しゅ~くり~む ら

Osamu KURIMURA Official Blog

あれから4年半

2012-10-31 | インポート
01
[いま思うととてつもなく濃いメンバーが集まっていた2008年のスキル・シマノ]



先日開催された『JBCF輪島ロードレース』を最後に“ミスター宇都宮ブリッツェン”廣瀬佳正選手が20年に及ぶ現役生活に終止符を打ちました。

廣瀬選手から最初に『宇都宮ブリッツェン構想』を聞いたのは2008年。

廣瀬選手がスキル・シマノに所属していた時です。

2008年は私もスキル・シマノに所属しており、主に国内レースでのスポーツディレクター業務を担当していました。

上の写真は2008年の全日本選手権ロードで野寺選手が優勝したときのもの。

改めて見ると非常に濃いメンバーだったことがわかります

あれから4年半…

『国内最強チームを創りたい』という廣瀬選手の言葉は現実のものとなりました。

4年半という数字単体でみればそんなに昔には感じませんが、上記写真を見ると遥か昔に感じてしまう自分がいます。

それこそ10年以上も前だったような気すらしてきます…

廣瀬選手は、我々に『未来とは自分で創りだすもの』ということを身をもって教えてくれたのです。



終わりは始まり

2012-10-29 | インポート
01
[JPTフルメンバーが揃い難易度の高いコース上で繰り広げられた力勝負を飯野選手が制する]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS



昨日、2012年Jプロツアー最終戦となる『JBCF輪島ロードレース』が石川県輪島市の美しくも厳しい公道サーキットコースで開催され、宇都宮ブリッツェンのルーキー飯野智行選手が自身初となるメジャーレースでの優勝を飾りました。

また、飯野選手と共にワンツーフィニッシュを決めた増田選手が、昨年この地で失ったルビーレッドジャージを執念で取り戻し、全身5箇所を骨折する大怪我を乗り越えて念願のシリーズチャンピオンのタイトルを獲得しました。

これで、2012年メンバーが揃ってのレース活動は一区切りとなります。

既に年間タイトルが決まっていたこともあり、私自身、昨日のレース後は「嬉しさ」よりも「寂しい」という感情のほうが大きかった気がします。

2013年の宇都宮ブリッツェンは、半分のメンバーが入れ替わる予定となっています。

チームを巣立つ全員が新たな道へチャレンジすることになるので、全ては前向きな決断ではあるわけですが、それでも彼らに対して完全にフラットな感情になることは難しく、やはり毎年この時期というのは複雑な気持ちになってしまいます。

私が自転車ロードレースの世界に身を投じたのは15歳のとき。

それから、様々なチームに所属し、色々な場所を拠点としてきました。

自分が選手である時というのは、ある意味で自分自身に集中すれば良いので気持ち的にはシンプルな状態となります。

しかし、チームスタッフになってからは、所属選手たちの気持ちにアンテナを張り、そして一旦彼らの感情に入ってから物事を見なければならないので、自然と自分自身の気持ちだけでは済まなくなってしまいます。

但し、選手と監督の関係というのは、100%終わりのある関係です。

ですから、彼らへの愛というのは、余命付きの儚いものとなります。

もちろん、人間としての付き合いはずっと続いていくものではありますが、「選手と監督」というものに限定すれば、その時間は決して長いものではありません。

そういった意味で監督という職業に求められるものというのは、「人に対する深い愛情」と、「人に対する絶対的な距離感」なのかもしれません…

愛さなければ人は育たない、しかし近づきすぎれば自滅する。

そうやって人との距離感を形成してきた気がします。

人生とは、ある意味で終わりと始まりの繰り返しであり、その繰り返しが階段のように人生を上方へと形成していきます。

「悲しみや不安」というのは、次の「喜びと希望」に繋がっていくのは間違いありません。

今シーズンの最終レースは、11月25日(日)に沖縄県名護市で開催される『ツール・ド・おきなわ』となります。

しかし、自分のなかでは既に2013年のレースとして認識しています。

2012年のタイトル獲得は過去のこと。

今日からまた次のチャレンジがはじまります。



人生が交差する季節

2012-10-27 | インポート
01



明日、Jプロツアー最終戦の『JBCF輪島ロードレース』が開催されます。

2012年メンバーでの最後のレースとなります。

毎年、シーズン終盤のレースというのは、何人かの選手が新たな環境へ旅立つ時期と重なります。

そして、来季我々の元へやってくる新メンバーが決まる時期でもあります。

一つの目標に向かって共に戦ってきたメンバーとの別れというのはなんとも言えない寂しさを感じる時ではありますが、同時に皆が進化するために重要な一歩を踏み出す瞬間ともいえます。

有終の美を飾るべくチーム一丸となって戦いに挑みたいと思います。



アームストロング

2012-10-25 | インポート



10月22日に、UCI(国際自転車競技連合)のマックエイド会長が記者会見を開き、ランス・アームストロングのタイトル剥奪(ツール・ド・フランス7勝を含む)と、自転車競技界からの永久追放処分を発表したとのこと。

このニュースは全世界にビッグニュースとして配信されています。

私自身、これまで大きなドーピング関連のニュースが出た際は、なるべくこのブログで正しい状況や個人的見解などをお伝えするように努力してきました。

しかし、ここ数年のドーピング関連のニュースというのは、私の知識ではもはや対処できないレベルまできており、特に今回のランス・アームストロングに関するスキャンダルについては、ただただ驚きながら状況を見守るだけという状態でした…

私もかつて5流のプロレーサーでしたので、当時からロードレース界の一部にパフォーマンス向上のための薬品が存在していることは知っていました。

ただし、それが現在明らかになっているような大規模かつ計画的なものであったことは知らず、また、フェスティナ事件以降はそれらが改善しているという認識を持っていました。

正直なところ、『もう落ちるところまで落ちないと無理なのかなか?』と思ってしまうことがあります。

現在のトップクラスのプロトンというのは、以前に比べてクリーンになっていると言われていますし、実際にそうだと思います。

アンチ・ドーピングを掲げて懸命に戦っている選手やチームが一定数いるのもたしかでしょう。

しかし、ここまで多くのスキャンダルが続いてしまうと、一般の人たちから『どうせ強い選手はみんなやってるんだろ』という言葉が聞こえてきてしまうのもまた事実…

かつて、ツール・ド・フランスでステージ優勝を飾りながら、禁止薬物使用により出場停止処分を受け、地獄を味わってそこから這い上がってきた選手がいます。

ガーミン・シャープに所属しているデイビッド・ミラーです。

彼が、撤退を決めたラボバンクに対して送った言葉が印象的でした。

『過去を構成してきた我々には未来に対しても責任がある』

追放される者がいたとしても、逃げだす者があってはならないということです。



ラストチャンス

2012-10-23 | インポート
02
[ジャパンカップ前夜にバッソやサガンといったビッグネーム達と共に壇上へ上がる増田選手]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS



ジャパンカップ前日の10月20日(土)に、宇都宮ブリッツェンに所属する増田成幸選手が、来季から名称を変える世界ランキング3位のイタリアのプロチーム『キャノンデール・プロサイクリング(現リクイガス・キャノンデール)』と2013シーズンの契約を結びました。

今シーズン(宇都宮ブリッツェンとして)の増田選手の最終レースは、10月28日(日)に開催されるJプロツアー最終戦の『JBCF輪島ロードレース』となります。

今回の契約の話が増田選手へ最初に持ちかけられたのは今年の夏頃だったと思います。

Jプロツアーチームの『キャノンデール・スペースゼロポイント』を率いている佐藤氏から、あくまで「可能性があるかもしれない」というレベルの話しとして本人に直接打診がありました。

すぐに増田選手から相談を受けましたが、「増田本人にチャレンジする意志があるならば断る理由はないと思う」と、ブリッツェン側としても移籍へ前向きである旨を本人へ伝えました。

正直なところ、この段階ではまだこの話がまとまるとは思っていませんでした。

今回のオファーは、増田選手個人に対してというよりかは、グローバル化を目指す『キャノンデール・プロサイクリング』のチーム方針が根底にあり、「よい日本人選手はいないか?」というものがまず先に存在していたからです。

当然、候補に上がった日本人選手というのは増田選手だけではなく、他の有力選手たちの名前も数多く上がっていたと聞いています。

しかし幸運にも、その中から増田選手に白羽の矢が立ったのです。

増田選手のビッグチームへの加入というのは、彼の実力だけで勝ち得たものではありません。

既に説明したように、2013年以降のチーム方針というものが根底にあり、また近年本場欧州で素晴らしい活躍をみせている、別府選手、新城選手、土井選手、宮澤選手などの存在も大きく関係していることでしょう。

ですので、増田選手にとってはいくつもの大きな責任を背負ってのチャレンジとなります。

ただ一方で、これまで欧州でプロとして活躍してきた日本人選手のなかで、その選手個人への純粋なオファーとしてプロのキャリアをスタートした例というのはまだあまりないというのも現実ではあります。

チーム側からの純粋なオファーでプロ入りしたのは、恐らく1980年後半から1990年前半に活躍した市川雅敏氏だけかもしれません。

他の選手に関しては、日本のマーケットや企業というものが、スタートの段階では多少なりとも関係していたのは既に周知されているところです。

要は、増田選手自身が、このチャンスを今後どう生かしていくかということになっていくでしょう。

参考までに、増田選手のフィジカル能力を単純に示すデータを紹介します。

それは今年のツアー・オブ・ジャパンの富士山ステージのリザルトです。

1位 BALIANI Fortunato チームNIPPO 40m23s 16.9km/h
2位 ARREDONDO MORENO Julian David チームNIPPO +19s
3位 BUTLER Christpher チャンピオンシステム +58s
4位 DABROWSKI Jaroslaw アモーレエヴィータ +1m44s
5位 LEBAS Thomas ブリヂストン +1m58s
6位 増田成幸 宇都宮ブリッツェン +2m10s
7位 YEUNG Ying Hon Ronald 香港チーム +2m16s
8位 SONNERY Blaise ブリヂストン +2m42s
9位 清水都貴 ブリヂストン +3m01s
10位 平塚吉光 シマノレーシング +3m25s

この時の増田選手の体重は62kgほど。

同じくらいの体重で増田選手以上のタイムをだす選手は世界中にはたくさんいるでしょう。

ちなみに上記リザルト内でグランツールを走っている選手は3人います。

BALIANI 2000~2008ジロ8回出場7回完走 総合12位 山岳賞2位など(Selle Italia、Panaria、CSF、Micheなどに所属)
BUTLER 2011ジロリタイヤ(BMC所属)
SONNERY 2008&2009ジロ完走(AG2R所属)

もちろんこれらは単なる参考にしかなりませんが、スプリンターでもパンチャーでもない増田選手が『キャノンデール・プロサイクリング』に加入後にできる仕事の種類というのが自ずと見えてきます。

増田選手、というよりか、現在の宇都宮ブリッツェンに所属しているある一定以上の年齢の選手やスタッフ(私も含めて)は皆、欧州で活躍するという夢を持って選手を続けながらも、それぞれどこかの段階で挫折を経験した者ばかりです。

なので、自虐的な表現をするならば、増田選手は『負け犬集団から生まれたチャレンジャー』と言ってもいいかもしれません。

正直、既に29歳となった増田選手へ過剰な期待をするつもりはありません。

しかし、来季が彼にとってのラストチャンスになるのは間違いありませんから、力の限り挑戦して欲しいと思っています。

私の先輩世代の選手たちが世界への挑戦を開始し、私自身も相当に無茶なチャレンジをしてきました。

自分で言うのはおこがましいですが、これまでのそうしたチャレンジの積み重ねが今を創りだしているのだと自負しています。

増田選手のチャレンジが、未来に繋がる階段となっていくことを心から願います。



夢はつづく

2012-10-22 | インポート
03_2
[昨年の山岳賞に続き今年はスプリント賞を獲得して表彰台に上がった初山選手]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

04
[初出場ながら世界の強豪に交じって14位というリザルトを残した飯野選手]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS



アジア最大のワンデーレース『ジャパンカップ』が終了しました。

主催者から発表されたお客さんの数は、土曜日が38,000人、日曜日が78,000人と、これまでの記録を今年も更新したとのことです。

実際会場にいても人の数が増えていることを実感できました。

宇都宮ブリッツェンの成績は、土曜日のクリテリウムが、初山選手のスプリント賞獲得と、エースとして最後のジャパンカップを戦った廣瀬キャプテンの9位(日本人選手としては2番目)。

日曜日のロードレースが、飯野選手の14位(UCIポイント獲得)という結果でした。

共に我々が望んでいた数字には届きませんでしたが、一方で、世界のトップクラスが出場するこのレースに於いてもチームの成長を感じとることができました。

非日常の2日間がを終わって宇都宮の街はいつもの姿に戻っています。

しかし、宇都宮ブリッツェンというチームが、宇都宮という街に支えられているという事実は何一つ変わっていません。

大きなイベントが終わるとある種の寂しさを感じることがありますが、ジャパンカップが終わっても何故かそういった寂しさを感じることはなく、逆にホッとするような、包まれているような感覚を覚えます。

廣瀬キャプテンが創ったこのチームは、ある意味で前人未到の地を進み続けています。

前人未到の地ですから、時に色々なものをなぎ倒さなければならないこともあります。

原住民から攻撃を受けることもあるかもしれません。

しかし、全ては必然であり、想いを止めなければ夢は少しずつ形になっていくでしょう。

『人生は長くない、他人を意識して生きるのではなく、自らの理想を求めて生きる。』

10代の頃にノートに書いた言葉ですが、40代になった今では更にそう強く感じます。

自分自身にとって第2の故郷となった宇都宮。

その宇都宮へ恩返しするためにも進み続けていきます。



オリオン通り

2012-10-19 | インポート
01



今週末開催される『JAPANCUP』のチームプレゼン会場となるのがオリオンスクエア。

そのオリオンスクエアがあるのがオリオン通りです。

オリオン通りは、宇都宮市内にあるアーケードのある商店街で同県内で最大の繁華街と言われています。

現在、オリオン通りのいたるところに今期で引退を表明している廣瀬キャプテンの姿が…

宇都宮に於ける廣瀬キャプテンの知名度というのは、日本に於けるコンタドールの知名度を遥かに上回っていると言っていいでしょう。

僕が言うのもなんですが、この街はすごいっす。



いよいよジャパンカップ

2012-10-17 | インポート
Logo

01
[2011年のジャパンカップには2日間合計で10万人を超えるギャラリーが集まった]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS



いよいよ今週末は、我々にとって1年で最も大切なレース、『2012 JAPANCUP CYCLE ROAD RACE』が開催されます。

10月20日(土)に宇都宮市街地で開催される『クリテリウム』と10月21日(日)に宇都宮森林公園で開催される『ロードレース』に集まるお客さんの数はなんと合計10万人

ジャパンカップだけ見れば、日本に於ける自転車ロードレースの地位が、既にマイナースポーツの域を脱していると感じることができます。

宇都宮ブリッツェン規模のチームと、ジャパンカップクラスのレースが全国に20くらいできれば…

これはもう立派な経済効果を生む巨大なプロリーグになってしまいますね。

もちろんそれが簡単ではないことは重々承知しております。

期間中は超タイトなスケジュールになりますが、1年に1度の素晴らしいレースを心から堪能したいと思います。



選手たちの成長

2012-10-15 | インポート
01
[レース中盤に3名で逃げ続けるルーキーの飯野選手]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS



本日、愛知県美浜町でJPT第16戦の『JBCF知多半島美浜クリテリウム』が開催され、JBCFロードチャンピオンのマリウス・ヴィズィアック(マトリックス)が40名強の集団スプリントを見事制し、今シーズンJプロツアー2勝目を飾りました。

2位には写真判定が必要なほどの僅差で宇都宮ブリッツェンの廣瀬選手が食い込んでいます。

これで2012年のJプロツアーは10月28日に開催される最終戦『JBCF輪島ロード』を残すのみとなりました。

今季、スプリンター不在のなかで宇都宮ブリッツェンはクリテリウムでの戦いに苦しみ続けました。

結局、今年のJプロツアーに於いてクリテリウムレースでの勝利数はゼロ…

しかし、そんなチーム状況のなかで上位のリザルトを多く残してくれたのはチームキャプテンを務める廣瀬選手自身でした。

JBCF下総クリテリウム 7位
JBCF南紀白浜クリテリウム 4位
JBCF湾岸クリテリウム 2位
JBCF知多半島美浜クリテリウム 2位

今季の廣瀬選手の走り(スプリント)というのは、彼が持つ責任感と、チームメイトたちの成長がもたらしたある意味でのサプライズだったと感じています。

満足な練習量をこなせていない廣瀬選手は今日のレース中もずっと苦しみ続けていました。

集団前方でアタックを繰り返すチームメイトたちから振り落とされないように耐え続けての最後のスプリントでした。

ルーキーの飯野選手は日々強くなり続けています。

既に年間チャンピオンを決めている増田選手も一ステージ上の走りをみせています。

怪我から驚異的なスピードで復帰した中村選手も、常に自分を追い込み続けている普久原選手も、優れた才能を持つ初山選手も、皆がそれぞれ進化を続けています。

身近なライバルから受ける刺激によって、チームは時に驚くような化学変化をみせるものです。

成長を続ける選手たちのパワーが、引退を前にした“ミスターブリッツェン”に特殊なパワーを送り続けているのは間違いないでしょう。



ドーピングスキャンダル

2012-10-13 | インポート



ツール・ド・フランスの最多出場記録を更新して今季現役を引退したばかりの ジョージ・ヒンカピー(アメリカ/BMC)が、自身の過去のドーピング使用を告白したとのことです。

ジョージ・ヒンカピーは、ランス・アームストロングのツール・ド・フランス7連覇を支えた立役者的存在であり、その彼が禁止薬物の使用を認めたということは、USADA(アメリカアンチドーピング機関)との戦いを放棄したばかりのアームストロングの薬物使用についても、一定の憶測と影響が生まれることは必至でしょう。

また、今回の告白と同じタイミングで、USポスタル関連の調査で証言を行った現役選手のダニエルソン(アメリカ/ガーミン・シャープ)、ヴァンデヴェルデ(アメリカ/ガーミン・シャープ)、ザブリスキー(アメリカ/ガーミン・シャープ)、ライプハイマー(アメリカ/オメガファーマ・クイックステップ)などに対しても、USADAから6ヶ月の出場停止処分などが要求されるようです。

私がプロとしてヨーロッパで活動したのは、フェスティナ事件が起こった1998年。

今に続くドーピングスキャンダルのはじまりとなった年といってもいい象徴的なシーズンでした。

私が所属していたチームはポーランド籍のTT2(現プロコンチネンタルチーム)、MROZ。

チームメイトには、旧共産圏の有力選手が多く所属していました。

よく同部屋になっていたのは、東ドイツのスポーツエリートで最後のサイボーグと言われていた、ウーベ・アンプラー(ドイツ)。

その他、ポーランドチャンピオンのピョートル・ワデツキ(ポーランド、後にドモへ移籍しパリ~ニースでステージ優勝や山岳賞を獲得)、ライモンダス・ルムシャス(リトアニア、後にファッサボルトロやランプレに所属しツール・ド・フランス総合3位やジロ・デ・ロンバルディア優勝)などもいました。

しかし、彼らはその後ドーピング検査で陽性となり、特にルムシャスは奥さんが薬物の運び屋になるなど、人生に暗い影を落とす事態にまで発展していました。

今回ドーピング使用を告白したヒンカピーは、私が17歳の時にフランスのレースで一緒になりました。お互いにジュニアの選手でした。

また、ヴァンデヴェルデについても、アマチュア時代にフランスの研修施設で一緒になっています。

アームストロングと同じレースを走ったこともありますし、ライプハイマーは下積み時代が長くてベルギーのケルメスを懸命に走っていました。

こう見ていくと、私が走り続けた時代というのは、いったいなんだったんだろうか?とつい考えてしまいます…

もし、今の時代に自分が走っていたなら、もっと結果は違っていたのだろうか?とも…

最近の報道や選手たちのコメントを読み解く限り、近年のプロトンというのは、薬物全盛期に比べてだいぶクリーン(速度が落ちている)になってきているのだと感じます。

しかし一方で、バイオロジカルパスポートを持たなくても良い海外のコンチネンタルチームや本場のアマチュア選手などに関しては、未だに薬物使用の実態があるという噂も聞きます。

また、歴史的に薬物スキャンダルの多いイタリアなどでは、ジュニアの選手が薬物に手を出すケースすらあるという記事を読んだり話を聞いたこともあります。

そんな中、一つだけ断言できること、それは日本のレース界が未だクリーンな状態を保っているということです。

一昔前であれば、この状態を『遅れている』と表現する人もいました。

しかし、この現実は、我々がなんとしても守っていかなければならない貴重な『財産』だと言っていいでしょう。

恐らく、今後も本場のレース界が完全にクリーンになることは難しいかもしれません…

だからこそ、我々のやり方でクリーンに世界を目指す方法を創りだすことが重要になってくるのだと思います。



鼻の下伸びてま~す

2012-10-11 | インポート
01
(c)テレビ東京



先日、テレビ東京さんの情報番組『もえxこん』の収録を行ってきました。

ご一緒したのは、『最近、HIRO、クロちゃんよりも栗村監督と仕事するほうが多い…』とボヤいている団長安田さん

日本最大級のスポーツ自転車フェス『CYCLEMODE international 2012』を紹介する番組となります。

11月2~4日の3日間に渡って幕張メッセで開催される CYCLEMODE には、宇都宮ブリッツェンの選手たちも参加する予定ですので、お近くの方もそうでない方も是非ご来場ください



国民性?

2012-10-09 | インポート



都内の住宅地を歩いていてふと思ったことがあります。

色々な色調で様々な種類の家が家主の意向で自由に建てられているなあ、と。

家単体でみれば魅力的かもしれないけど、街全体でみると統一感はなく、コンセプト自体がないので街の魅力は大きく後退しています。

欧米に住んだことのある方ならわかると思いますが、統一感のある街というのは、家を出て外を歩いている時でもある種の気持ちよさを感じることができます。

もちろん日本国内でもしっかりとしたコンセプトを持ち、ルールと統一感が存在している街はたくさんあります。

当然のその様な街には他にはない快適性が生まれますが、その街の統一感を守るためには一定の規律が必要となり、それらをしっかりと守っていく義務が生じます。

『街づくりができない』という国民性は、そのまま日本の自転車ロードレース界にも当てはまります。

私自身、この10年『街づくり』の必要性を強く訴えてきましたが、本気でこの話しに乗ってくる関係者というのは数えるほど…という状況でした。

家づくりにしか興味がないのか、はたまた街づくりという意味自体を理解できないのかわかりませんが、皆、遠い目をしながらただ面倒くさそうにうなずくだけ。

宇都宮ブリッツェンの取り組みというのは、間違いなく他の国内有力チーム&選手たちの未来をサポートしていますし、また、現段階に於いてもなんらかのメリットを各チームや選手たちへ間接的ながらもたらしているはずです。

ただ残念ながら、街づくりの概念を理解できない人たちには、それすらも感じとることができないのでしょうか…

諦めの悪い性格なので、引き続きがんばりま~す



サイクルモードフェスタ

2012-10-07 | インポート
01
[宇都宮ブリッツェンが2013シーズン使用予定のKURARO※ホイールパーツ類は別]



今週末は、大阪南港ATCホールで開催されている『サイクルモードフェスタ』に来ています。

各メーカーの最新モデルに試乗できるイベントして変わらず人気がありますね

本日はメインステージで『団長、ブラウ・ブリッツェンへの道』トークショーやウィーラースクールなどに参加、明日は『アルゴス・シマノ土井選手』とのトークショー&ウィーラースクールなどが予定されています。

宇都宮ブリッツェンのユニフォームスポンサーであります『KUOTA=InterMax』さんのブースには、宇都宮ブリッツェンが来季使用予定のニューモデル『KURARO』が展示してありました。

更に進化したモデルとのことで非常に楽しみです



DVD第2弾

2012-10-05 | インポート
Shimanami



6月に発売された『栗村修のライダーズEye~ロードバイクで楽しむライダー目線ロードビュー~ 』に続くDVD第2弾が、10月18日に発売されることになりました!

今回走ったコースはサイクリスト憧れの地、『しまなみ海道』です

栗村修のライダーズ・eye Vol.2 しまなみ海道を行く!~ロードバイクで楽しむライダー目線ロードビュー~

◆プロモ動画


◆ライダーズアイFBページ
http://www.facebook.com/riderseye

室内練習のお供などに是非ご活用ください



自転車本第2弾

2012-10-03 | インポート



4月に発売された著書『栗村修の気楽にはじめるスポーツバイクライフ 』に続き、早くも自転車本第2弾発売のお話をいただいてしまい、無い時間を振り絞って現在制作に取り掛かっております。

内容は、前回より少し踏み込んだ『中級者向け実践編』となります。

と言っても、ガチガチのトレーニング本ではなく、前回同様に『不完全な生きものである人間』というものをベースに捉えた、少し視点をズラした内容となる予定です。

先日、宇都宮森林公園にて、阪本カメラマンにこの本用の写真を撮影していただきました。

同じ人間が、同じセッティングの自転車に乗っても、これだけ走り方が変わってしまうのがロードバイク。

そして、カラダの使い方次第で、レースでのパフォーマンスが大きく変わってしまうのです。

01
[アタック時などに使うダンシングは小さく速くカラダを使う]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

02
[省エネダンシングを覚えれるかどうかでレースでのパフォーマンスは大きく変わる]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

03
[間違ったダンシングはただ体力を消費するだけの乗り方となってしまう]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

04
[選手たちの走り方にはいくつかの“黄金比”が存在している]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

05
[ポジションを合わせただけでは真にロードバイクを乗りこなすことはできない]
photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS