没。78歳だった。

フリーメイソンの一員だったというアンドリュー・ジャクソンは、米国の20ドル紙幣の肖像となっていて、自分も持っている。顔が細長く、あごが長い。体重は60数キログラムと軽かったが、身長は185センチメートルの大男だったそうだ。
善きにつけ悪しきにつけ、北米大陸の戦争時代、西部開拓時代のアメリカを象徴する強烈な個性だったと思う。

中学時代の教師は、
「ＯＫ は大統領がまちがえて書いたもの」
と言っていたが、さすがにそうではなく、厳密にはこういうのが正しいだろう。
「大統領は発音通りに書いた」
ただし、「ＯＫ」の由来は、ほかにもいくつか諸説があって、ジャクソン大統領起源説はそのひとつらしい。
(2013年3月15日)


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