た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

覚悟

2019年12月21日 | うた

 

 

昨日と同じ朝日を迎える人は

小さな覚悟を伴うだろう

歯磨きの後には鏡を睨み

かすかな失望にしかめ面して

「こんなもんか」と独り言

小さな覚悟を胸に秘め

昨日と同じ道を歩むであろう

だが彼は気づかないのだ!

一日を生きることは誰かを許し

誰かを理解し

愛することだということを

一日を生きた ただそのおかげで

今日という日は昨日とは

どこか違っていることを

風は薫り 葉は色づき

行き交う人は彼を見る

それでもまだ気づかないのだ!

小さな覚悟が日々積み上げた

人生という名の楼閣が

一段と高く

そびえ立っていることを。

 

 

※写真は常念。相変わらずでスミマセン。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

追悼

2019年01月14日 | うた

 

 二十歳の若さでこの世を去った

 

 君に。

 

 もうジョギングシューズを履かないのだね。

 

 走ることがあんなに好きだったのに。

 

 体育教師になるのが夢だと語っていたのに。

 

 いつも、あんなに笑っていたのに。

 

 幾晩も眠れないほどもがき苦しむ闘病の末に

 

 笑顔を残して死んでいった

 

 君に

 

 ずっと若い君に

 

 先立たれて

 

 どうすればいいのだ?

 

 自分がいかに命の無駄遣いをしてきたかを

 

 反省すればいいのかい?

 

 自分がいかに他人の命を軽んじていたかを

 

 思い知ればいいのかい?

 

 祈れば

 

 祈ればすべて、許してもらえるのかい?

  

 君よ。

 

 どうか、答えてくれ。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NANANDA

2017年07月10日 | うた

なんなんだこの世の中は。

 

買い物するたび、ポイントカードがないことをどうして申告しなければいけないのだ。

 

どうしてそのたびにちょっと引け目を感じてしまうのだ。

 

なんなんだこの世の中は。

 

新製品が出るたびに耐久年数が短くなるのはなぜなんだ。

 

修理を頼んでもすでに部品を製造してないってそれはなぜなんだ。

 

なんなんだこの世の中は。

 

暗証番号ってなんなんだ。それを覚えなければ自分の金も引き出せないのか。

 

数字を四桁覚えなければ、人間らしく生きられないこの世の中ってなんなんだ。

 

なんなんだこの世の中は。

 

良心的な値段でモノを売る人たちがことごとく店じまいしていく。

 

小さく控えめに生きようとすればきっと将来貧困にあえぐ。

 

そして「負け組」として、乗ってもいないレースの敗者を宣告される。

 

なんなんだこの世の中は。

 

テレビを観て疲れ、インターネットをして疲れる。

 

それでもテレビを観て、インターネットを触らなければ生きていけない心地がする。

 

「情報」に対するこの強迫観念はなんなんだ。

 

なんなんだこの世の中は。

 

エアコンがないと夏が過ごせなくなったのはいつからなのか。

 

そんな暑い夏にした原因の一つにエアコンの使用があるとはどういうことか。

 

原子力ってなんなんだ。

 

それがないと暮らしが成り立たないって言うのは本当か。

 

それが一度の故障で地域住民の暮らしを奪うとは何事か。

 

ワレワレ人間とはなんなんだ。

 

あらゆる動植物の生活環境を奪いながら、その理由がより便利で快適な暮らしのため。

 

誰かどこかの金持ちがもっともっと金持ちになるため。

 

車の排気ガスに悩みながら車を運転し、

 

自然を愛でながら殺虫剤を振りまき、

 

美しい暮らしを続けるために毎日大量のごみを廃棄していく。

 

そうわかっていながら同じ暮らし方を続ける

 

こんなワレワレは何様なんだ。

 

震災、人災、天災、二次災・・・・。いろんな不具合がこの世の中で起きているのに、そしてその原因の大半が自分たちにあることにうすうす気づいているのに、それでもみんな、自分一人のせいじゃないからとヌケシャアシャアとした顔で生きていける、この世の中はなんなんだ。

 

 なんなんだ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松本哀歌(エレジー)?

2017年02月18日 | うた

   とある知人と酒飲み話に戯れているときに、彼からふと、歌を作らないかと誘いかけられた。私が詞を書き、ピアノの出来る彼の奥さんが曲をつけ、歌うのは本人らしい。ずいぶん都合のいい話である。勝手に役割分担を決められたので、とりあえず以下の歌詞を書いてみた。もちろん作詞の経験もなければ、その方法を学んだこともない。そもそも楽曲を聴くとき歌詞を気にする方ではない。ポップスを意識したが、結果は演歌みたいな仕上がりになった。三番作ろうと思ったが、馬鹿馬鹿しくなって二番で止めた。これに知人の奥さんが曲をつけてくれるとは、到底思えない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・                 

           

〔一番〕

車窓(まど)を流れる雪を見ながら

                                          あなたを奪った街に来た

城のお堀に浮かぶ白鳥(しらとり)

                                          あなたはどうしてここに来た?

 

早い黄昏(たそがれ)

                         冷たいネオン

                                          繩手通りをぶらつきながら

思い出すのは

                  はじめての夜の長いキス

                                            あなたの店のドアを引く

 

 

〔二番〕

マイルス・ディビスに耳を傾け

                                      あなたの作った酒を飲み

はずむ会話と 寡黙な瞳

                                      どうして今さら会いに来た?

「幸せそうね」

                 「ええ。ぼちぼちと」

                                           二杯目を飲んで席を立ち

思い出すのは

                 はじめての夜の長いキス

                                           あなたの店のドアを押す

思い出すのは

                はじめての夜のことばかり

                                             あなたの店に雪が舞う

La La La・・・・・

                     La La La・・・・・

 思い出すのは

                はじめての夜の長いキス

                                             あなたの街に雪が舞う

                                       

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いやはや、一年で一番仕事が忙しい時期だというのに、私はいったい何をやっているのだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

leave me alone

2016年08月25日 | うた

 

私にはまだ自由がある

 

機械に利き手と頭脳を奪われてないという自由が

 

私にはまだ自由がある

 

二十四時間垂れ流される情報に目と耳を塞がれてないという自由が

 

私にはまだ自由がある

 

世間のみんなが祭り上げる低俗なものに踊らされない自由が

 

私にはまだ自由がある

 

ただ流行っているというだけで従わざるをえない隷属状態にないという自由が

 

私にはまだ自由がある

 

この星の美しい夜明けと感動的な日没を愛でる余裕のある自由が

 

私にはまだ自由がある

 

機械を介さず人を人として大切に接することのできる自由が

 

私にはまだ自由がある

 

沈黙と言葉の、本当の重みを知る自由が

 

私にはまだ自由がある

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

K氏の夏

2016年08月19日 | うた

 

 夢とうつつを引き裂いてミンミン蝉が鳴いています。

 アスファルトが煮えたぎり 人の足元すくいます。

 暮れに妻を亡くしました。

 死因は一言で言えません。

 彼岸花の咲く坂道を

 かつてあなたと歩いたこの坂道を

 癒(い)エヌ疲労ニ打チヒシガレテ

 私は一人歩みます。

 

 身内の遺骸を餌として働きアリが引き摺ります。

 日輪は白く燃え盛り 頭上に留まり動きません。

 社会に妻を殺されました。

 それが隠れた死因です。

 彼岸花の咲く坂道を

 かつてあなたと歩いたこの坂道を

 静カナ怒リニ体ヲ震ワセ

 私は一人歩みます。

 

 記憶の重みに耐えかねて繋がれた犬が鳴いています。

 車がときおり走り去り むせた臭いを残します。

 私が妻を殺しました。

 ほとんどそれが真実です。

 彼岸花の咲く坂道を

 かつてあなたと歩いたこの坂道を

 無限ノ悔悟ニ苛(さいな)マレナガラ

 私は一人歩みます。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヨノナカトソト

2015年11月11日 | うた

  「ま、無理だね。やってみればいい」

 

  人は壁のある生活になれている。

  守られ、自らを閉じ込めている。

  壁はときに名前を変える。

  『世の中』であったり

  『自分』であったり

  『人並み』であったり

  『この社会』であったり。

 

  「変わんないね。どうせ、何にも変わんない」

 

  壁の向こうも呼ばれ方は様々。

  『他人』であったり

  『政府』であったり

  『こんな時代』であったり

  そして

  『世の中』であったり。

 

  「ま、仕方ねえだろ。世の中が悪いんだ」

 

  人は壁のある生活になれている。

  いつか、その正体を見失うほどに。

 

  

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漢詩一題 : 『秋日』

2015年10月16日 | うた
秋日 (しゅうじつ)




柿生生朱色 (かきはなりなりてあかくいろづき)

鳥満足低囀 (とりはみちたりてひくくさえずる)

寂寥空無辺 (せきりょうたるそらにみぎわなく)

迷狗欲何之 (まよへるいぬはいずくにゆかんとほっす)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2015

2015年09月29日 | うた

どうして。

どうしてこうなったのか。

日差しは人を枯らせ

雨は実りを押し流し

風に街はなぎ倒され

大地は支えることを止めた。

どうして。

どうしてこうなったのか。

ゲームのように人が殺され

マスクをかけた子どもたち

引きこもる豊かさ

行き場のない老後。

どうして。

どうしてこうなったのか。

この圧倒的な無力感は何なのか。

なぜこんなにもいき苦しいのか。

なにを目指してここに来たのか。

もう本当にどうしようもないのか。

一人。

一人立ち上がれ。

二人。

二人手をつなげ。

三人で語らい合え。

四人でもっと多くを学べ。

十人で他の者も気づき始め

百人で世の中が動く。

千人で道は未来につながり

いつしか若い魂が

夢を口にする日がまた来るだろう。

どうして。

どうしてそれができないのか。

どうして

まだお前はためらうのか。


一人。

さあ 一人から、立ち上がれ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一首

2014年03月10日 | うた
春よりも 冬の終わりの 嬉しさよ

           雪解けの水  雪解けの水
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする