9月11日といえば、2001年に米国で同時多発テロが起き、世界史の大きな転換点となった「911」の日だが、英国の作家D・H・ロレンスの誕生日でもある。
デーヴィッド・ハーバート・ロレンスは、1885年、英国イングランドのノッティンガムシャー州イーストウッドで生まれた。父親は炭鉱夫で、母親は学校教師だった。
デーヴィッドは州都ノッティンガムの高校を出ると、16歳でいったん会社勤めをしたが、肺炎を起こしてすぐに退社した。その療養のときに読書家の友人と知り合い、舞楽に親しむようになった。
17歳のころから小学校の代用教員を勤めた後、ノッティンガム大学に入学して、教員免許をとり、小学校の教師となった。
教師をしながら、詩や小説を書き、22歳のとき、地元新聞の短編小説コンテストに入賞し、23歳からはロンドンへ引っ越して、学校教師を続けながら小説を書き、しだいに作家として認められるようになった。
27歳のとき、ノッティンガム大学時代の恩師の家を訪ねて、恩師の奥さんと恋に落ちた。二人は駆け落ち、手に手をとってドイツ、スイスへと逃避行に出た。
その後、相手は恩師と離婚し、ロレンスが28歳のときに正式に結婚した。
愛と性を描く作家として有名になったロレンスは、米国やイタリアで暮らした後、結核のためフランスのヴァンスのサナトリウムに入り、その地で1930年3月に没した。44歳の若さだった。
小説作品に『息子と恋人』『恋する女たち』『チャタレイ夫人の恋人』などがある。
『チャタレイ夫人の恋人』の邦訳は、日本ではわいせつ裁判が開かれ発禁処分を受けた。
『チャタレイ夫人の恋人』は拙著『名作英語の名文句』でもとり上げた。
米国作家ヘンリー・ミラーは『ロレンス論』のなかで言っている。
「ロレンスの生と作品とは、生きている死から脱出するための試みに集約されている」
「(ロレンスは)近代作家たちの中にあってもっともいきいきとしていて、また最も精気にあふれている」(いずれも宮本陽吉訳「ロレンス論」『ヘリー・ミラー全集12』新潮社)
ミラーこそ生き生きとしていることを最重要課題とした作家で、そういう感じは、なんとなくわかる。
ロレンスは亡くなる3年前に、イタリア中部のエトルリアの遺跡へ研究旅行にいっている。そのときの記録が『エトルリアの遺跡』という紀行文で、愛読書である。タブーを書いた作家のためか、ロレンスは英国でもそうとう官憲にいじめられたようだが、イタリアでも当局側によるいやがらせじみた扱いを受け、不平たらたらに書いてあるのがとてもおもしろい。彼の紀行文の文章は、きらきらと輝きを放っている。
(2024年9月11日)
●おすすめの電子書籍!
『ここだけは原文で読みたい! 名作英語の名文句』(越智道雄選、金原義明著)
「チャタレイ夫人の恋人」「風と共に去りぬ」から「ハリー・ポッター」まで、英語の名作の名文句(英文)を解説、英語ワンポイン・レッスンを添えた新読書ガイド。
●電子書籍は明鏡舎。
https://www.meikyosha.jp
デーヴィッド・ハーバート・ロレンスは、1885年、英国イングランドのノッティンガムシャー州イーストウッドで生まれた。父親は炭鉱夫で、母親は学校教師だった。
デーヴィッドは州都ノッティンガムの高校を出ると、16歳でいったん会社勤めをしたが、肺炎を起こしてすぐに退社した。その療養のときに読書家の友人と知り合い、舞楽に親しむようになった。
17歳のころから小学校の代用教員を勤めた後、ノッティンガム大学に入学して、教員免許をとり、小学校の教師となった。
教師をしながら、詩や小説を書き、22歳のとき、地元新聞の短編小説コンテストに入賞し、23歳からはロンドンへ引っ越して、学校教師を続けながら小説を書き、しだいに作家として認められるようになった。
27歳のとき、ノッティンガム大学時代の恩師の家を訪ねて、恩師の奥さんと恋に落ちた。二人は駆け落ち、手に手をとってドイツ、スイスへと逃避行に出た。
その後、相手は恩師と離婚し、ロレンスが28歳のときに正式に結婚した。
愛と性を描く作家として有名になったロレンスは、米国やイタリアで暮らした後、結核のためフランスのヴァンスのサナトリウムに入り、その地で1930年3月に没した。44歳の若さだった。
小説作品に『息子と恋人』『恋する女たち』『チャタレイ夫人の恋人』などがある。
『チャタレイ夫人の恋人』の邦訳は、日本ではわいせつ裁判が開かれ発禁処分を受けた。
『チャタレイ夫人の恋人』は拙著『名作英語の名文句』でもとり上げた。
米国作家ヘンリー・ミラーは『ロレンス論』のなかで言っている。
「ロレンスの生と作品とは、生きている死から脱出するための試みに集約されている」
「(ロレンスは)近代作家たちの中にあってもっともいきいきとしていて、また最も精気にあふれている」(いずれも宮本陽吉訳「ロレンス論」『ヘリー・ミラー全集12』新潮社)
ミラーこそ生き生きとしていることを最重要課題とした作家で、そういう感じは、なんとなくわかる。
ロレンスは亡くなる3年前に、イタリア中部のエトルリアの遺跡へ研究旅行にいっている。そのときの記録が『エトルリアの遺跡』という紀行文で、愛読書である。タブーを書いた作家のためか、ロレンスは英国でもそうとう官憲にいじめられたようだが、イタリアでも当局側によるいやがらせじみた扱いを受け、不平たらたらに書いてあるのがとてもおもしろい。彼の紀行文の文章は、きらきらと輝きを放っている。
(2024年9月11日)
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