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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

9月20日・ソフィア・ローレンの日常感

2018-09-20 | 映画
9月20日は、米作家アプトン・シンクレアが生まれた日(1878年)だが、イタリアの映画女優ソフィア・ローレンの誕生日でもある。

ソフィア・ローレンは、1934年、イタリアのローマで生まれた。本名はソフィア・ヴィラーニ・シコローネ。父親は建築技術者で、母親は女優志望のピアノ教師だった。彼女とのあいだにソフィアと妹アンナ・マリアと二人も子どもをもうけながら、父親が入籍を拒んだため、ソフィアたち母子はローマの南、ポッツォーリの街にある祖母の家に身を寄せた。
ポッツォーリは軍需物資が行き来する港湾の街で、第二次世界大戦時には空襲の標的になった。ある日の空襲の際、爆弾の破片でソフィアはあごを負傷した。これをきっかけに、彼女ら一家は遠い親戚を頼ってすこし西へ入ったナポリへ疎開していった。
戦後、一家はポッツォーリにもどり、祖母はそこで自家製のサクランボ酒を飲ませるパブを開いた。母親がピアノを弾き、妹が歌い、ソフィアは給仕と皿洗いをした。
14歳のとき、ソフィアはミス・イタリアのコンテストに出た。優勝は逃したものの、最終選考に残り、これがきっかけになり、彼女は演劇学校に入り、17歳のとき、ハリウッド映画の超大作「クオ・ヴァディス」にエキストラとして出演した。
19歳のころには主役を演じるようになった彼女は、23歳のとき出演した映画「島の女」によって、一躍世界的に知られる存在となった。以後、「楡の木蔭の欲望」「月夜の出来事」「黒い蘭」に出演した後、26歳のとき「ふたりの女」でアカデミー主演女優賞を受賞。
そのほか、マルチェロ・マストロヤンニと共演した「昨日・今日・明日」「あゝ結婚」「ひまわり」、チャーリー・チャップリン監督の下、マーロン・ブランドと共演した「伯爵夫人」、ピーター・オトゥールと共演した「ラ・マンチャの男」など、数々の名作に出演した。サッカーチームではもちろん、ディエゴ・マラドーナがいたナポリの熱烈なサポーターである。

美人コンテスト出身の女優ということで、彼女は、ダニエラ・ビアンキ、シルビア・クリステル、萬田久子、佐藤藍子、米倉涼子、藤原紀香、上戸彩、武井咲の大先輩にあたる。

ソフィア・ローレンの出演作はかなり観ている。あのイタリア女性らしい、きりっと引かれた眉、神秘的な黒い目、よくしゃべる大きな口、迫力のある大きな胸とひきしまった肉体。そういったセクシーな要素があわさって独特の、どんな環境でもたくましく生きていく意志をもった女という雰囲気がかもしだされ、彼女をほかのどの女優とも異なった唯一無二の存在にしている。

彼女の出演作品「ひまわり」は世評が高い。どれほど多くの人からあの映画について語るのを聞かされてきたか知れない。戦争によって引き裂かれた男女、マストロヤンニとローレン、そして一面のひまわり畑の強烈な印象。「ひまわり」は映画史に残る名編である。
3本の短編がセットになったオムニバス映画「昨日・今日・明日」とか、ドン・キホーテ映画「ラ・マンチャの男」など、ああいった作品の、ソフィア・ローレンらしい、銀幕の夢物語でない、現実の日常生活にいながら、しかも強烈な存在感を放つ特別な女は、なかなかいない。
(2018年9月20日)



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