1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

9月7日・長渕剛の逆流

2018-09-07 | 音楽
9月7日は作家、島木健作が生まれた日(1903年)だが、シンガーソングライターの長渕剛(ながぶちつよし)の誕生日でもある。

長渕剛は、1956年、鹿児島の日置で生まれた。鹿児島の高校生だったころから大学の学園祭のステージに立っていた。友人とフォークデュオを組んで活動した。
九州の大学の芸術学部に進んだ彼は、大学に籍をおきながら、夜の繁華街のバーやライブハウスでオリジナル曲を歌うようになった。飲み屋では、知っている演歌を歌えと叫ぶ酔客にからまれ、ひどい野次を浴びながらの壮絶なライブだったらしい。
20歳のとき、ヤマハのポピュラーソング・コンテスト(ポプコン)に出場して入賞。「雨の嵐山」でデビューを果たした。すぐには売れなかったが、22歳のとき「巡恋歌」で再デビューし、自分で作詞作曲した曲をギターで弾き語りし、たったひとりでステージを務めるというスタイルのミュージシャンとして活動。
23歳でアルバム「風は南から」を発表。硬派のシンガーソングライターとして脚光を浴び、ラジオのパーソナリティにも進出した。
そして、24歳の年に発売した「順子」が大ヒット。同曲でオリコン・チャートの第1位を獲得。以後「乾杯」「とんぼ」「しゃぼん玉」などの名曲を発表し、活躍を続けている。

長渕剛の出世作「順子」がナンバーワンになったときのことを、よく覚えている。
そのころヒットとはあまり縁のなかったデヴィッド・ボウイが、めずらしくシングル「アッシェズ・トゥ・アシェズ(Ashes to Ashes)」で英国チャートのナンバーワンになった。同時期、全米チャートではクリストファー・クロスの「セイリング(Sailing)」が1位。そして、日本では長渕の「順子」が1位になった。
姫路出身の長渕剛ファンの友人がいて、薦められて、長渕のアルバム「逆流」をカセットに録音してもらい、繰り返し聴いていた。
当時、長渕剛は「ニューミュージック界でもっともギターが上手い男」と言われていた。

昨今人気のAKB48や嵐とは、長渕剛はまったく対照的なアーティストで、時代を感じる。
前者は、作詞、作曲、衣裳デザイン、振り付け、曲演奏がすべてべつの人がやっている巨大なシステムで、本人たちは教わった通りに歌って踊るだけの純粋なアイドル(偶像)である。とくにAKB48など人数がハンパでなく、ちょっと待ち合わせするだけでもそうとう大変にちがいない。
一方、長渕剛は自作自演で、ギター一本持って本人がやってくれば、それで待ち合わせはOK、ステージが務まってしまう。

長渕剛のアルバムのタイトルナンバー「逆流」が好きで、いまだに録音してもらったテープを大事に持っていて、ときどきかける。
「一歩前のこの道をゆかなければ。だって僕は僕を失うために生きてきたんじゃない」
という一節は、いまでも心に痛く響く。
(2018年9月7日)



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