しゅ~くり~む ら

Osamu KURIMURA Official Blog

勝利の意味

2010-05-31 | インポート
5月のUCIレース連戦を締めくくる「ツール・ド・熊野」が終了しました。

ご存知のように、宇都宮ブリッツェンは辻選手が「第1ステージ」でステージ優勝を飾り、更にリーダージャージも獲得。

今シーズン、「JCT熊谷クリテリウム」で3位、更に「JCT白浜クリテリウム」でも3位、そして「TOJ東京ステージ」でもリザルトこそ残らなかったものの終盤の逃げに乗って会場を盛り上げる走りをみせるなど、辻選手は期待のかかった全てのレースでキッチリと仕事をこなしてきました。

辻選手の走りの特徴というのは、高い集中力を武器にメリハリのあるレースを展開する部分にあり、その為にも彼にはレースを走るための「強い動機」と、「やる時にやる」ための「前向きなオフ」が必要になります。

今回の熊野で辻選手が成し遂げたステージ優勝は、彼自身と、そして地域型チームの我々にとって、更にはJサイクルツアーというレース自体にも、大きな意味をもたらしたと思っています。

辻選手にとっての今回の勝利というのは、実質的にこれまでの彼のキャリアのなかで最高の「勝ち」となったことは言うまでもありません。

世界の舞台で結果を残してきたトップライダーが集う12名の先頭集団に入り、更にそのなかで展開に加わり、最後は自らの力(スプリント)で勝利をもぎとった訳ですから、高い評価を得るのは当然でしょう。

そしてもうひとつ、第3ステージの「集団ゴール」に於いてステージ4位(日本勢では最上位)に入ったことも評価しなければなりません。

今シーズン、辻選手は「逃げるレース」のなかでよい結果を残してきていますが、彼自身がまだあまり自覚していない才能一つである「バンチスプリンター」への可能性を示しているからです。

次に、チームにとってのこの勝利の意味とは、「発足わずか2年目の地域型チーム」が、UCIレースで勝利を挙げ、UCIポイントを獲得したという事実に尽きます。

我々は、国内のみで活動を行っており、他の有力チームの様に“トレーニングのため”に海外のステージレースを走ったりはしていません。

以前にも書きましたが、自転車ロードレースは「レースがトレーニング」になるため、レベルが合っているレースをたくさん走ることは、それだけで、レースを走っていないチームや選手たちに対してアドバンテージを得ることができます。

だからといって、我々はアジアツアーなどを転戦していないことを言い訳にする気はなく、「国内の活動のみであるレベルまで達するシステムを作る」というポリシーがある以上、今後も自分たちのスタンスを「一定期間」は守っていきます。

辻選手の勝利というのは、国内の地域型チームが、レースや科学的トレーニングなどの「お金」のかかる手段を使わずとも、UCIレースでも勝つことができるという事を証明したことになり、今後、宇都宮ブリッツェンをモデルに立ち上がるかもしれない「新たな地域型チーム」への希望に繋がるはずです。

そして最後に、「Jサイクルツアー」にとってもこの勝利というのは意味のあることだったでしょう。

先に書いた「地域型チームにとっての勝利の意味」とかぶりますが、Jサイクルツアーを主戦場としている宇都宮ブリッツェンが、UCIレースで勝ち、リーダージャージを獲得したわけですから、Jサイクルツアーのレベルの高さと価値を証明したことになり、現在、Jサイクルツアーに登録しているチームや、将来、Jサイクルツアー参戦を目指しているチームにとっての良いニュースとなったのは間違いありません。

宇都宮ブリッツェンというチームは、企業型チームと違い、「誰でも作れるチーム」の見本だと自負しています。

周りからは若干違った様に見られているかもしれませんが、我々のチームの実情というのは、国内の企業型チームの規模や待遇に比べると、むしろショップ型チームや、独立型クラブチームの内情に近いのが現実です。

将来、「日本の地域対抗シリーズ(Jサイクルツアー)はレベルが高くてサラリーが良いらしいよ」

そんなウワサが欧州の選手たちの間で語られる日が来ると信じてがんばっていきます。


耐えること

2010-05-28 | インポート
本日、辻選手がツール・ド・熊野の第1ステージで優勝を飾りました

個人的には涙目になるほど嬉しかったです

明日以降のリーダージャージについてですが、残念ながら国内及び海外の有力チームは、宇都宮ブリッツェンがジャージを守れるとは考えてはいないようです。

自分も、もし、ライバルチームの監督ならば同じように考えるでしょう。

実際に、ニッポの宮澤選手は、表彰台で明日以降の展望を聞かれて、ライバルはグムサンの福島選手やカザフスタン勢だと明言し、宇都宮ブリッツェンや辻選手の名前を一言も発しませんでした。

それだけ、このレースはレベルが高いですし、また、リーダージャージを守るには強大なチーム力が必要になります。

軽々しくリーダージャージを守るなどと言うことは、このレースを甘く見ているか、世界の舞台で活躍してきたライバル勢を馬鹿にしているかのどちらかに繋がります。

現状、我々のチームは明らかにチャレンジャーです。

今日は、辻選手の素晴らしい才能と、柿沼選手の経験が融合して、チーム発足来最高の結果を残すことができました。

しかし、そのことによって、チームの力が何倍にも増すことはありません。

ロードレースとは、その大半の作業が「耐えること」で形成されています。

選手はもとより、チームに関わるスタッフも同様です。

結果がでなくても、やるべきことを続けていき、結果がでても、同じように地に足をつけて淡々と努力を続けていく必要があります。

このチームは、地域密着型チームであり、たくさんの支援者の方々の気持ちを乗せてレースを戦っています。

ですので、全てのレースに於いて、スタートできることに感謝し、結果に関わらず、ゴール後はまた上を目指していかなければなりません。

本日勝てたことは、支援して下さった皆様のお陰であり、心から感謝すると共に、この勝利を宇都宮に捧げたいと思います。

明日以降は、また、いつもと同じように自分たちの階段を登りはじめます。

今は一喜一憂せずに、ただ耐えながら前に進んでいくしかありません。

その上で、本日の辻選手の勝利というのは、「快挙」という言葉を使ってもいいほど素晴らしいものであり、チームにとっても、そして辻選手自身にとっても、新たなページを開いた瞬間となったことでしょう。


明日からツール・ド・熊野が開幕

2010-05-26 | インポート
本日、「世界遺産を走るレース」、ツール・ド・熊野へ参戦するために和歌山県に移動しております。

宇都宮からは、約700kmほどの距離となりますが、一般道での移動区間も多いので移動時間は約10時間を予定…

選手達は、最後の約50kmほどを、練習がてら自転車に乗って移動します。

自転車選手の年間の移動距離というのは、あらゆる乗り物を合計するともの凄いことになっていると思われます…

国内での活動をメインとしている宇都宮ブリッツェンの選手でも、自転車で約3万キロ、クルマで約3万キロ、その他もろもろを含めると、恐らく年間8万キロくらいにはなるのでしょうか?

地球1周が約4万キロですから、1年間で地球を2周する計算になります。

旅が好きで、更に苦しい(M体質)のが好きな方には、自転車ロードレースがお勧めです

美しい熊野の地を走るレースが、明日開幕します!


ジロも大詰め!

2010-05-25 | インポート
今年の「ジロ・デ・イタリア」は白熱しています

56名の「大逃げ」が決まるという、前代未聞のレース展開で優勝候補の選手達が圏外へ葬りされられたかと思いきや、激坂「ゾンコラン」で過去の人になりつつあったイヴァン・バッソ(リクイガス)が急浮上

現在、総合首位のアローヨ(ケースデパーニュ)から、3分33秒差の総合3位まで順位を上げてきました。

残す難関ステージは「プラン・デ・コロネス(個人TT)」、「モルティローロ」、「ガヴィア」をそれぞれ含んだ3つの山岳ステージと、最終日の個人タイムトライアル。

全てがスペシャルなステージであり、何が起こっても不思議ではありません

まずは本日21時30分から「J SPORTS」で放送の、第16ステージ「山岳個人TT」に大注目です

標高1187mのサンヴィジリオ・ディ・マレッベから標高2273mのプラン・デ・コロネスまで12.9kmをかけて登るコースで、平均斜度は8.4%と若干おとなし目ですが、後半の5.3kmは未舗装区間であり平均勾配は10.2%

特にラスト1kmを切ってからは急勾配が続き、最大勾配は何と24%

今夜のステージを見ずに今年のジロは語れません…

ということで、今夜のレース解説は、絶叫間違いなしのテンション高めで挑みたいと思います


明日はTOJ最終日

2010-05-22 | インポート
東京に戻ってきました!

昨日の富士山ステージはとても残念な結果に終わりましたが、TOJで総合上位を強く意識する経験はなかなかできることではないので、長沼選手にとっても、そしてチームにとっても今後の良い材料を得たことは間違いないでしょう。

本日、厳しい厳しい伊豆のレースを終え、明日はいよいよ最終日の東京ステージです。

当初から辻選手に期待をかけてきたステージですが、今年のTOJ序盤は辻選手のコンディションはお世辞にも良いとは言えない状態にあり、もしかすると東京まで辿り着けないかもしれないという不安も若干ながらにありました。

しかし、辻選手はレースを走りながらコンディションを上げてきており、明日の東京ステージでは予定通り「何か」を試みたいと思います。

今シーズンはここまで、期待→失望→僅かな光、というサイクルをずっと繰り返してきています。

レース会場では、「大変そうですね」という言葉を非常に多くの方々から頂きました。

でも、正直いつものことです

自分が最初に監督に就任したミヤタではもっと悲惨な状態をたくさん経験してきていますし、シマノに加入した当初のチーム状態もかなり悪く成績は良くありませんでした。

チームが強くなるためには一定の時間と敗北が必要なことを理解していますし、あるレベルに達して勝ちはじめると周りは悪かった時のことをキレイに忘れてしまうことも経験しています。

引き続き自分たちの階段を登っていきます

もう少し時間はかかるでしょう。


いよいよ富士山ステージ!

2010-05-20 | インポート
目の前には、日本が世界に誇る名峰「富士山」がそびえ立っています。

更に宿のすぐ前には、「冨士浅間神社」があったので先ほどお参りに行ってきました。

手を合わせてお願いしたのは「みんなが幸せになりますように…」ということだけ。

明日のレースについてのことは、あえて考えないようにしている自分がいました。

なぜでしょうか?

きっとこれまでの人生で、「がっつり意気込んで挑む」よりも、「肩の力を抜いて緩く挑んだ」方が、望んだ結果になる確立が高かったので無意識にそうしていたのかもしれません。

宇都宮ブリッツェンは、まだ「レースのなか」にいます。

ステージレースも後半戦にはいると、勝負とは離れた位置で走る選手やチームが増えるなか、今年の宇都宮ブリッツェンは優勝争いまではいかなくとも、まだ上位を狙える場所にいます。

もちろん、レース展開のなかに於いては、他の有力チームのように真っ向勝負でぶつかっていくほどの力は現状有していません。

それでも、勝負どころの富士山ステージをこの位置で迎えられたことは大きな進歩を示してるといえます。

長沼選手の総合順位は20位、そしてタイム差は1分19秒、彼の富士山コースのベストタイムは43分前半。

海外勢のなかに41~42分ほどで登る選手が数名いますが、国内の有力選手たちは44~45分の時間を費やします。

足し算、引き算をしても、レースというのは思い通りにいかないことが多いですが、期待をするのは「レースのなか」にいるチームの特権です。

結果は結果。

富士山前夜をこんな緊張感を持って迎えられたことに感謝します。

長沼選手に幸運が訪れますように!


日本でのレース開催

2010-05-18 | インポート
本日、ツアー・オブ・ジャパンの「美濃ステージ」が終了し、明日は厳しい「南信州ステージ」となります。

引き続き集中してがんばりたいと思います。

さて、国内最大規模を誇るツアー・オブ・ジャパンですが、日本の厳しい道路環境のなかで7ステージのレースを行うことはかなり大変なことであり、参加している我々にもその苦労が伝わってきます。

欧州のレースに比べて決定的に違うことは、大会に関わるスタッフ(ボランティアも含む)の延べ人数が非常に多いということです。

理由は、やはり日本という国の特性というか、何事にも完璧が要求されるからなのでしょう。

近年、アジアの国々でも多くのステージレースが開催されるようになりましたが、その運営というのは良く言えば「臨機応変」、悪く言えば「テキト~」な感じです。(本場欧州は経験があるのでもっとアバウトです。)

昨年のUCI(世界自転車連合)のルール改定により、基本的にステージレースはラインレース(一部区間)にしなければならなくなりました。

もちろん、ゴール地点を周回コースにすることは可能ですが、すべて周回コースやクリテリウムで構成されている様なステージレースは、コースの構成を考え直さなくてはいけません。

ツアー・オブ・ジャパンは、基本的に周回コースをメインにコースが設定されていますが、それでもコースマーシャルの様な関係者の数はかなりの人数にのぼります。

「なにかあったらどうするんだ?」「誰の責任になるんだ?」ということがきっとあるのでしょうから、レースを行うことにとても神経質にならざるおえません。

例えば、レース中のチームカー同士の接触なども事故扱いになり、場合によっては現場検証を行うこともあります。

恐らく、自転車ロードレースを開催している世界中の国のなかで、その様な捉え方をしている国は他にはないでしょう。

ですので、交通量の多い地域でラインレースを行うとすると、とんでもない人数のマーシャルを設置する必要があります。

そう考えると、日本での自転車ロードレース(特にステージレース)の開催というのは、地域振興的な意味合いを持つ交通量の少ない地域で開催するのが現実的なのかもしれません。

それでも、「ナショナルツアーレース」であるツアー・オブ・ジャパンの存在は、非常に大切ですのでこの先もずっと続けていって欲しいものです。

ツアー・オブ・ジャパンには、「富士山ステージ」という世界に誇る難コースが設定されていますが、ツアー・オブ・ジャパンというレースの運営自体が、世界に誇る難易度を誇っている気もします。

もしかすると、ジロ・デ・イタリアや、ツール・ド・フランスを開催する方が、労力が少なくて済むのかもしれません…さすがにそんなことはないですかね?

でも、ある側面で見れば、ツアー・オブ・ジャパンの主催者というのは、世界で最も厳しい環境のなかでレースを開催している優れたオーガナイザーなのでしょう。

素晴らしいレースをありがとうございますm(__)m


ツアー・オブ・ジャパン開幕

2010-05-16 | インポート
いよいよ本日から国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」がはじまりました!

しかし、ステージレース期間中といのは、脳みそフル回転というか、やる事が非常に多いのでなんだか寿命を縮めている気もします…

ちょっと大袈裟ですかね?

特に今年は、大阪の宿と奈良の宿が今までと変わったので、段取りがスムースにいきません。

しかし、この不況の世の中でレースを開催していただくこと自体非常に有難いことなので、文句は言わずに適応能力をしっかりと働かせたいと思います

まあ、自転車ロードレース、特にステージレースでは、いかにハプニングをうまくやり過ごせるかがスタッフとして重要な能力の一つになるので前向きにがんばります

さて、本日の堺ステージ、非常に多くのお客さんが会場に集まりました

さすが、シマノのお膝元です

年々、いたるところで「自転車熱」の高まりを感じます

結構、ヘロヘロだったりもしますが、引き続き「精進していかなくちゃいけないな」と身が引き締まる思いです

さて、風呂に入って寝るとします

明日も5時起き 楽しいなあああああ


職人系クライマー

2010-05-14 | インポート
宇都宮には有名なヒルクライマーがいます

「そんなの誰でも知ってるよ、長沼選手でしょ?」という声が聞こえてきそうですが、実は長沼選手以上に「職人気質」のヒルクライマーがいるんです。

その名も「へばな」さん

マシンは、ロードバイクではなくて、なんと「ママチャリ(改)

ママチャリに乗り、峠に現れるローディーを次から次へと抜き去って、ローディー達を失意のどん底に突き落とす、栃木県で最もシュールなヒルクライマーなのです

シュールな笑いが大好きな私としては、「へばな」さんのセンスに120点をあげたいところです

ちなみに、2010年の「初撃墜」の時のブログはこちら

「へばな」のママチャリ自転車日記

宇都宮ブリッツェンのスタッフなども、既に何名か「餌食」になっているとのこと

大人になってもユーモアを忘れない「へばな」さんと、そんなユーモアを生み出した宇都宮の地がたまらなく好きです




学生(大学生)自転車競技界

2010-05-12 | インポート
先週末、小坂選手と若杉選手が、「修善寺オープンロード」という学生連盟主催のレースに参加しました。

通称「学連」と呼ばれる同連盟は、「インカレ」や「学生選手権」などの大会が軸にある「大学の体育会の競技」を統括する団体と説明すれば分かりやすいかと思います。

同様に、インターハイなどが軸となっている高校生のための競技を統括しているのが、通称「高体連」です。

かつては、我々が活動している実業団連盟(※高校生でも大学生でも実業団登録は可能だが他の連盟との二重登録は不可)の登録選手が、学連のレースに出場する事は認められていない時代がありました。

当然その頃は、学連登録の選手が実業団レースに出場することもできませんでした。

しかし近年、各連盟の垣根が取り払われつつあり、実業団レースに大学生がチームで登録を行えばレース参加は可能となり、また、上記のレースの様に、学連主催のレースに実業団登録の選手がエントリーすることも可能となっています。

このことは、選手数やレース数が本場欧州に比べて少ない日本にとっては、レースを走る機会が増えることに繋がるので非常に良い流れと言えるでしょう。

今回、大学生のレースに、宇都宮ブリッツェンの選手たちと参加してみて感じた事は、学連のレースが数年前に比べて非常にうまくオーガナイズドされてきており、事実上日本のU23の選手たちの受け皿となっている同連盟の環境が良い方向に向かっているという事実でした。

そして、レースでは、不調の小坂選手や若杉選手が思った様に動けず、ゴール後、かなり落ち込んだ表情をみせました。

小坂選手は実際に現役の大学生(4年)ですし、若杉選手も大学に通っていればまだ3年生の年齢です。

日本では、何故か「実業団選手>大学生」という古臭い図式が定着していますが、大学で走っている選手達というのは高校時代にインターハイなどで活躍したエリート組も多く、スポーツ推薦で大学に入っている以上、その練習環境はそこいらの実業団選手よりも優れたものを得ています。

正直なところ、小坂選手や若杉選手らよりも経験は豊富ですし、練習量もより多くをこなしてきているでしょう。

しかし、ブリッツェンの二人は学生のレースで走れなかった自分を責めているふしがあり、それはある意味で大学生を見下していることにも繋がります。

このことは、小坂選手と若杉選手に非があるわけではなく、実際の実力や環境が、カテゴリーに正常に反映されていない国内レース界の歪みに起因しているとも考えられます。

常々私が言っていることは、レースに於いて強いものは、バックグラウンドに関わらず評価されるべきということです。

今回のレースで、ブリヂストンのエリート選手を下して優勝した西薗選手は、非常に優れた選手であり、パワートレーニングを主体としたかなり厳しいトレーニングを積んできています。

「大学生なのにプロに勝った」、これは褒め言葉に聞こえますが、逆に西薗選手を子供扱いしている表現にも聞こえます。

大学生の中には、実業団選手よりも高いモチベーションを持ち、より多くの練習時間と環境を作り出して日々精進している選手はたくさんいます。

そして、先に書いたように、学連のスタッフの方々も、より優れた競技環境を生み出す為に正しい努力を進めてきています。

小坂選手と若杉選手は、6月に開催されるU23全日本選手権ロードで、「23歳以下の全日本チャンピオン」を懸けて再び彼らと戦います。

その時は、決して「格下」と戦うという意識は持つべきではないでしょう。

たしかに、小坂選手と若杉選手は「UCIコンチネンタルチーム」という、ある意味でプロと呼べるチームに在籍していますが、その事だけで無駄なプライドは持つべきではありません。

バックグラウンドがどうであれ、スポーツというものは、対戦相手よりも「優れた才能」と、「より多くのトレーニング」が必要になります。

勝てないのは、そのどちらかが不足しているからです。

相手を知り、相手の優れているところを尊敬し、その上で叩きにいかなければ勝つ事は難しいでしょう。

そして、学連と実業団の間にある垣根というものが、今後、より正常に取り払われれていけば、若い選手たちの可能性はより大きくなると感じています。

(ブログ更新サイクルが戻ったあ~


実業団制度検討委員会

2010-05-11 | インポート
昨年までの数年間、全日本実業団競技連盟内で「広報委員」を担当していました。

報酬などは発生しない任意の委員会で、実業団レースの露出を増やす方法などを皆で考えなら進めてきました。

そして、今期から「制度検討委員会」というものが設立され、私も広報委員からこちらの委員へ転籍することになったのです。

取り組んでいる内容というのは、文字通り、実業団レースの制度改革を検討する委員会で、広告代理店の方や、メディア関係者、弁護士さん、スポーツビジネス界のスペシャリストの方などを交えて、定期的に議論を進めています。

現状では、まだ具体的な内容は何も決まっていませんが、少しずつ何かを生み出す方向に舵を切っているのは間違いないでしょう。

この先、どのくらいの時間を費やしてカタチになるのかは正直まだ分かりません。

自分の表向きの顔というのは、「監督」や「テレビ解説者」がメインとなっていますが、最終的にたどり着くのはやはり「日本にロードレースの文化を」という想いなのです。

いつも言いますが、「監督」というのは「チーム」があってこそ、「チーム」というのは「レース」があってこその存在です。

「テレビ解説者」についても、現在は欧州のレースのみの中継になっていますが、いつかは「J SPORTS」さんで国内レースを中継してもらう環境をつくる事が夢であり、その時が来れば、マイナーコンテンツ時代から自転車ロードレースを中継して下さっていた「J SPORTS」さんへの恩返しになると感じています。

監督の顔 = レース界で日本独自の文化を作り上げる作業

解説者の顔 = より多くの方々にロードレースの魅力に触れて頂き日本のレースシーンを活性化する作業

それぞれの仕事にプライドを持ち、時には別人の様なキャラクターを使いわけながら取り組まなければなりませんが、見えている遥か彼方の頂は一つなのです。

自分が力尽きて、例えそこにたどり着けなくても、キチッとした階段を作ればきっと誰かが引き継いでくれるはずです。

だからこそ、正しい方向に向かう制度を作ることが、何よりも大切なのでしょう。


ブログ更新停滞中

2010-05-10 | インポート
今月に入って2日に1回のブログ更新サイクルが崩れました
言い訳ですが時間がなくて完全に後手にまわっております…
自分のブログアップの前にまずはチームのHPのアップ作業をこなします
どこかで連続ブログアップを遂行して2日に1回サイクルを無理やり維持するぞぉ
と、負けず嫌いなアラフォ~の独り言でした


ジロ・デ・イタリア イベント(大阪)

2010-05-07 | インポート
本日、大阪心斎橋の『digmeout ART&DINER』に於いて、
J SPORTS さん主催の「ジロ・デ・イタリア2010前夜祭」が開催されます


トークショーのほか、お馴染みの各賞ジャージ予想、更に今年は初の試みとしてシミュレーターを使用したスプリント対決が行われるようで、ナント優勝者は私と最後に直接対決を行うとのこと…


どうなることやら…


そして、今年の注目ポイントは、イベントの様子をインターネットを通じてUSTREAM中継を行うことです


さすが J SPORTS さん 最先端を行ってます


ちなみにUSTREAMの中継アドレスは、当日こちらのツイッター(http://twitter.com/jsports)でお伝えするとのこと。


USTREAMを使った中継は、今年に入ってくりらじさんがJサイクルツアーなどでも本格的に運用をはじめており、国内ロードレースの様なこれからのスポーツコンテンツにとってはピッタシのライブ中継メディアと言えます。


それでは、1泊2日で久々の大阪に行って参ります


PiTaPaの出番だ


そして日曜日は、小坂選手&若杉選手のアンダーコンビが出場する「修善寺オープンロード」です


夜間走行のお供に

2010-05-05 | インポート
最近、宇都宮市内での移動はもっぱら自転車です。

私が現役だった頃は、「極力歩くな、極力立つな、練習以外は寝てろ」という、今とは若干違った「教え」が主流だったので、ちょっとそこいらへの移動も「クルマ」を頻繁に使っていました。

その影響か、日常の交通手段として「電車」、「自転車」、「歩く」という、いわゆるスタンダードなものが、自分にとってはとても縁遠いものとなっていました。

時代が変わり、世の若者達はクルマを所有しないのがスタンダードだと聞きます。

アラフォーの私としては、クルマのない生活など想像もつきませんが、それでもクルマに対する考え方や運転の仕方なども、徐々に変化してきてはいます。

先日、ハイブリットカーに乗る機会があったのですが、久々に心が揺れました…

ほ、欲しい…

トヨタカローラ栃木」さんに「SAI」の試乗に行っちゃおうかなあ

それとも、2012年に発売予定と言われているスバルのハイブリットスポーツモデルを「栃木スバル」さんで正式発表もしていないのに予約してこうようかなあ

若い時に抱いていた、「速くてカッコイイクルマが欲しい」という感覚は確実に変わってきています。

また、運転の仕方も「スムースかつ低燃費な運転」を無意識のうちに心がけるようになってきました。

これって時代に敏感というよりかは、ただ単にオッサンになっただけでしょうか…?

そして冒頭に書いたように、移動手段としての自転車の良さを今更ながら知ったのです…

移動手段としての自転車(ロードバイク)に乗ってみて感じたことは、盗難対策の重要性。

仕事柄、所有している自転車がどれもクルマ並みの価格帯なこともあり、盗まれたらしばらく立ち直れそうにありません…

そしてもう一つ、夜暗くなってから乗ることが多いので、ライトの存在も非常に重要になります。

マウンテンバイクにはネジ止めタイプのライトを付けてあるので良いのですが、複数あるロードバイクに関しては、乗るたびにライトを付け替える必要があり、正直面倒だったりしました。

しかし

先日、柿沼コーチより以下の製品を渡されました

Slld110

キャットアイ」社の、その名も「LOOP」。

同じような製品は既にたくさん流通していると思いますが、明るさ、構造のシンプルさ、取り付け&取り外しの簡単さなど、非常によくできている製品です。

電池は「CR2032」が2枚なのでコンビニで普通に買えますし、点滅モード(後尾灯)で50時間もつみたいなので、1日30分の使用でも3ヶ月以上は使える計算になります。

早速、「KUOTA」に取り付けてみました

01

02

かなりの明るさにビックリ村

サイドからの視認性も高いことがわかります

クルマはECOドライブ、更に近場の移動は自転車でECOライド

地球に優しい監督を目指したいと思います。


ゴールデン(イベント)ウィーク

2010-05-03 | インポート
ゴールデンウィークも終盤に差し掛かってきました

宇都宮ブリッツェンにとっては「お休み週間」ではなくて「お仕事週間=イベント」となっています。

1日には「東武宇都宮百貨店」で、2日は「宇都宮PARCO」で、そして3日には「ツインリンクもてぎ」での各イベントに参加しました。

戦うために参加する「レース」と、来場者の方々を楽しませるために参加する「イベント」では、その「質」というものがある意味で正反対となります

本来は、プロ選手としての「戦う姿勢」などをオフの場でも表現することで、皆さんにレースへの興味を持って頂くことが正しい姿なのかもしれませんが、現状、自転車ロードレースそのものの認知度が低いので、今の我々は楽しさも交えながらこのスポーツ自体の説明を織り交せて話す必要があります。

チームや運営会社の努力により、宇都宮市内での「宇都宮ブリッツェン」の知名度はかなりのものがあります

今回、私が参加した「宇都宮PARCO」さんのイベントについても、イベント告知のチラシが30万部刷られて新聞の折込として配布されたほか、若い女の子が集まる店内のいたるところに、顔写真入りの告知ポスターが張られていました

ギャルの皆さん、ごめんなさい…

しかし、「宇都宮ブリッツェン」の存在は知っていても、このスポーツ自体の知識は皆無に近いのが現状です

ですので、宇都宮の方々は、「ツール・ド・フランス」や「ジャパンカップ」は知っていても、「Jサイクルツアー」や、「ツアー・オブ・ジャパン」の存在などはまったく知りませんし、シマノやブリヂストンの様な国内有力チームの存在などを知る由もありません。

恐らく、世界で活躍している、別府選手や新城選手の存在も殆ど知られていないでしょう

宇都宮という地に関していえば、自転車ロードレースというスポーツそのものの入り口が、このチームを通じたものになっており、もしかすると宇都宮ブリッツェンを通じて、先にでてきたレースやチーム、世界で戦っている選手などを知った方々も多いかもしれません。

今回のイベントを通じて、一般の方々が集まる場での露出の大切さを改めて実感するとともに、自転車ロードレースというのスポーツの「知名度」がまだまだ低いということを認識しました。

レースで勝つための活動、自転車の魅力を知らせるための活動、自転車教室などの活動。

今は、この全てが同じくらいの重要度を持っている時期なのだと感じました。