金環日食 予報は曇りや雨の地域多く
5月20日 18時42分
太陽に月が重なり、指輪のような形に見える「金環日食」がいよいよ21日に迫りました。
予報では、金環日食が見られるとされる地域の多くでは曇りや雨のところが多く、関東北部の内陸や長野県南部などでは、晴れる可能性が高いとみられています。
「金環日食」は、太陽と、月、そして地球が、一直線上に並んだ時に太陽が指輪のようなリング状に見える現象で、21日の朝、全国の広い範囲で観測されます。
国内で観測されるのは、昭和62年の沖縄県以来、25年ぶりで、東京を含む首都圏では173年ぶり、3大都市圏を同時に含むような広い範囲での観測は、実に932年ぶりという世紀の天体ショーです。
今回、観測できる太平洋側の帯状の地域では、帯の中心線に近いほど金環日食を長く見ることができ、中心線のほぼ真上にある静岡市や東京などでは、およそ5分間見られる一方、帯の端に当たる地域では数秒間しか観測できません。
ただ、今回は、たとえ帯の地域から外れても、北海道から沖縄まで全国すべての場所で部分日食を見ることができ、太陽の80%から90%が隠れるということです。
世紀の天体ショーを一目見ようと、各地で観測会や、飛行機による空からの観測、船によるクルージングなどが予定されているほか、小学校などでは登校を早めて全校児童で観測するところなどもあります。
最新の天気予報では、金環日食が見られるとされる地域の多くでは、曇りや雨のところが多く、関東北部の内陸や長野県南部などでは晴れる可能性が高いとみられています。
やや厳しい条件ですが、曇りの地域でも、観測できる時間帯に雲の切れ間から太陽が見えたり、雲が薄くなって見えたりする可能性はあります。
金環日食観測の注意点
「金環日食」だけでなく「部分日食」であっても、太陽のまぶしさはふだんとあまり変わらないため、僅かな時間でも肉眼で見ると目を痛めるおそれがあり注意が必要です。
日本眼科学会などによりますと、日食の太陽を見つめると、網膜が傷つく「日食網膜症」になるおそれがあり、ものがゆがんで見えるほか、深刻なケースでは視力が落ちて元に戻らなくなるということです。
過去には、1912年にドイツで観測された日食の際に3000人以上が症状を訴えたという記録があります。
「日食網膜症」の場合、特に注意が必要なのはすぐに症状が現れないことで、有効な治療法もないことから、国立天文台や眼科学会では、専用の日食グラスなどを使うか、日食グラスがない場合は、直接、太陽を見ずに木漏れ日などを観測するよう呼びかけています。
次のような方法は非常に危険ですので、絶対にやめてください!。
▽肉眼で直接太陽を見ること。
▽専用のフィルターをつけていない望遠鏡や双眼鏡。
▽色つきの下敷きや、CD=コンパクトディスク。
▽写真用のフィルム。
▽すすをつけたガラス。
▽サングラスやゴーグルでの観測です。
今回、多くの地域で曇りの予報となっていますが、国立天文台では、曇りの場合、より注意が必要だとしています。
曇りだからといって、日食グラスを使わずに安易に太陽の方向を見ていると、雲の切れ間から突然、強い日差しが差し込んだり、雲が薄くなって目に届く太陽の光が強くなったりして目を痛めるおそれがあるからです。
さらに今回の日食は、通勤や通学の時間帯と重なることから、交通事故への注意も必要で、歩行者やドライバーは太陽に気を取られないよう、運転しながらの観測はもちろんのこと、歩行者も歩きながら太陽を見るようなことは絶対にしないでください。
全国各地の観測時間は
今回の金環日食は、九州南部から四国、近畿、東海、関東、そして福島県までの、太平洋側の28の都府県の帯状に示された地域で見られます。
まず、午前6時すぎから太陽が徐々に欠ける部分日食が各地で始まり、最初に鹿児島県の離島、三島村や十島村の島々で、午前7時16分ごろから金環日食になります。
その後、西から東の地域にリレーをするように金環日食の見える場所が移っていきます。
国立天文台が公開している計算方法で割り出した金環日食が見られる時間です。
まず、九州です。
▽鹿児島市が午前7時20分から4分間。
▽宮崎市が午前7時20分から5分間。
▽熊本県水俣市が午前7時22分から2分間。
▽大分県佐伯市が午前7時24分から2分間となっています。
四国です。
▽愛媛県宇和島市が午前7時24分から2分半。
▽高知市が午前7時25分から3分間。
▽徳島市が午前7時26分から3分間。
▽香川県東かがわ市が午前7時27分から1分半となっています。
関西です。
▽和歌山県の潮岬が、午前7時25分から5分間。
▽和歌山市が午前7時27分から3分半。
▽神戸市が午前7時28分から1分半。
▽大阪市が午前7時28分から2分半。
▽奈良市が午前7時28分から3分間。
▽京都市が午前7時29分から1分間。
▽大津市が午前7時29分から1分半、それぞれ観測されます。
東海です。
▽三重県志摩市が午前7時27分から5分間。
▽津市が午前7時28分から4分間。
▽岐阜市が午前7時30分から2分間。
▽名古屋市が午前7時29分から3分半。
▽静岡市が午前7時29分から5分間となっています。
関東甲信です。
▽長野県塩尻市が午前7時33分から1分半。
▽甲府市が午前7時31分から4分半。
▽横浜市が午前7時31分から5分間。
▽東京の都心が午前7時32分から5分間。
▽千葉市が午前7時32分から5分間。
▽千葉県銚子市が午前7時33分から4分半。
▽さいたま市が午前7時32分から5分間。
▽前橋市が午前7時33分から3分間。
▽宇都宮市が午前7時34分から4分間。
▽水戸市が午前7時33分から5分間、それぞれ観測されます。
そして、福島県では、▽いわき市が午前7時35分から4分間。
▽郡山市が午前7時37分から30秒間となっています。
金環日食の継続時間は、同じ市内であっても場所が少しずれるだけで変わるため、いずれも目安の時刻です