しゅ~くり~む ら

Osamu KURIMURA Official Blog

ゼロ・トレランス

2013-04-29 | インポート
『ゼロ・トレランス』という言葉をウィキペディアで調べてみると、『1990年代にアメリカで始まった教育方針の一つ。「zero」「tolerance(寛容)」の文字通り、不寛容を是とし細部まで罰則を定めそれに違反した場合は厳密に処分を行う方式。日本語では「不寛容」「無寛容」「非寛容」等と表現され、転じて「毅然たる対応方式」などと意訳される。』と説明されています。

自転車ロードレースの世界では、Team SKY がドーピング撲滅のために設定しているチーム内規定(過去にドーピングの経歴がある選手・スタッフは一切雇わない)を表現するための言葉としてよく使われています。

現在、本場ヨーロッパのプロトンのなかには、過去にドーピング陽性となった経歴を持つ選手が数多く走っています。

また、実際に陽性反応が出ていなくとも、なんらかの疑惑があった選手を含めるとその数はかなりのものとなってしまいます。

もし、自転車ロードレース界全体で『ゼロ・トレランス』を採用すると、相当数の選手とスタッフが職を失い、また、チームオーナーが過去に禁止薬物使用の経歴を持っているケースもあるので、チーム自体が消滅することにも繋がってくるでしょう。

バイオロジカルパスポートが導入されるようになってからは、それらの監視下に置かれているUCIプロチームや、プロコンチネンタルチームに所属している選手たちの禁止薬物使用は以前に比べてかなり困難になってきているといわれています。

その影響か、ここ数年、コンチネンタルチームの無名選手がビッグレースで総合優勝を飾る例が目立つようになってきました。

結局のところ、尿検査などの競技内検査だけでは、能力向上薬品の検出や自己輸血の有無などを全て調べることは困難だということなのでしょう。

結果的に、ハイカテゴリーのレースとローカテゴリーのレースのレベル差がグッと縮まり、同様にトップチームの選手とそうではないチームの選手との差も以前よりかなり小さくなってきているようです。

そして、『ゼロ・トレランス』という言葉と逆行するように、未だに、過去に何度も謹慎処分を受けたような選手を雇うチームがあります。

そういったチームには、同様の考えを持った人間が集まってきてしまいます。

全体でみると、『ゼロ・トレランス』の考え方を持った関係者の割合は10%以下でしょう。

例え正しい価値観を持った人間がいたとしても、それが極少数なら全体を変えることは難しいのかもしれません。


1レースごとに成長する選手たち

2013-04-27 | インポート
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[スタート直後から集団前方でのアタック合戦に加わる宇都宮ブリッツェンの若手ライダーたち]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

本日、Jプロツアー第4戦の『JBCF群馬CSCロードレース』が群馬サイクルスポーツセンター6kmサーキットで開催され、成長著しいマトリックスパワータグのエースライダー窪木一茂選手が、ここまで圧倒的な強さをみせていたTeam UKYOの新外国人選手、ホセビセンテ・トリビオをスプリントの末下し、Jプロツアー自身初の勝利を飾りました。

宇都宮ブリッツェン勢は、最終局面で形成された13名の先頭集団に普久原選手、中村選手、鈴木近成選手の3名が残り、今期最初のJプロツアーでの勝利を目指したものの、最後の攻防で上記2名に行かれてしまい、最後は中村キャプテンの5位が最高位となっています。

今日のレース、というか、今シーズンのここまでのレース、若手選手たちのキラキラした眼差しと、それとは対照的な不安な表情を数多く見てきました。

学連出身の郡司選手、高体連出身の城田選手にとっては全てが初体験。

既にJプロツアーを1年走っている経験はあるものの、地元宇都宮出身ということで恐らくこれまで感じたことのないプレッシャーの中で走っている鈴木近成選手。

そして、チーム2年目とはいえ、崖っぷち、というよりも崖下から這い上がってきたような状況の、実はまだ選手歴2年半の堀選手。

既にレース後、数人の選手からは悔しさから湧きでてきたのであろう涙をみています。

彼らは、レースに対して、真摯にそして真剣に取り組んでいます。

もちろん、“鬼軍曹”中村キャプテンからみればまだまだ甘ちゃんなのでしょうが、それでも自分がこれまで見てきた数多くの選手たちと比較して、“何かをやってやろう”という気概は決して小さくはありません。

今日のレースでも、彼らは最初の1時間を4人で必死に格上の選手たちとやり合っていました。

その結果、堀選手と城田選手はメイン集団から千切れ去り、郡司選手もなんとかメイン集団に留まったものの最後の勝負に加わることはできませんでした。

そんな中、先週の南紀白浜クリテリウムで惨敗を喫した鈴木近成選手は、前半、中盤とある程度動きながらも、最終的に10位に入る走りをみせました。

ゴールした瞬間、普段は物静かな近成選手が雄叫びをあげました。

悔しさや、色々な気持ちが込みあげたのでしょう。

今日の彼らの走りを決して心から褒める気はありません。

スタートから動き続け、そして後半の勝負にも絡み、その上で優勝を狙える選手になって欲しいからです。

しかし、彼らの現在のモチベーションが、どのチームのどの選手たちにも負けていないのことは伝えてあげたいと思いました。

まだもうしばらく時間はかかるでしょう。

5月には、皆にとってまたまた大きなチャレンジとなるUCIレース2連戦が待っています。

そして、その後の6月には国内頂上決戦となる全日本選手権ロードもあります。

昨年同様に勝利を期待されているファンの方々には申し訳ありませんが、私自身、昨年にはなかった高揚感を持って毎レース戦っています。

怪我をおして出場した飯野選手、懸命にリハビリを続けている鈴木真理選手、冬の手術から完全復調に向けて静かに燃えている普久原選手、あまり自分のチームの選手を褒め過ぎると若干気持ち悪くみえてしまうかもしれませんが、このチームの可能性は決して小さくはありません。

今できることを一歩ずつ、そして精一杯にやる。

それに尽きます。


我らワールド Vol.2

2013-04-25 | インポート

[#jspocycle presents ようこそ!我らワールド 2 アルデンヌクラシック前編]


[#jspocycle presents ようこそ!我らワールド 2 アルデンヌクラシック後編]

サイクルロードレースの情報番組 『#jspocycle presents ようこそ!我らワールド』 の第2回 アルデンヌクラシック編 がアップされました。

白浜でのレース翌日に収録を行ったので(白浜→チームカー→尾張一宮PA→救急車→救急病院→タクシー→夜中にホテルチェックイン→尾張一宮駅→名古屋駅→東京という旅のあと)若干グダグダになっております。

まあ、いつもグダグダなのであまり変わらないと言えば変わらないのですが…


おあと67日

2013-04-23 | インポート
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今年、100回目の記念大会を迎える世界最高峰の自転車ロードレース 『ツール・ド・フランス』 の開幕まで残すところあと67日。

お台場にあるスポーツ専門チャンネル 『J SPORTS』 のエレベーターホールにも “ツール100回記念” 特別コーナーが設置してありました。

更に社員さんの名刺も “ツール100回記念” バージョンに

J SPORTS さんのオフィシャルHP内にも “スペシャルページ” が開設され、ツール開幕までを毎日カウントダウンしていく “ペダルオトメ100” なる企画も出現しております

今年は現地からの Live中継 も予定されているということで、この歴史的な瞬間を絶対に見逃すわけにはいきません


尾張一宮

2013-04-21 | インポート
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実はいま飯野選手と共に一宮にいます。

宇都宮への帰路の途中、夜23時頃に入ったサービスエリア内で飯野選手が突然めまいに襲われ、意識が遠のいて倒れる寸前の状態となりました。

あくびを連発し耳鳴りなどの症状を訴えたので、至急救急車を呼び、一宮市内の救急病院へ直行。

落車の際にヘルメットが割れていたため、頭部CT検査及び打撲箇所のレントゲン撮影を行いました。

検査の結果、擦過傷と打撲以外は異常はないとのことで一安心。

恐らく低血糖状態+全身に負った無数のキズによる影響だったのかもしれません。

今夜は尾張一宮駅周辺で1泊し、明日新幹線で宇都宮へ戻ることになります。

但し、改めて飯野選手の全身の怪我をみると、擦過傷だけでもかなりの大怪我であることを実感します。

我々、自転車ロードレース関係者というのは、時に“痛み”や“苦しみ”に対して鈍感になってしまうことがあります。

今日のレースで飯野選手が落車事故のあとに再び立ち上がって走ったことは、“当たり前”ではないということを改めて認識しなければなりません。

重度の骨折事故から何度も蘇った増田選手、昨シーズンの夏に上唇が貫通する怪我から数週間でレース復帰した中村選手、そして現在大腿骨骨折から執念で復帰を目指している鈴木真理選手…

レースでの勝負以前に、彼らが“危険”と“痛み”を恐れない現代の“侍”だということを改めて思い知らされます。

文字通り命をかけて戦っているのです。

先ほど、CTスキャンの結果を待つ最中、眠りについた飯野選手の横である種の恐怖感を覚えました。

その後、先生から異常なしとの言葉を聞いたとき、少しだけ涙が出そうになりました。

現在、他のメンバーはまだ陸路で宇都宮を目指しています。

宇都宮到着予定時間は午前4時。

『これが自転車ロードレースというスポーツなんだ』と言ってしまえばそれまでですが、やはり受け入れるべきことと、改善を目指すべきことは分けて考えなければなりません。

飯野選手が6日後に開催される次戦『JBCF群馬CSCロードレース』に出場できるかは現時点では不明ですが、まずは飯野選手の怪我が大事に至らなかったことに心から感謝したいと思います。


JPT2戦&3戦 南紀白浜

2013-04-19 | インポート
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本日、陸路10時間をかけて和歌山県白浜町へ移動しました。

明日20日(土)はJプロツアー第2戦の 『JBCF南紀白浜チームタイムトライアル』 が、明後日21日(日)はJプロツアー第3戦の 『JBCF南紀白浜クリテリウム』 が開催されます。

宇都宮ブリッツェンの若手ライダーたちにとっては初めてのレースであり、この2日間の経験が今後へのステップになることは間違いありません。

その一方で、チャンピオンチームという重責も背負っており、いきなり勝利を求められるという難しいチャレンジでもあります。

普久原選手と中村キャプテンのベテラン二人が引っぱる形で、飯野選手(23)、鈴木近成選手(23)、郡司選手(22)、堀選手(20)、城田選手(18)の若手5人衆が強豪選手たちに挑みます。

また、現在リハビリ中の鈴木真理選手は、既に自転車でのトレーニングを再開しており、6月の復帰に向けて強い意志を持ち続けながら努力を継続しております。

皆が目の前にあることを一つずつクリアーしていくことで、いずれ大きな成功を手にする時が必ず来ます。

今週も全力でがんばります。


ユイの壁

2013-04-17 | インポート
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本日はこれからアルデンヌクラシック2戦目となる 『フレッシュ・ワロンヌ』 の解説です。

先日の日曜日に開催された 『アムステルゴールドレース』 は、今季からサクソ・ティンコフに移籍した ロマン・クロイツィゲル が独走でメジャーワンデーレースでの初優勝を飾りました。

今夜の 『フレッシュ・ワロンヌ』 の特徴といえば、なんと言っても最大勾配が26%にも達する“ユイの壁”です。

全長1.3kmのユイの壁の頂上付近がゴールとなっているため、このレースで勝つためには激坂登坂力が必要となります。

ここ数年逃げが決まった展開は殆どなく優勝争いはユイの壁でのスプリント勝負となっており、今年もトップ選手たちが苦痛に顔を歪めながらユイの壁を駆け上がる光景が見られそうです。

世界チャンピオンの フィリップ・ジルベール(BMC)は、まだアルカンシェルを着て大きなレースを獲っていません。

一方、ディフェンディングチャンピオンで今年の ツール・ド・フランス を狙うと宣言している プリート・ロドリゲス(カチューシャ)は、先日の アムステルゴールドレース で落車負傷した状態での出場となります。

その他、激坂ダッシュへの適性はまだ未知数の ペーター・サガン(キャノンデール)も予定を変更して参加を表明しています。

定石通りパンチャーが勝つのか?それともステージレーサーがロングスパートで勝利を手にするのか?

このあと 21:55 から J SPORTS 4 で生中継


ドヤ顔リターンズ

2013-04-15 | インポート
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[数的不利の展開のなかで2位をもぎ取った宇都宮ブリッツェンの新エース飯野選手]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

本日、2013年Jプロツアー開幕戦となる 『JBCF伊吹山ヒルクライム』 が、岐阜県の伊吹山ドライブウェイで開催され、Team UKYO の新スペイン人選手 Jose Vicente TORIBIO ALCOLEA が圧倒的な力をみせて独走優勝を飾りました。

トリビオ選手は、昨年までスペインのプロコンチネンタルチーム“アンダルシア”に所属していて、3年連続でヴエルタ・ア・エスパーニャを完走しているほか、2011年にはヴォルタ・ア・ポルトガルでステージ優勝を飾っている強豪選手です。

その、トリビオ選手から遅れること約2分30秒後、全日本チャンピオンの土井選手(Team UKYO)、狩野選手(Team UKYO)、飯野選手(宇都宮ブリッツェン)の3人がゴール前に姿を現し、最後は宇都宮ブリッツェンの新エース飯野選手が得意のスプリントで二人を抑えてなんとか2位をもぎ取ってくれました。

更にその30秒後、飯野選手をレース終盤に助けた宇都宮ブリッツェン2年目の若手ライダー、堀選手が単独5位でゴールに飛び込みます。

堀選手は昨年のJプロツアー開幕戦で落車に巻き込まれ両手首を骨折する大怪我を負い、復帰して間もないレースで再び転倒して手首をもう一度折るという不運なシーズンを送った選手です。

なんとかクビを免れて背水の陣で挑んだ2回目の開幕戦、得意のヒルクライムレースでP1クラスタ初のトップ10フィニッシュを果たしました。

彗星のごとく現れ、Eクラスタで3勝してたった1年で宇都宮ブリッツェンに昇格した地元宇都宮出身のシンデレラライダーは、暗黒の1年を乗り越えて再び表彰台に上がったのです。

ドヤ顔王子と呼ばれた2年前のシーズン、しかし昨年はドヤ顔を見ることは一度もなく、このままレースの世界から消えてしまってもおかしくない状況を乗り越えて、ピュアホワイトジャージに袖を通しました。

しかし、堀選手はようやくスタート地点についたに過ぎません。

これまで中村キャプテンから数えきれないほど怒鳴られてきましたが、この先も覚えることは山ほどあります。

宇都宮生え抜きライダーの挑戦は、まだはじまったばかりです。

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[2011年JBCF西日本クラシックE3クラスタでロードレース初優勝を飾りドヤ顔をみせる堀選手]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

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[辛い1年を過ごした堀選手が再びポディウムに上がりピュアホワイトジャージに袖を通す]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS




我らワールド

2013-04-13 | インポート

[#jspocycle presents ようこそ!我らワールド 1 北のクラシック前編]


[#jspocycle presents ようこそ!我らワールド 1 北のクラシック後編]

今月よりスポーツ専門チャンネル Jスポーツ にて 『jspocycle presents ようこそ!我らワールド』 の配信がはじまりました。

内容はこれまでありそうでなかった(動画)自転車ロードレースの情報番組です。

サッカーの情報番組は 『Foot!』、プロ野球の情報番組は 『野球好き』 などがそれぞれあるわけですが、WEB版とはいえようやく自転車ロードレースもこういった番組がスタートしたことになります。

今週末はいよいよ Jプロツアー開幕戦の 『JBCF伊吹山ヒルクライム』 。

この番組では国内レースの情報も随時お伝えしていく予定となっておりますので、近くでレースが開催する際は是非会場にも応援にきてください。


様々な立場

2013-04-11 | インポート
私が自転車ロードレースの世界に入ったのは、言うまでもなく選手という立場からです。

日本というロードレース後進国で競技をはじめ、その2年後にはフランスへ渡っていました。

当時のカテゴリーはジュニオール(分かりやすく言えば高校生カテゴリー)。

ナントのクラブにはフランスのジュニアチャンピオンも在籍していましたが、皆高校生ということもあって、レース会場へは親やコーチに連れていってもらうのが一般的でした。

当時のチームメイトたちはジュニアを卒業する段階でまず最初の選択を迫られていました。

その選択とは、自転車を続けるかどうか?です。

ここで続けることを選んだ選手というのは、それなりに成績を残せた選手たち。

しかし、結果的には当時のチームメイトでプロまで上がれた選手は一人もいなかったと思います。

一つ上の選手で、USポスタルなどに所属した パスカル・ドゥラメ という選手はいましたが…

私がこの時代に見たものは、本場の自転車ロードレースの底辺でした。

頂点に君臨する ツール・ド・フランス というプロスポーツを目指す子供たちとその親御さん、そして彼らを育てるクラブチームとコーチたち。

自分はそのなかで同じように頂点を夢見ていました。

しかし、あれだけたくさんの選手がいながらも、私の身近に ツール・ド・フランス に出場した選手は一人もいなかったということです。

それから日本に戻り、シマノという名門実業団チームに加入しました。

当時の実業団チームはまだ本格的な海外活動をはじめる前の段階で、日本独自の“自転車競技”という枠の中でのレース活動を続けました。

国体などのステイタスが高い時代で、ヨーロッパでの活動経験のない選手もたくさんいました。

そして、その後再びフランスへ渡ってエリートレースを走り、26歳の時にポーランドのプロチームへ加入します。

結局、プロのメジャーレースを走ることはできませんでしたが、いくつかのレースでは当時のトッププロ達とも肩を並べて走ることができました。

帰国後、再びミヤタという国内実業団チームに戻って数年走り、30歳で同チームの監督を務めることになります。

時を同じくして、スポーツ専門チャンネル 『Jスポーツ』 で放送されている海外ロードレースの解説業をはじめ、メディアという伝える側の価値観も学びました。

ミヤタチームが親会社の業績不振で解散したあと、スキル・シマノのスポーツディレクターに就任。

ここでは当時の今西監督を中心としたグローバル戦略が進められていて、日本人初の ツール・ド・フランス 出場という歴史的な出来事を身近な場所で経験するとこになります。

この頃から、ミヤタ時代から水面下で進めていた国内リーグ構想の動きがより活発化し、レースを創る側の人たちとの接点が増えるようになっていきました。

一方、企業系チームでの限界を感じた私は、発足当初から関係の深かった宇都宮ブリッツェンの監督を務めることになります。

それまでも比較的多様な経験をしてきた自負はありましたが、宇都宮ブリッツェンに加入してからは自転車畑外の人たち、要するに一般社会で生きている人たちとの接点が格段に増えたことで自分の視野の狭さを痛感することになります。

そこで改めて感じたことというのは、ずっと自転車界のなかだけで生きてきた人達の特殊性です。

自転車界の常識がいかに非常識であったかなど、ハッとさせられることが続きました。

そして、最近では、レースオーガナイザーの方や、コミッセール(審判)の方などとの接点も多くなっています。

選手、チーム、海外、日本、アマチュア、プロ、メディア、監督、チーム運営、競技連盟、レースオーガナイザー、コミッセール、リーグ構想、ファン、スポンサー、etc…

改めて言えることというのは、本当に多くの人たちの存在と想いがこの世界を構築しているということです。

これら全ての人たちの価値観、利益、目標などを理解することは大変困難なことですし、時にそれぞれがぶつかり合っている光景もよく目にしてきました。

しかし、同じ世界に生きる“同士”である以上は、共通の大きな目標を持ち、根底では同じ方向を向いたステークホルダーにならなくてはいけません。

政治家や役所などの仕事と一緒で、中央の仕事というのは褒められることの少ない過酷な環境にあると思います。

この先もずっと 『監督』 と呼ばれているのがある意味で居心地がいいのはわかっていますが、『監督』 というポジションが全体の末端に近いことがわかった以上は、先に進む準備をしなくてはいけないとも感じています。

先に進むか、もしくはやめるか…

監督を10年もやっていたら本当にこの先も何も変わらなくなってしまいます。


いろいろ

2013-04-09 | インポート
人生、いろいろとありますよね。

年齢や立場の変化とともに、日々前に進むためのモチベーションのひねり出し方にも変化を加えないといけません。

子供の頃というのは、おもちゃが欲しいから、遊びにいきたいから、など、かなり単純かつ簡潔な理由から高いモチベーションを生み出すことが可能でした。

しかし、年を重ねるにつれて、パワーを生み出すための目標や目的がより複雑になっていきます。

立場を身につけ、知識を身につけ、知恵を身につけ、数多くの失敗から恐怖心も身につけ、良く言えば人は堅くなり、悪く言えば頭がどんどん硬くなっていってしまいます。

基本的に人間の心っていうのは自転車操業なのでしょうか。

2日に1回ブログを書いてると、たまにこんな内容のブログも出現してしまいます

生きていると誰でも心が揺れ動くものです。

ブログ更新頻度の決め事がなければ、今夜は確実にブログなんて書いてないでしょう

何故なら、タブレット端末で作成した原稿がうまくクラウドに保存されず全部消えてしまったからです…




パリ~ルーベ

2013-04-07 | インポート
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本日これから、“北の地獄”の異名を持つクラシックレース 『パリ~ルーベ』 の中継に挑みます。

実況はサッシャ氏、解説は“ミスター石畳”の三船雅彦氏。

ちなみに、午後に日本CSCで開催が予定されていた 『チャレンジロード』 は日本列島を横切っていった爆弾低気圧の影響で 開催中止となってしまいました。

一方、多くのファンが悪天候下でのレースを期待?している 『パリ~ルーベ』 は、残念ながら?今年もドライコンディションの模様… しかし、その過酷さは健在ですので、激しい戦いが繰り広げられるのは間違いありません。

カンチェラーラを倒せる男は現れるのか?

このあと 20時 から JSPORTS 4 で完全生中継


素人芸…

2013-04-05 | インポート


『自転車のススメ ~ツール・ド・フランスのミ・カ・タ~ #1 入門篇』 がYouTube にアップされました

昨年は、安田大サーカス 団長安田さんにうまく転がしていただきましたが、今年は素人二人で笑い?をとりにいくというかなり難易度の高いチャレンジに…

改めて見てみると、自分の修行の足りなさを痛感してしまいます




こちらは昨年放送されたススメ #4 です。

やはりプロというのは、いかなる相手でもうまくまとめてしまいますね


って、いったい何を目指しているのかよくわからなくなってきましたが、引き続き 『なんでも全力投球』 でがんばってまいります


鈴木真理選手の抜釘手術

2013-04-03 | インポート
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鈴木真理選手の抜釘手術が無事に終了しました。

上記写真は鈴木真理選手のブログに掲載されていた固定用プレートです。

大腿骨の付け根付近を固定していたわけですからある程度頑丈なものであることは理解していましたが、実物画像を見ると改めてその大きさに驚かされます。

これだけのものが取り外されたわけですから、当然骨の一部が空洞になっており、安全面(落車などによる再骨折)を考えるとまだ一定の回復期間が必要となってきます。

既に鈴木真理選手はリハビリを開始しており、それほど時間をかけずに自転車でのトレーニングを再開する予定となっています。

問題はレースへの復帰タイミングです。

鈴木真理選手本人には相応の焦りが生まれていると思いますが、多くの困難を乗り越えながらようやくここまで辿り着いたわけですから、ある程度確実なタイミングでの復帰を模索したいところではあります。

それまでは、7名の選手たちと共にしっかりとレースを戦っていきたいと思います。


今シーズン初レース

2013-04-01 | インポート
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昨日、シーズン最初のレースとなる 『第53回社会人対抗ロードレース』 に出場し、宇都宮ブリッツェンの飯野選手が、今シーズから Team UKYO に移籍した土井選手を抑えて優勝を飾りました… が、実際は土井選手が周回数を勘違いするというハプニングがあったため、『勝たせてもらった』 という表現が正しいといえます。

チーム全体の内容としては、飯野選手以外の選手は全員が後続のメイン集団内でのゴールとなっており、課題もそれなりに残る初戦となりました。

レース中盤に形成された13名(大学生やクラブチームの選手も含む)の先頭集団に残れたのは飯野選手のみ。一方、Team UKYO は4名がこの中に入り、現時点での戦力は Team UKYO の方が上であることがハッキリとしたレースでもあります。

しかし、Team UKYO の戦力が我々を上回っていることは既にわかっていたことでもあるので、今回のレースで光る走りをいくつかみせた宇都宮ブリッツェンの若手選手たちの可能性を信じ、引き続き地に足を着けた活動を続けながらチーム全体のレベルアップを目指していきたいと思います。

そして、修善寺でのレースが終わったあとすぐに土井選手と共にお台場へ移動して、世界一のワンデーレースである 『ロンド・ファン・フラーンデレン』 の中継に挑みました。

勝ったのは、優勝候補最右翼のファビアン・カンチェラーラ(レディオシャック)。

ボーネン(オメガファルマ)が序盤にクラッシュしてリタイヤする波乱の展開のなか、ライバル全員からマークされながらも圧倒的な力で全員を引きちぎった強さはまさしく『異次元』。

来週の 『パリ~ルーベ』 でも、チームがうまく機能し大きなアクシデントに見舞われなければ、勝利を手にする可能性はかなり高いのではないでしょうか。

そんなロードレース三昧の一日ではありましたが、お台場へ向かうクルマのなかでは土井選手が持つジレンマに触れる時間帯もありました。

昨年まで世界最高峰の舞台で活動していた土井選手が、いきなり日本のローカルレースに出場するということは、モチベーションを維持するという観点でみると決して容易な作業ではないはずです。

人が何かを考えるときというのは、様々な 『視点』 や 『時間軸』 を選択した上で答えを探しにいきます。

そして、その選択された組み合わせによって多様な 『価値観』 が生み出されるのです。

選手や現場に近い指導者というのは、 『現場視点』 & 『短い時間軸』 を選択することが一般的。

それは、実生活に於ける我々の思考と同様で、国や大企業といった大きな組織を作る側の人間と、その中でルールに従って生活する側の大多数の人間とでは、必然的に物事の考え方(価値観)が変わってきます。

土井選手は現役選手である以上、当然 『現場視点』 & 『短い時間軸』 での思考を持っており、この組み合わせが現場レベルでの向上心を生み出していきます。

しかし、今の土井選手の心の中には、若手育成や日本のレース界発展などの 『マクロ視点』 & 『長めの時間軸』 という組み合わせの価値観も存在しています。

この二つの価値観が彼の心のなかでぶつかり合っているように感じました。

選手としての価値観のみで物事を考えると、恐らく今の環境というのは全てに於いて物足りなく、彼の心をネガティブにしてしまうでしょう。

一方で、マクロな視点で物事を考え過ぎてしまうと、そもそも危険で先の見えない競技活動という特殊な活動へのモチベーションを維持することができなくなってしまいます。

当然、レース現場に関わる人達の大多数は 『現場視点』 なわけですから、今の土井選手の立場を理解してくれる人の数というのは決して多くはないでしょう。

本場での活動というのは、肉体的には相当に厳しいチャレンジになりますが、うまく自分の居場所を見つけることが出来れば精神的には健全(現場視点的に)になれます。

一方で、国内での活動というのは精神的に不安定になり易く、これまでも多くのトップ選手たちがその壁と戦ってきました。

現在、本場欧州で活躍している選手たちにも、いずれ次の選択を迫られる時間帯が訪れます。

その時に彼らを受け入れる受け皿が用意されていなければ、彼らの経験は次世代に受け継がれることなく封印されてしまうことになります。

もし、彼らが個人の努力でチームなどを持ったとしても、そのノウハウが日本のレース界全体にフィードバックされることは難しいはずです。

土井選手は、宇都宮ブリッツェンにとって今シーズン最大の強敵でありますが、一方で、日本のレース界に於いては重要な経験を持つ大切な選手でもあります。

引き続き、大きな視点を持ちながら、多くの雇用が生み出される環境づくりを進めていかなくてはなりませんね。

そして、本日、宇都宮ブリッツェンの鈴木真理選手が大腿骨のプレートを取るための抜釘手術を行いました。

彼もまた、多様な苦しみと戦っている選手の一人です。

少しでもはやく、皆に(自分にも)夜明けが訪れますように…