沈黙の春

本ブログの避難用ブログです。

「放射能が怖いのは文系、低所得、非正規、無職」 ――慶応大の調査結果に、反響さまざま

2012-05-08 21:16:54 | 原発関連

 東日本大震災や原発事故が「家計に与えた影響」について、慶應義塾大学が調査を続けている。このほど発表された結果が、意外な波紋を呼んで話題になった。

 この調査は震災前と震災直後、さらに夏の節電を経験した後の家計行動の変化を追跡したものだが、そこではっきりと浮かび上がってきたのが、

「原発事故・放射能への不安や恐怖は、文系・低所得層・非正規雇用者・無業者ほど大きい」

 という、動かしがたい統計的事実だったからだ。

 調査は、同大学のパネルデータ設計・解析センターが全国の約6000世帯に対して、調査票を郵送して実施。回答から明らかになったのが、放射能恐怖と就労や所得のあいだの関係だった。調査には十分なサンプル数があり、有意差のある結果となっている。


費用面の理由で、転居などの対策が取りづらさが理由

 ところが、調査結果に対して、

「文系や低所得者をバカにしたものだ」

 という、見事なまでに短絡的な反発が相次いだことで、盛り上がった。もはや慶応大の思うツボだろう。はからずも、反発している人間自身が、

「無前提に、文系や低所得者をバカにしている」

 ということを証明している。

 当然ながら、調査をした慶応大は冷静だった。これに対して、次のような至極もっともな分析を示し、余裕をみせている。

「原発事故・放射能汚染に対する恐怖・不安は、科学的知識が少ない文系出身者でより強かったと考えられる」

「低所得層や非正規雇用者・無業者で恐怖・不安が強かったのは、事故や放射能汚染が深刻化した際に、費用面の理由で、転居などの対策が取りづらいことに起因しているとも解釈できる」

 調査結果によれば、原発や放射能への恐怖や不安は、震災直後に比べて、6月時点に増大したという。

 また、恐怖や不安の強い人ほど、睡眠時間が減ったり、食料の買い溜めをしたりしていたそうだ。知人と繋がろうとする行動も顕著にみられたという。

 さらに、こうした恐怖や不安感の強い人は、震災後、生活のストレスが増大したり、睡眠時間が減少したりしていた。


放射能が怖いだけでなく、幸福感も増した低所得層

 ところで、この調査が浮かび上がらせた興味深いポイントが、もう一つある。震災後、低所得層や非正規雇用者ほど、

「生活満足度や幸福度は、震災後に高くなった」

 ということが明らかになったのだ。

 震災では、低所得層や非正規雇用者ほど、収入の減少やストレスの増大を経験している。だから、この結果は一見、矛盾するようにも見えるだろう。どう解釈したらよいのか。

 ここでも慶応大は、次のような落ち着いた見方を示した。

「震災の負の影響は、低所得層や非正規雇用者で大きいが、『他人よりも自分のほうが相対的には悪くない』と思うことで、生活満足度や幸福度は高まった」

 つまり、もともと「失うもの」が少なかった低所得層や非正規雇用者ほど、震災による悪影響について、「自分は他人よりはマシだ」と考えているらしいのだ。

「このような方々の恐怖心や不安を取り除くような施策や支援が求められる」

 調査結果にもとづいて、慶応大はそう提言している。



慶応大の調査結果から

http://careerconnection.jp/biz/economics/content_254.html


東京電力の販売電力量は工場など大口市場が6割強なのに利益に占める大口電力の割合は1割にも満たない

2012-05-08 19:15:11 | 原発関連

【原発の不都合な真実】東京電力の販売電力量は工場など大口市場が6割強、一般家庭など小口市場が4割弱なのに利益に占める大口電力の割合は1割にも満たないから。

http://www.47news.jp/47topics/e/225843.phpから。

 もう一つの問題点は、適正費用と原発建設の関連だ。

 東京電力の「適正費用」は約5兆3300億円である。最も大きいのは、石炭や天然ガスを購入する燃料費だが、「修繕費」と「減価償却」の合計が全体の20%を占めている。きちんとした情報公開がなされていないので、実際の所は知るよしもないが、減価償却費や修繕費は、原発の方が、火力発電所など高いと考えられるので、ここでも建設費が高い原発を建設しよう、とのインセンティブが働くことになる。電力会社が、小規模分散型の再生可能エネルギー開発への投資には不熱心で、多額の投資を伴う原発の建設に熱心だった背景の一つがここにあるといえる。

 最初に述べたように、この料金制度は、50キロワット未満の小売価格、つまり家庭用の電気料金の決め方に関するものだ。工場など大口の電力市場は自由化が進んでいるので、料金の決め方はさまざまだ。

 ほとんどの場合、需要家との相対交渉で決められるという点が、電力会社の言い値で電気を買うしかなく、しかも自由化が進んでいないので、東京電力から電気を買うのがいやだからといって、別の会社から買うことができない一般家庭とは大きく異なっている。


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 電力市場が自由化されて競争が激しくなり、場合によってはコージェネレーションや自家発電設備を導入することもできる大口向けの料金は引き下げ圧力が強く、電力会社にとって収入が上がるビジネスではなくなっている。東京電力の販売電力量は大口が6割強、小口が4割弱であるにもかかわらず、利益に占める大口電力の割合は1割にも満たない。電力会社にとっての大きな収入源は、上記のように原発を造れば造るほど、利益が上がるという料金制度に支えられた家庭向けの電力ビジネスなのだ。

 このような料金制度の大きな問題点は、電気を売れば売るほど電力会社が儲かる、という仕組みになっていることだ。

 結果的に、日本の電力会社には、コスト削減のインセンティブも少なければ、顧客に省エネやピークカットを働き掛けて発電所建設のコストを減らすことで収益を上げるというインセンティブも働かなかった。

 大口電力の自由化以来、日本の電力会社がこぞって進めてきたのは、ゼネコンや家電メーカーと協調したオール電化住宅の強力な販売促進だった。これにより日本のエネルギー需要の中での電化率は上昇し、家庭の電力需要も急激に増加。「増加する電力需要を満たす必要がある」として、原発の建設が進んだ。

 しかも、日本のエネルギー政策では、単位当たりの二酸化炭素排出量が天然ガスなどに比べて非常に多い石炭火力発電が、原発とともに推進され、総発電量に占める石炭火力の比率が急増。この結果、1kwの電気をつくる際に出る二酸化炭素の量も増加したため、電力需要の増加は排出量の増加に直結するという結果を招いた。

 「電気を売れば売るほど儲かる仕組み」というのは日本では当たり前のように思えるが、米カリフォルニア州の専門家に言わせると「電力を売って利益を伸ばすという考え方は、もはや30年前の古い考え方」だそうだ。省エネのインセンティブを造る「デカップリング」という制度を導入しているカリフォルニアなど、電力市場の自由化とともに、各国でさまざまな料金制度の研究や実践が進んでいる。

 エネルギー政策の見直しの中で、家庭を含めた自由化の推進と50年間、変わっていない料金制度の改革が急務だといえる。(この項終わり)

 シリーズの記事一覧はこちら

地球温暖化防止に役立つエネルギー」「安定供給が可能で、発電コストも安い!」-。
 安全、安定、安価に加え、クリーンだとされてきた原発。
 しかし、実際はどうなのでしょう。
 日本と世界の環境問題やエネルギー問題を第一線で取材してきた共同通信の記者が、

コラムやインタビューなどで解説するシリーズです。

 筆者は井田徹治・共同通信編集委員

 第1回 「原発は温暖化対策に役立たない」
 第2回 「原子力ルネッサンスの幻」(その1)
 第3回 「原子力ルネッサンスの幻」(その2)
 第4回 「インタビュー アースポリシー研究所代表のレスター・ブラウン博士」
 第5回 「インタビュー 緑の党所属のシルビア・コッティングウール連邦議会議員」
 第6回 「インタビュー 自然エネルギー財団の理事長に就任したトーマス・コーバリエル氏」
 第7回 「インタビュー 環境エネルギー政策研究所の松原弘直主席研究員」
 第8回 「インタビュー 橘川武郎・一橋大教授」
 第9回 「原発は安価か? 建設コストは増加の一途  「リスク大きい」と格付け会社」
 第10回 「「原発の負の学習曲線」と太陽光発電の「正の学習曲線」-両者の帰趨は既に決している」
 第11回 「インタビュー ロッキー・マウンテン研究所のエイモリー・ロビンス理事長」
 第12回 「インタビュー 熊崎実・筑波大名誉教授」
 第13回 「料金制度が支えた原発建設 原発を造れば造るほど、電力会社は儲かるというからくり」
 第14回 「料金制度が支えた原発建設 東電の利益に占める大口電力の割合は1割にも満たない」
 第15回 「番外編 3・11に思う」
 第16回 「番外編 Power To The People


【子どもを被ばくから守れ】小出氏がニューヨークで講演

2012-05-08 13:42:24 | 中国

【ニューヨーク共同】40年以上にわたり反原発を訴えてきた京都大原子炉実験所の小出裕章(こいで・ひろあき)助教が3日、ニューヨークで講演し、東京電力福島第1原発事故後の放射能汚染から子どもを守ることの重要性を強調、多くの日本人女性から「子どもと一緒に日本に帰って安全だろうか」と心配する声が出た。

 小出氏は「日本に帰る前に知っておきたい『放射能』のこと」と題した講演で、放射線ががん死亡率に与える影響に関する海外の研究を引用し、0歳児は全年齢平均の約4倍の影響を受けるとのデータを紹介。

 「子どもが泥んこになって遊ぶような場所が、放射線管理区域の基準を超える」レベルで汚染されたとし「子どもは放射線に対する感受性が強い。被ばくから守らなければいけない」と訴えた。

 また「全ての原発を止めなくてはいけない」とあらためて強調。「(停止した)原発を再稼働させようとしている」日本政府を強く批判した。

 講演後の質疑応答では、子どもを持つ女性から「帰国しても安全か」との質問が多数寄せられ、小出氏は「一人一人の判断だと思う。できれば小さな子どもは連れていかない方がいいが、おじいさん、おばあさんに(孫を)会わせるのも人間の営みとして必要だ」と答えた。

 【写真】3日、ニューヨークで原発事故などの影響について講演する京都大原子炉実験所の小出裕章助教(共同)

 (2012年5月4日、共同通信)


ニューヨークタイムズ ”日本の政府は、放射能は塩のようなもので、薄まれば薄まるほど効果が薄くなる、

2012-05-08 00:40:35 | 中国

  から。

日本の政府は、放射能は塩のようなもので、薄まれば薄まるほど ー たとえば水などに溶けることを考えて欲しい ー 効果(塩の場合は塩味)が薄くなる、という考えを吹聴し続けている。

塩の場合は、水で薄め続ければいずれ塩の味がしなくなる。福島のがれきを日本中で処理しようというやり方は、こういう考えが元になっている。

放射能を福島に集中させるのではなく、日本中に広めて、それぞれが低線量だけ引き受ける、という考えだ。また、がれきを日本中に運び出すほうが、福島を完全に除染するより安上がりだという考えもあるようだ。

だが、これはちょっとばかり近視眼的すぎるようだ(日本の支配者層にはよくあることだが)。 ニューヨーク・タイムズのこの記事によれば、長期的に低線量の放射線を浴びるほうが、短期的に高濃度の放射線を浴びるよりも、より危険である可能性があるという。

もしこの研究を真に受けるなら(原発産業は信じないだろうが)、日本政府は放射能を広め、

薄めることで、より多くの人をガンなどの健康被害を受ける危険に晒していることになる。

科学雑誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が、低線量被曝の危険性について新たに光を ー または、ただ疑念を ー 投げかけています。

同誌の 5-6月号 では低線量被曝について7記事と社説を割いている。低線量被曝は昨年3月に日本で起こった福島第一原発のメルトダウン以来、安全だという科学的合意に異を唱え、改めて重要性を主張している。

…………

環境学者の Jan Beyea 博士は、過去何十年も原子力発電に反対してきた 、スリーマイル島の疫学調査に関わる科学者だ。電力産業についても綿密に調べている。「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」のウェブサイトでは通常、会員のみ記事を閲覧できるが、今回の記事は無料で公開された。

Beyea 博士は、低線量被曝に関するアメリカの安全基準に対して反対する意見を表明した。これまでは、被曝量とその影響の関係は直線的 ー つまり、被曝量が大きいほど影響も大きいということ。被曝量が半分になれば影響も半分、4分の1なら影響も4分の1、被曝量が100万分の1なら影響も100万分の1、という風に ー だった。影響のないレベルというのはなかったのである。

これはLNT仮説 (linear no-threshold hypothesis)と呼ばれ、ほとんどの科学者によれば非常に低い放射線量は測り様がなく、そのため、低線量放射線による一般の健康被害に関しては慎重な姿勢で臨むことになっている。

だがこのやり方に異を唱える放射能専門家もいる。放射線量が測れないからといって、健康被害がないとはいえないないからだ。だが Beyea 博士によれば、低線量被曝はさらに悪影響を及ぼす可能性があるという。

放射能の専門家たちは、ある短期間での被曝量による影響は、その被曝量がより薄くなった場合、影響も小さくなる、という共通意見を持っている。この不正確な類推をもってすれば、アスピリン一瓶を一度に飲めば死に至る可能性があるが、数日に分けて飲めば気持ちが悪くなるだけだ、ということになる。

放射能の研究では、これは 線量率効果因子 と呼ばれる。一般的には、ある量の放射線が薄まった状態で被曝すると、元の量のままで一度に被曝する場合よりも、影響が半分ほどになるとされる。

科学者らは、低量の「呼び水的な」量の被曝は、ウイルス感染を防ぐための予防接種のような働きがあるとすら主張する。先に修復機能を鍛えておいて、より多量の放射線に被曝した時に影響を小さくするというのだ。

だが Beyea 博士は、散逸して薄まった放射能に長期間被曝することは、短期間に多量に被曝するよりも危険性が高いという説を提示している。これには2つの理由があるという。まず、被曝の影響は細胞が数世代にわたって被曝した後にしかわからない遺伝子的なものである可能性があること。もうひとつは「バイスタンダー効果」、つまり、細胞は放射能を吸収し、一見ダメージを受けていないように見えても、隣接する細胞に放射能による影響を受け渡し、結果としてガン化する、というものだ。

問題は、誰も確かなことを知らず、低線量被曝は安全だという仮説のもとに世界中の政府が安全基準を作っている、ということだ。

日本政府や原発産業は、そのやり方に疑義を投げかけるこのような情報すべてを否定するだろう。政府はすでにこの問題について合意を得たのだし、それが一番の問題なのだから。