「上:14名の先頭集団に入りステージ6位でゴールした鈴木真理選手」
「下:チームメイトの働きに応えたゲブカが最終ステージを制する」
photo(c):Hideaki.TAKAGI/
www.cyclingtime.com※下のみ
5/25(日)に、「
第7ステージ」が行われました。
◆Live!!!ブログレポートはこちら「
http://blog.liveshimano.jp/」
◆大会公式WEBサイトはこちら「
http://www.toj.co.jp/」
ツアーオブジャパンの最終第7ステージが、
大井埠頭の周回コースで開催されました。
総合リーダーはサウスオーストラリアのメイヤー。
総合2位はマルコポーロのクロフォードでその差は僅かに1秒。
但し、メイヤーはワールドカップの
ポイントレースランキング1位の生粋のスピードマンで、
一方のクロフォードはヒルクライマー。
東京ステージが「ド平坦」な事を考えると、
チーム力で劣るマルコポーロが敢えて仕掛けてくるとも思えず、
同じオーストラリア人同士、協調体制をとる可能性が高いと考えられます。
一方、スキル・シマノとしてはここまでステージ優勝を一つも挙げられず、
また、総合でも大きく下位に沈んでいるのでまさに「背水の陣」状態。
しかし、集団ゴールを狙えるスプリンターもいないので、
とにかく「攻撃あるのみ」でレースをブレークしていくしかありません。
具体的には、スタート直後からアタックを繰り返し、
必ず形成されるであろう先頭集団に複数名を送り込んで、
最後は小集団のスプリントを鈴木真理選手に狙わせる作戦でレースに挑みました。
午前11時に日比谷公園前をスタートした集団は、
パレード区間を終えるとアタック合戦を開始します。
スキル・シマノの選手達も果敢に攻めて、
全ての飛び出しに反応して後手に回らないように対処していきました。
途中、阿部・狩野・鈴木選手を含む、
我々にとっては理想的な約10名ほどのグループが形成されますが、
これは半周ほど逃げたところで吸収されます。
スタートしてから65kmの間、
いったいどれだけのアタックがかかったか分かりませんが、
一向に逃げらしい逃げは決まりません。
そして、恐らくここまで初めて、
スキル・シマノの選手を含まない10名ほどの選手が先行します。
各選手とも、1時間30分以上に渡ってアタックを繰り返してきたので、
そろそろ逃げが決まっておかしくない時間帯です。
集団の動きが不気味に止まりかけ、アタックがかからなくなったので、
スキル・シマノの土井選手など3名が集団の先頭に立って追走をはじめました。
一時は20秒まで開いたタイム差でしたが、
徐々にその差を詰めていって再び逃げを吸収しようとします。
そして、メイン集団が先頭グループのすぐ後ろに迫った瞬間、
メインからファンボンが抜け出し、それに鈴木真理選手が反応して前に合流しました。
これで先頭集団は14名となります。
鈴木真理(スキル・シマノ)
オーラ・ディロレンツォ・グーロフ(Aスタイル)
井上(ニッポ)
デンプスター(サウスオーストラリア)
ファンボン(マルコポーロ)
フミェレフスキ・ゲンプカ(ムロズ)
岡崎・福島晋一・宮澤(メイタン)
山本・中村(アンカー)
3名入っているチームが「メイタン」と「Aスタイル」、
2名が「ムロズ」と「アンカー」、
1名が「スキルシマノ」と「ニッポ」と「オーストラリア」と「マルコポーロ」。
スキル・シマノとしては不利な状況ですが、
直前まで追走で脚を使った他のメンバーの状況を考えると
このまま行くしかありません。
そして、総合には関係しないこの逃げは、
ようやくメイン集団に容認されてレースは落ち着きを取り戻しました。
タイム差は最大で2分30秒ほどまで開きますが、
その後、メイン集団を総合系の「サウスオーストラリア」と「マルコポーロ」、
逃げ遅れた「マトリックス」などが引き始めて差が縮まり始めます。
一方、先頭集団ではアタックがはじまり、
「複数名を送り込んでいる」チームが揺さぶりをかけてきました。
一度、鈴木真理選手が二つに割れた後方グループに取り残されますが、
この時は、同様に取り残されたニッポの井上選手と共になんとか粘り、
消耗しながらも再び14名の先頭集団に戻します。
その後続いて、ディロレンツォと福島晋一選手が再び飛び出します。
3名を送り込んでいるチームが「定石通り」の作戦を決行し、
またまた鈴木真理選手が不利な状況に追い込まれると思われましたが、
2名を送り込んでいるムロズとアンカーがアシストを使い、
後方グループを引き始めたので鈴木選手は脚を使わずに済む状況を手に入れました。
結局、ムロズのアシストであるフミェレフスキが、
前の2名を泳がす形でうまく利用し追走グループを安定させ、
ラスト1kmで計算通りに吸収してゴールスプリントに突入します。
そして、スプリントを制したのは、
アシストの走りにしっかりと応えたムロズのゲンプカでした!
スキル・シマノの鈴木真理選手は6位でゴールしています。
これでTOJの全日程が終了しました。
総合上位は前日と変わらず、
キャメロンがグリーンジャージを守り、
日本勢では新城選手の総合5位が最上位となりました。
また、アイサンの西谷選手がポイント賞を獲得しています。
ステージに関しては、
福島晋一選手が美濃ステージを制したのが
日本勢では唯一の勝利となっています。
結局、メイタン勢がいつも通りの素晴らしい走りを見せ、
アイサンの西谷選手も高い資質を証明しました。
一方で、惨敗だったのがスキル・シマノです。
富士(狩野=6位)、修善寺(土井=3位)で日本人最上位のリザルトを残すものの、
大会を通じてまったくと言って良いほど賞賛の声をもらえる事はありませんでした。
多くの実績を持つ選手達を集め、
恵まれたチーム環境を備えているわけですから、
「この程度」の成績で周りが納得するわけがありません。
ただ、熊野が終了した時にも書きましたが、
「責任」の一部はやはり私を含むチーム運営側にあることは明らかだと感じています。
スキル・シマノに在籍している選手達は、
既に高い能力を過去に何度も見せているエリートライダーばかりです。
ですから、うまく噛み合えば「結果」を残すことは可能なはずなのです。
熊野、そしてTOJと、本格的にチームに帯同し、
外からは見えなかったいくつかの問題と出会うことができました。
来週には、今シーズンの「ヤマ」と言っていい、
全日本選手権ロード(五輪最終選考レース)が控えています。
1週間で改善できることは殆どありませんが、
「日本を代表するチーム」であるスキル・シマノにって、
変えていかなければいけない「問題」と「使命」はたくさんあります。
素晴らしい選手達と共に「期待に応える」という、
大きなミッションに挑んでいきたいと思います。
最後に、美濃ステージで発生いたしました事故について、
主催者より公式コメントが発表されました。
http://www.toj.co.jp/toj12/news/newsDetail.php?id=96
事故発生後、レース内部にいるチーム関係者は、
詳しい内容を殆ど得る事ができず、
情報の詳細はむしろ外部から入ってくる状況にありました。
事故に遭われた関係者の女性は、私自身も面識があり、
「彼女だった」という事実を知ったのは南信州ステージ終了後で、
その時は大きなショックを受けました。
そして、富士ステージ前日に、各チームで「公式見解の発表」について話し合い、
その後、主催者側と協議した結果、怪我をされた方の状況も考慮して、
「レース終了後」の主催者発表を受けてからコメントするという流れとなりました。
既にいくつかのチームはHPなどでコメントを出しており、
この辺りの「足並みの揃い」や「緊急時の対処方法」など、
今後、チーム間の横の繋がりを強化すると共に、
改善していく必要がある事柄はいくつかあると感じております。
今回の事故はあってはならない重大な事故であり、
どのチームが悪いという議論や、
主催者側の管理の問題などの個別要素などではなくて、
このレースに参加した全てのチームが事態を厳粛に受け止め、
事故の再発防止と共に、
この事故を教訓とした「危機管理体制」の構築などを
話し合うきっかけとしていく必要があると思います。
各メディアで事故の様子などが大きく取り上げられてしまったようで、
違った形でTOJが注目を集めたのは残念な事でもあります。
事故に遭われた関係者の方は、
プライベートでも国内ロードレースを観戦に来られたりしていて、
自転車ロードレースの発展を願う我々の「同志」でもあります。
今回の事故に関する報道の影響で、
TOJの今後の開催に影響が出るようなことがあったりすれば、
恐らく一番悲しむのは彼女なのではないかと感じています。
今回、TOJ期間中に全ての国内チームで話し合いを持つ場がありましたが、
今後も違った形でこういった場を設け、事態の改善に努めていきたいと思います。
事故に遭われた関係者の方の一日も早いご回復を、
チーム一同心からお祈りしております。
◆第7ステージ「
リザルト」
「Tour of Japan - 東京 - UCI2.2 - 148.9km」
1 86 GEBKA Marcin POL MRO 3:01:40
2 96 MIYAZAWA Takashi JPN EQA 0:00:00
3 103 YAMAMOTO Masamichi JPN BGT 0:00:00
4 55 DEMPSTER Zakkari AUS SAI 0:00:00
5 71 VAN BON Leon NED MPC 0:00:00
6 16 SUZUKI Shinri JPN SKS 0:00:00
7 25 GOUROV Maxim KAZ ASY 0:00:00
8 94 OKAZAKI Kazuya JPN EQA 0:00:00
9 21 AULAS Alexandre FRA ASY 0:00:00
10 22 DI LORENZO Alberto ITA 0:00:00
25 13 ABE Yoshiyuki JPN SKS 0:00:46
41 12 KANO Tomoya JPN SKS 0:00:46
47 15 HIROSE Yoshimasa JPN SKS 0:00:46
48 14 NODERA Hidenori JPN SKS 0:00:46
56 11 DOI Yukihiro JPN SKS 0:00:46
◆個人総合時間「
リザルト」
1 53 MEYER Cameron AUS SAI 20:16:21
2 72 CRAWFORD Jai AUS MPC 0:00:02
3 32 GAROFALO Vicenzo ITA NEP 0:00:44
4 82 WITECKI Mariusz POL MRO 0:01:11
5 91 ARASHIRO Yukiya JPN EQA 0:01:20
6 81 RODOSZ Robert POL MRO 0:02:15
7 43 GONG Hyo Suk KOR SCT 0:02:26
8 21 AULAS Alexandre FRA ASY 0:02:35
9 52 SULZBERGER Wesley AUS SAI 0:03:08
10 112 NISHITANI Taiji JPN AIS 0:03:27
12 12 KANO Tomoya JPN SKS 0:03:45
15 11 DOI Yukihiro JPN SKS 0:04:15
19 14 NODERA Hidenori JPN SKS 0:06:55
27 13 ABE Yoshiyuki JPN SKS 0:12:11
52 15 HIROSE Yoshimasa JPN SKS 0:41:29
62 16 SUZUKI Shinri JPN SKS 1:05:33
◆個人総合ポイント「
リザルト」
1 112 NISHITANI Taiji JPN AIS 40
2 53 MEYER Cameron AUS SAI 37
3 52 SULZBERGER Wesley AUS SAI 29
4 81 RODOSZ Robert POL MRO 27
5 55 DEMPSTER Zakkari AUS SAI 25
6 86 GEBKA Marcin POL MRO 23
◆個人総合山岳「
リザルト」
1 32 GAROFALO Vicenzo ITA NEP 37
2 91 ARASHIRO Yukiya JPN EQA 24
3 43 GONG Hyo Suk KOR SCT 20
4 95 FUKUSHIMA Shinichi JPN EQA 13
5 12 KANO Tomoya JPN SKS 12
6 72 CRAWFORD Jai AUS MPC 12
◆チーム総合時間「
リザルト」
1 SOUTH AUSTRALIA .COM-AIS AUS 60:55:24
2 NIPPO-ENDEKA SMR 0:03:37
3 A-STYLE SOMN CYP 0:05:44
4 SKIL-SHIMANO NED 0:05:55
5 MEITAN HOMPO-GDR JPN 0:09:13
6 MROZ ACTION UNIQA POL 0:10:39