沈黙の春

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維新政治塾:参加者に評価と落胆

2012-05-13 23:26:27 | 政治、法律など

維新政治塾:参加者に評価と落胆 神髄に触れた/人多過ぎ

毎日新聞 2012年05月12日 16時00分(最終更新 05月12日 21時37分)

維新塾受講生50人に聞いた次期衆院選への出馬意思
維新塾受講生50人に聞いた次期衆院選への出馬意思

 「改革への熱い思いが湧いてきた」「人数が多すぎて議論ができない」−−。

大阪維新の会(代表=橋下徹・大阪市長)が次期衆院選に向けた候補者養成の場と位置付け、3月下旬に開講した「維新政治塾」には今、受講生の高揚と落胆が入り交じる。

社会保障や外交・安全保障など、国政課題を学んでいる約2000人を半数程度に絞り込むまで、予定されている講義は5回。

12日には第4回が開かれた。

 「橋下改革の神髄に触れることができた」と話すのは大阪府内で介護の仕事に携わる40代男性だ。

公務員制度改革などに共鳴し、「自らも大阪を変えたい」と参加した。

1時間程度の講義をただ受けるだけでは物足りないと、受講する講師の著書を5、6冊買って予習して臨む

。受講生の有志約10人で自主的な勉強会も計画している。「参加者全員が改革に熱い思いを持っている

。明るい話題が少ない日本で元気になれる」と意欲を見せる。

http://mainichi.jp/select/news/20120512k0000e010223000c.html

関連記事

 

これには出てないですがツイッターで橋下氏の維新政治塾で徴兵制取り上げ、25人中20人が賛成という事態。

>ディスカッションでは「徴兵制」がテーマとなり、25人中20人が「賛成」


東京湾大丈夫?海底土のセシウム、7か月でなんと13倍に!

2012-05-13 21:04:10 | 原発関連

 東京湾の海底土に含まれる放射性セシウムが、昨年8月から約7か月間で1・5~13倍に増えたことが、近畿大の調査で分かった。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出されたセシウムが、河川から東京湾に流れ込んだとみている。

 同大の山崎秀夫教授(環境解析学)は今年4月2日、荒川の河口付近など東京湾内の3か所で海底土を採取し、分析した。深さ1メートルまでの土に含まれるセシウムの量は1平方メートルあたり7305~2万7213ベクレルで、昨年8月20日の調査結果(同578~1万8242ベクレル)を3か所とも上回った。

 海底面から深さ6センチまでのセシウム濃度(1キロ・グラムあたり)は321~397ベクレルで、やはり8月20日の調査結果(75~320ベクレル)を上回った。河川の泥にたまったセシウムが少しずつ東京湾に流れ込んでいるためとみられる。

2012年5月13日20時14分 読売新聞)

テレビを消したほうが節電効果高い場合も

2012-05-13 20:04:12 | 原発関連

参照元: 週刊ポスト / 野村総合研究所(PDF)

 信じられない事が判明した。なんと、エアコン(冷房)を使うよりもテレビの消費電力量のほうが高い場合があるのだという。エアコンを1台止めると130Wの節電効果があるが、テレビを1台止めると220Wの節電効果があるらしい。

このデータは、野村総合研究所震災復興支援プロジェクトチームが4月15日に発表した『家庭における節電対策の推進』によるもの。

エアコンは消費電力が大きいと思って暑くてもエアコンを止めていたが、どっちかといえばテレビを止めたほうが節電になっているのかも?

(去年の記事ですが、エアコン消しましょうと言ってもテレビを消しましょうとは言いません。

テレビ局も夜中は放送中止にしたら電力不足は相当解決しそうです)

この情報を報じているのは『週刊ポスト』。その公式サイトで同誌の記者は「この夏、エアコンを使わずに熱中症で亡くなる人が続出している。

にもかかわらずテレビを消すという選択肢を国民に知らせないテレビ局は社会の公器といえるのか」と記事中で憤慨している。

この事実に対するインターネットユーザーらの声は以下の通り。
 
・インターネットユーザーの声
「アナログに続いて地デジも停波か」
「電気と時間の無駄使い」
「俺はテレビ消してパソコンつけてるよ」
「テレビ局が消費してる電気も計算に入れよう」
「テレビはさっさとネットで同時放送しろよ」
「オイルショックのときは放送を短縮したのになんで今回は垂れ流し続けたのか」
「震災以後テレビって本当に信用失っていってるな」
「どうせ韓国ばっかりなんだし皆も見なければいいんだよ」
「おれのPCは全開にしたら650Wは消費するな。電源は1200W」
「昔のプラズマとかちょっとした暖房機器だったな」
「エアコンとテレビどちらかしか使えないなら俺はエアコンを取る」
「三年前のプラズマTV使ってるけど、画面が暖房器具より熱いってどういう事だよ」
「うちの46インチ液晶は120W強ぐらいだけどプラズマは300W超えてくる」
「ネットはiPad2で済ますようにしたからかなり節電」
「エアコンを使うときはテレビを消しましょうなんてテレビ局が言うわけない」
 
エアコンのほうが大きな電力を必要とするものの、エアコンとテレビでは使用時間が違うので、

長時間使用するテレビのほうが消費電力が高くなってしまうのかもしれない

 


みえない雲

2012-05-13 18:26:22 | 原発関連

 http://webronza.asahi.com/global/2011070800001.html から

ドイツだけで昨年までに150万部以上売れた青少年向けの原発事故小説がある。「

Die Wolke(ディヴォルケ、邦訳は“みえない雲”(小学館文庫)」だ。

原発事故に巻き込まれた14歳の少女を主人公にした近未来小説で、チェルノブイリ原発事故の翌年に出版され大きな反響を呼んだ。

以後、日本も含む13カ国で出版、2006年には映画化もされた。

3月11日の福島原発事故の数日後、ドイツの有力新聞や週刊誌は次々と、この本と著者に再びスポットを当てた。

 今また版を重ねているこの本の著者は、グドゥルン・パウゼヴァング(Gudrun Pausewang)氏(83)だ。

定年まではドイツ語教師をしながら、絵本から成人向け小説まで92冊を出版し、22年前からはこれらの著書を紹介する朗読会を毎年続けてきた。訪れた15カ国のうち、原発のないデンマークや70年代に原発建設を途中でやめたオーストリアといった脱原発先進国からは、特に頻繁に招待された。

 パウゼヴァング氏はインタヴューの前に、「これが日本でいちばん読まれた私の本です」と、核戦争後の被曝者たちの生活を描いた邦訳「最後の子どもたち」を見せてくれ、フクシマの原発震災にとても心を痛めていると前置きして、語り始めた。

 ―小説に書かれたような原発事故が、被曝国日本で現実に起こってしまいました。

 日本の防災計画については知らないが、ドイツで原発事故に備えた訓練の経験からも、事故後の対応の遅れや混乱は容易に想像がつく。

ある大都市近郊での訓練で、記者が警察の責任者に「近くの病院に被曝患者のためのベッドは何床あるか」と質問したら、「2~3床」という答えだった。

 また、ある自治体の計画では、車を持たない人たちは市庁舎など公共の建物に集合し、まとまってバスで避難となっている

。だが、リポーターがバスの運転手に「原発事故直後の深刻な事態にあなたは本当に街中に入っていくか」と尋ねた時、運転手はこう答えた。

「我々も馬鹿じゃない。自分の家族のことを考えたらそんな危険なことはできない。

第一、バスで人々を迎えに行ったとしても、街じゅう大混乱で今度は出てこられなくなるだろう」。

 そのほか、私の小説を読んだ生徒たちが、地元自治体の原発事故対策マニュアルを調べ校長にヨウ素剤の場所を尋ねたら、常備が必要なことすら知らなかったという。

 ―青少年向けの原発事故小説を書いた動機は?

 1970年代、ドイツにはかなりの原発が建っており反対運動も盛んだった。

私自身もチェルノブイリ原発事故以前からIPPNW(核戦争防止国際医師会議)が発行した小冊子を読んだりしていた。

低・中・高線量の放射能被曝による症状など医学的内容が一般向けに平易に説明されており、後に「Die Wolke」の中での描写にとても参考になった。だが、その当時は反原発小説を書くことは夢にも考えてなかった。

 きっかけはチェルノブイリだった。1986年ウクライナで原発事故が起きてから、毎日ニュースを聞くたびに、「もし住民の少ない1500km離れた土地ではなく、人口密度の高いドイツの真ん中で起きたら…」、と考えるようになった。

「子どもたちは砂場で遊べなくなり、野菜、キノコ、野生の動物を食べられなくなり、放射能を発する空気の中で生活しなければなくなる」と。

 「そのような大惨事を想起してみてください」と、警告しなければならないと思った。

それに、原発や被曝の危険性は青少年も知る権利がある。だがそうした本は大人向けばかりだ。

そこで、若者に読みやすい小説という形で伝えようと考えた。出版社に電話したら、最後まで言い終わらないうちに「是非書いてください」という声が返ってきた。

チェルノブイリ事故の1ヵ月後に書き始め、10月に完成、翌年2月に出版したら、爆発的に売れた。

 ―1988年に「Die Wolke」がドイツ最高の児童文学賞(Deutscher Jugendliteraturpreis)を受賞しました

 ドイツ児童文学賞を受賞してからは、本書を国語教材に採用する学校が増えただけでなく、それまで関心を示さなかった推進派の政治家や原子力業界の経営者たちにも読まれるようになった。

 だが当初、児童文学賞担当の青少年・家族・健康省リタ・ズュースムート(Rita S醇гsmuth、博士号と大学教授の資格も持つ)大臣は、本書を選出しようとし、当時の原発推進政権の中で大反対に遭った。

 そこで彼女は、賞の授与まで通常2週間ほどしかかからないところを、4~5カ月間時間稼ぎをした。

そして、反対派が賞のことを忘れたころを見計らって、こう理由付けをして受賞を発表した。

「もし著者が受賞だけを目的にし、政権政党の意向に従う作品を書くなら、そこに民主主義はない。

社会主義的な本だけが賞をもらえたDDR(旧東ドイツ)と同じだ」と。

 受賞に反対する自分の党に対し「決めるのは私、あなたたちではない」と、断固として決定を変えなかった彼女の姿勢を、私は高く評価している。

 ところで、彼女の時間稼ぎの戦略は今、日本の原子力企業(東電のこと)も使っている。待たせて待たせて忘れたころに、以前から分かっていたことをやっと発表したりね。

 ―4月に地元でチェルノブイリ25周年の反原発デモがあったとき、1万5000人の前で演説されたと新聞が大きく報じていました。こういうことは以前からよくあるのですか。

 メッセージを送ってほしいという依頼はよくある。数年前にデモで話してくれと事前に頼まれたことはあるが、今年のデモには個人的に参加しており、話すつもりで行ったのではなかった。

ところが、現地で私が来ていることを知った活動家から、少し話してほしいと頼まれたので次のような話をした。

 ナチス時代が終わり、子ども世代が「ナチスに対抗して何をしたか」と尋ねた時、親世代は何も答えられなかった。

私は自分が死んだ後、子孫からそのようなことを絶対に言われたくない。「核エネルギーに反対して、自分でできる限りのことはやった」

と答えられることが、私にとっていちばん重要であると。

 ―69冊の絵本や青少年向け小説で子どもたちに伝えたかったことは。

 子どものときに読んだ本はハッピーエンドが多く、悪者は必ず懲らしめられる筋書きばかりだった。でも、現実の世界はそうではない。

 チェコスロバキアにいた17歳の時、第2次大戦が終わり、父はロシアから戻ってこなかった。

ヒトラーの所業からドイツ人がチェコに残ることは将来のためによくないと考えた母は、6人の子を連れてドイツ移住を決めた。

いちばん下の弟は4歳半だった。私たちは、ドイツ国内を800km、7週間にわたり歩き続けた。

戦争は決してあってはならない。南米で数年間ドイツ語を教えた時は、第3世界の抱える問題に直面した。

そして、広島・長崎での原爆投下やチェルノブイリ原発事故など核の問題も考えた。

 この三つが私の主題だが、読者には6歳であろうと60歳であろうと、真剣に受け止めてほしい。私の本は子どもを不安にさせると非難されることがあるが、不安がない、あるいは恐れを感じることができないならば、私たちの種族はとっくに存在していないだろう。

* * * * * * *

 最後に、パウゼヴァング氏から日本の皆さんへの質問をうかがった。

・日本には常に地震の危険があるのに、なぜ54基もの原発建設を容認したのか。

・「Die Wolke」が有名になってから多くの自治体から朗読会に招待されたが、原発を稼動させている企業から多額の金が流れる原発立地からだけは呼ばれなかった。日本の事情も同様だろうが、原発の近くに住み、生まれた子どもが生き続けることができなかったら、何というつもりなのか。

・今回の福島原発事故による大惨事によって、批判的に考えることを学んだか。

 皆さんはこれらの質問に対してどう回答されるだろうか。

 

プロフィール

川崎陽子(かわさき・ようこ)

環境ジャーナリスト。大学卒業後、日本企業の半導体有機材料研究員、外資系企業の液晶基板用ガラス応用エンジニアを経てドイツに留学。応用工学修士(環境学と労働安全)取得後、ドイツ・EUの環境政策に関する調査や記事の執筆、視察手配、通訳、翻訳に従事。欧州で二人の子育て中。

川崎陽子の記事一覧


米反格差デモのオーガナイザーに聞く

2012-05-13 18:03:24 | 政治、法律など

【肥田美佐子のNYリポート】米反格差デモのオーガナイザーに聞く―メーデーでの再集結から運動の将来まで

http://jp.wsj.com/US/Economy/node_438949/?nid=WD20120512

5月1日、米反格差・民主主義デモ「ウォール街を占拠せよ」(OWS)が、冬眠から覚めたかのように、ニューヨークやシカゴ、サンフランシスコなど、全米複数の都市で再び盛り上がりを見せた。

ニューヨークのズコッティパークを追われて以来、小規模化し、消滅の可能性もささやかれていただけに、プロテスターズ(抗議者たち)は、周到に準備を重ね、運動の威信をかけてメーデーに臨んだ。

 ニューヨークでは、まずミッドタウン・ブライアントパークでティーチイン(勉強会)やワークショップなどが行われ、1000人ほどが集まった。その後、現在、占拠運動の拠点となっているミッドタウンのユニオンスクエアには、労働組合のメンバーたちや活動家なども交え、2000人ともいわれる参加者たちが集結。

 そして、ユニオンスクエアからウォール街までのデモ行進、金融機関前でのシュプレヒコール、自由の女神を遠くに望むバッテリーパークでの打ち上げパーティーなど、早朝から真夜中過ぎまでイベントが目白押しだった。一時は5番街の車道にまでデモ隊があふれ、ニューヨーク市警(NYPD)と対峙する場面も。本紙(5月2日付)によると、50人以上の逮捕者が出たもようだ。

 この勢いは続くのか。今後、運動はどこに向かうのか。昨年9月、OWS開始とともに、ユタ州から200ドル(約1万6000円)の貯金を手にニューヨークにやって来て以来、オーガナイザー(呼びかけ人)の一人として活動し、メーデーの計画立案にも携わったディエゴ・イバニャスさん(23)に話を聞いた。

――メーデーのイベントは、成功裏に終わったと思うか。

イメージ Stacy Lanyon

デモ後進中のディエゴ・イバニャスさん(メーデー)

イバニャスさん もちろん。真夜中の打ち上げパーティーでは、野宿をしようと思ったが、警官に追い払われた。最も革新的だったのは、メーデーに向けて再結成した参加者の連合や労組、移民の人権団体が同じテーブルを囲んだことだ。大半は左翼だが、すごくコンサバなグループもいれば、急進派もいる。政治スペクトル的に幅の広いデモ参加者たちが共に計画を練ったという点が、最もパワフルなことだった。ぶつかり合いもあったが、成長するには、議論や対話を重ね、お互いをよりよく理解することが必要だ。

 メーデーは、昔から続く国際的な労働者の日だが、米国の多くの若者は、その存在さえ知らない。そうした若者の関心を喚起したという意味でも、意義があった。

――ズコッティパークを追われて以来、運動が下火になったと言われているが。

イバニャスさん 1カ月に一度の割合で「総会」も続けている。次回は、今月13日、「母の日」に(ダウンタウンの)ワシントンスクエアパークで行う予定だ。労組のオフィスや教会などで、連日、ミーティングや集会も開かれている。

 運動を段階的に見ると、バブルが一気に大きくなり、爆発し、はじけたのが第1段階。大きくなりすぎ、コントロールできなくなった。現在は第2段階だが、小さめのバブルがたくさん生まれ、どんどん成長している。最終的には、1つめのバブルを超えるだろう。今は、デモ参加者や団体とのつながりを拡大し、コミュニティーをつくり上げているところだ。

――オーガナイザーの人数は?

イバニャスさん ニューヨークだけで150~200人。デモ参加者は白人男性が多いかもしれないが、オーガナイザーは、今や女性が主流だ。僕はフルタイムのオーガナイザーで、翻訳などのアルバイトをしながら仲間の家を泊まり歩き、生活している。近いうちに就活を始めるかもしれないが、労組や非営利団体などで、オーガナイザーとしての経験を生かした仕事をしたい。大学を中退し、ニューヨークに来たため、働いた経験がない。今のところ、OWSが僕の全人生だ。

――占拠運動の究極のゴールは、格差の解消か。それとも、真の民主主義の確立か。

イバニャスさん 平等なしに、民主主義は存在しえないと思う。その際、忘れてはならないのが、人種問題だ。資本主義下では、格差をつくり上げるために、人種を分断させ、持てる者と持たざる者を生み出す必要がある。同じように貧しくても、白人と黒人では状況が違う。OWSは、直接民主制と参加型民主制に重きを置いている。平等を考えるに当たって、人種問題への対処は欠かせない。警察による(黒人への)暴力、ブロンクスやハーレムでの人種差別といった問題だ。

デモ参加者の頭上には、「社会正義って最高」と書かれたプラカードが

――OWSは、社会主義を求めているのか。

イバニャスさん 反資本主義は、社会主義や共産主義とは違う。また、すべてのデモ参加者が反資本主義というわけでもない。問題は、現在、米国の資本主義システムが機能していないことだ。まだ、これという答えは見つけていないが、新しい生活方法や思考法があるはずだ。だからこそ、より良い解決策に向かって、参加者全員の声を聴き、共に考え、進む必要がある。

――運動を継続させられるだけの資金はあるのか。

イバニャスさん 当初は60万ドル以上あったが、食料や逮捕者の保釈金などに使い、残っているのは10万ドル以下だ。とはいえ、必ずしも募金の要請はしない。最も大切なのは、労働者や市民との関係を築き上げることであって、コミュニティーの支援を仰げれば、お金は、さほど問題ではない。お金に価値を見いだすのは、企業の世界観だ。占拠運動は、お金の多寡では測れない。

――現在、OWSが最もフォーカスしている問題は?

イバニャスさん まず、学生ローンや学費の高騰など、学生の負債だ。ニューヨークの学生とのネットワークをつくり上げる必要がある。次が住宅問題。多くの人たちが、フォークロージャー(住居差し押さえ)で家を失っている。3つめが、(2月、フロリダ州で、自警団員によって射殺された黒人少年)トレイボン・マーティンに代表される人種差別。最後が移民問題だ。低賃金で働き、米国人のような権利を与えられていない移民労働者がたくさんいる。米国にとって重要な問題だ。

――OWSは公園を占拠することはできたが、世界を変えるにはほど遠い、という批判がある。

イバニャスさん 対話を変えることが目的である以上、それは達成した。なぜウォール街なのか。お金とは何を意味するのか、資本主義とは何か。人々が、そうした会話を交わし、(これまで当たり前だと思っていた)問題に気づくことができたことだけでも、意味がある。運動は無駄だったという批判は、まったくお門違いだ。

――銀行家は「敵」なのか。

イバニャスさん そうは思わない。銀行家が身を置いている「構造」が、僕たちを威圧しているのだ。銀行家は、苦闘している市民たちと断絶している。銀行家や政治家が問題に気づくのを待つつもりはない。僕たちは、行動することで、この手に(理想とするものを)取り戻す。

――OWSは、どこに向かうのか。

Stacy Lanyon

ホイッスルを吹きながら行進するイバニャスさん(左から2番目)

イバニャスさん まず「占拠」の意味を置き換える必要がある。寝泊りするために公園を占拠するのではなく、何かを占拠することで、それをコミュニティー全体のために機能するようにつくり変えるのだ。たとえば、学校を占拠し、教師を巻き込んで、コミュニティーのために再開させる、といったことだ。

 半年後には、学生や働く人々、看護師、公務員などと一緒に、学校や職場、病院、市庁舎を占拠する光景が見られるだろう。「占拠」を、僕たちの手にパワーを取り戻すための戦法や大義として使うのだ。成長を止めることはできない。運動はサバイバルしていく。

――デモ参加者のオバマ大統領観は?

イバニャスさん 多くの仲間が、とても失望している。反面、政治家は誠意がないものだと分かっていたから、驚きもない。大勢のデモ参加者がオバマに1票を投じたが、誰に入れても同じだと、がっかりしている。もはや誰も、オバマ大統領が国を変えてくれるなどという希望はほとんど抱いていない。

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肥田美佐子 (ひだ・みさこ) フリージャーナリスト

肥田美佐子氏 Ran Suzuki

 

  東京生まれ。『ニューズウィーク日本版』の編集などを経て、1997年渡米。ニューヨークの米系広告代理店やケーブルテレビネットワーク・制作会社などにエディター、シニアエディターとして勤務後、フリーに。2007年、国際労働機関国際研修所(ITC-ILO)の報道機関向け研修・コンペ(イタリア・トリノ)に参加。日本の過労死問題の英文報道記事で同機関第1回メディア賞を受賞。2008年6月、ジュネーブでの授賞式、およびILO年次総会に招聘される。2009年10月、ペンシルベニア大学ウォートン校(経営大学院)のビジネスジャーナリスト向け研修を修了。現在、『週刊エコノミスト』 『週刊東洋経済』 『プレジデント』『ニューズウィーク日本版』などに寄稿。『週刊新潮』、NHKなどの取材、ラジオの時事番組への出演、日本語の著書(ルポ)や英文記事の執筆、経済関連書籍の翻訳にも携わるかたわら、日米での講演も行う。翻訳書に『私たちは“99%”だ――ドキュメント、ウォール街を占拠せよ』、共訳書に 『プレニテュード――新しい<豊かさ>の経済学』『ワーキング・プア――アメリカの下層社会』(いずれも岩波書店刊)など。マンハッタン在住。 http://www.misakohida.com