1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

1月5日・宮崎駿の指摘

2020-01-05 | 映画
1月5日は、語呂合わせで「囲碁の日」。この日は、文豪、夏目漱石が生まれた日(慶応3年)だが、マンガ家でアニメ映画監督の宮崎駿(みやざきはやお)の誕生日でもある。

宮崎駿は、1941年、東京で生まれた。父親は飛行機部品を作る会社の経営者で、駿は4人きょうだいの上から2番目だった。
小さいころから絵が上手だった彼は、学習院大学の政経学部に進み、マンガを描いていた。同大では後に政治家になる麻生太郎と同期だったという。
大学を卒業した22歳のとき、アニメーション映画の制作会社に入社。以後、同社で、また転職先で一貫してアニメーション制作にかかわりつづけた。
33歳のとき、テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」の全カットのレイアウトを担当。
37歳のとき、テレビアニメ「未来少年コナン」を演出、監督。
38歳で、アニメ長編映画「ルパン三世 カリオストロの城」を監督。
そして41歳のとき、雑誌に「風の谷のナウシカ」の連載をはじめ、この壮大なマンガ作品の一部を映画化したアニメ作品「風の谷のナウシカ」を43歳で発表。
44歳のとき、スタジオジブリを設立し、以後「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「風立ちぬ」などの名作アニメ映画を監督し、世界的な巨匠となった。

はじめて見た宮崎アニメは「未来少年コナン」で、あのふんわりと宙に浮かぶ映像感覚の新しさに驚かされた。
映画「風の谷のナウシカ」には圧倒された。緻密でやわらかな画風、エンジン付きグライダーで空中を自在に飛ぶ王女さまという人物造形、全体を貫く大きな自然観、ギリシア神話などヨーロッパの伝説を取り入れた黙示録的世界観、しかし終末を乗り越えたところに希望があるという、けっして暗く終わらせない結末、と、ほんとうに感服した。
マンガ本の「風の谷のナウシカ」のほうがもっとすごいけれど、映画版「風の谷のナウシカ」はやはり偉大な作品である。宮崎アニメというと、どれも傑作なので、
「やっぱりトトロ」
「千と千尋が最高」
「宅急便がおしゃれ」
などと、ベスト作品は好みにより分かれるけれど、やはり「ナウシカ」は忘れられない。

2013年の「風立ちぬ」を最後に、もう長編アメニは作らないと宣言した宮崎監督だが、君子豹変してすでに彼は次作を準備している。現在日本は急速に右傾化、軍国主義化しているから、宮崎監督は、やむにやまれず腰を上げて、反戦色の濃い作品を作るのではないか、と予想しているが、どうだろうか。

宮崎監督はどこかでこういう意味のことを発言していた。
「日本人は個人としては温かく人間的だが、集団になると冷酷なことを平気でおこなう」
これほど正確な日本人の描写をほかに知らない。
(2020年1月5日)



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