時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

日曜日

2012年06月18日 | ことば
日曜日の午前、多治見市日本語講座で講師をしています。みんなボランティアですが、多くは現役も含め日本語教育経験がある人か、日本語教育の正規のトレーニングを受けたことがある人たち。けっこう質の高い授業が受けられるのではないかと思います。私は参加して5ヶ月ほど。

担当する初級クラスにこのところ来ているのは、核融合研究所(関連の記事)の学生や研究員。彼らは英語に堪能だし、構造的な学習に向いた人たちだろうから、細かい事項の確認の目的で、少し英語による解説を加えています。でも、日本を出る前に参加していた神奈川県伊勢原市の日本語教室では、日本語ONLYの方針でした。最近の日本語教育では媒介語の使用にはわりと積極的と聞くのですが、指導側も、学習者も、できるだけ日本語モードになっていたいので、ホントは媒介語の使用は最小限にしたい。

昨日は、新しい学習者が参加。中国・西安から来たお二人は、日本でとび職として働くために来たそうで、連れてきてくださったのはその仲介をする会社の方。こういう世話までが職務ではないのだけれど、「コミュニケーションがうまくいかないなどの理由で親方と衝突、というケースは少なくない。付き合いの範囲を拡げ、日本語も上達させて、日本になじんでくれたら、仕事の成功の助けにもなると考えている」とのこと。まさに我々のようなグループが援助したいと願っているようなケース。続けて通うようになってもらえたらうれしい。

昨日の学習内容は、「名詞+ができます」「動詞辞書形+ことができます」の構文による可能表現。たまたま、核融合研の三人がそろって来なかったので、日本語のみで授業。お二人の、知っている日本語を使ってみようという意欲がとても高くて、おかげで楽しい授業になったと思うし、彼らもこれなら日本でやっていけるだろう、という気がします。

先週、この講座が「サバイバルグループ」と呼んでいる、日本語がゼロに近い人たちのクラスを代打で担当。こちらはネパールの母娘が初参加(お母さんがネパール料理のお店で働いているらしい)。聞いてみると、彼女たちが話せるのはネパール語のみ。我々のような日本語教室にとっては普通のケースですが、もちろん媒介語の使用は不可能。我々にとっては、学習者との毎回の「一期一会」が勝負で、「また来てくれるか」が仕事の質の端的な指標ですが、残念ならこのお二人、昨日は来ませんでした。「教授法がよくなかったか、態度がよくなかったか」などとつい考えてしまうのですが、学習者はそれぞれ、いろんな事情で日本に来ているのだし、せっかくの日曜日、他にもしたいことはあるでしょうから、自分たちの問題だけに帰する必要はないのかもしれません。ともあれ、また来てくれるといいなと。

----------------

この講座の会場へ向かうため、家から自動車で移動の最中、ちょうどNHK第2ラジオで放送している「攻略!英語リスニング」を聞いていますが(20分間だけ)、講師、柴原さんが学習者に向けて繰り返し伝えているメッセージに、とても共感をおぼえています。「リスニング力向上のため、語彙力や背景知識も拡充していく必要あり」「発音できる英語でないと聞きとれない」、これもやってください、あれもやってください、と学習者に多くを要求するのです。「この講座でこれだけやればばっちりです」というような甘い宣伝文句はもちろんなし。

講座全体の目標も「リスニングのトレーニングを通して、英語能力の総合的な向上を目指そう」。「話せるようになればいい」とか「ネイティブの話がきけるようになればいい」というような、部分的、一面的な訓練・目標設定は本当は正しくなく、英語全般の力を、それにかかわる知識も含め、総合的に伸ばしていくべきだ、ということ。嫁さんの勤め先でも、米国人の教授が講師の英語講座があり、彼女も受講が認められ、参加しているもよう。英語圏からは離れましたが、今後も地道に学習を続けていけば、二人ともまだ少しずつでも延びていく余地があるだろう、と思っています。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿