もう買わないと決めているのに買ってしまう。
この表紙というより「4AG」というエンジン形式が,僕を青春時代に引き戻す そして,その頃に憧れた車種があると当然読み出してしまって,結局買ってしまうのだった。
AE92がジャスト学生時代。カローラセダン1600GTが好きだった。
入学したてのときに,釣り研の先輩が乗る,AE86レビンGTの後部座席に乗せてもらった。あれが初めての4AG体験。
正直,大学1年の春休みに免許をとるまで,クルマの話題についていけなかった。バス釣りでさえまだ初めていないときである。
そんなとき,同級生が「ワンダーシビックSi」を中古100万円で買ったという。ついこの前,免許をとるのにバイト代全額つぎ込んでしまった僕には夢のような話。なんでも,シビックはカローラとレースで競っている,とのことだった。
全然興味がなかったのに,運転する機会が何度かあった。友人の父さんのカローラFX-L。そう,1300ccのひ弱なエンジン。140kmも出すとうなりをあげる。なにより恐怖心しかなかった高速道路での運転はいまでも脳裏に焼き付いている。
TE70カローラ・リフトバックで,1.5SE「5SPEED」と書かれた,中学生来の友人のクルマでは,何度も運転係。それはそう,河口湖に通い出したとき,いくらなんでも自宅のカローラバン(4MTで狭い)ではキツイので,友人のクルマで行っていたのだ。
そして1989年になると,「カッコ・インテクグラ」でDODC-VTEC-B16Aが登場。釣り研の後輩がすでに免許を持っていて,実家にシビックがあった。だが,当然大衆グレードで,さらには「ホンダマチック」。あの「スターレンジ」つきの,とにかく加速が恐ろしくわるいクルマだ。
学生時代に先にAE92を,「親に」買わせたのは同級の友人だった。まあ,買い替え時期もきていたらしいし,家業も(いま思えばバブルのおかげで)華々しく,AE92カローラFX-GTの,ただし4速ATを買わせるのに成功していた。なにしろ,初めて乗ってきたときは「これが4AGだぜ」と自慢されたものだ。
僕自身は,28歳になるまで「維持費」の目処が立たないので購入を控えていた。ところが,購入しようとした1997年ぐらいですでに「テンロク」は中古市場の中心ではなかった。なんとかEF9を買ったわけだが,いつもアタマの片隅にあったのが,このAE92セダンGTである。
運良く,その後カリーナ1600GTに長く乗れた。本当に手間のかからないよいクルマだった。トヨタの内装はこんなに違うのかと,いつも感心していたし,電装系故障など最後の最後まで生じなかった。
そんなわけで,また「4AG」特集の『ハチマルヒーロー』を買ってしまったのである。
免許をとってから32年が経過して,電動自動車になるという目標が掲げられている。CO2削減のためだというが,どんなエネルギーも結局「材料」に石油が大なり小なり関わっている以上,「カーボンニュートラル」なぞ,原子力エネルギー推進派の目論見ではないかと思う。
石油枯渇は,僕が小学生の頃には頻繁に言われた。あと30年で枯渇すると。しかし,いまや石油は余っている。
4AGエンジンに限らず「エンジンでクルマを選ぶ」なんて時代は,もう終わったのだね。寂しいけれど。