「上:約50名の先頭集団に残ったフーシンニン」
「下:メジャークラシック初制覇となったキルシェン」
photo(c):Cor Vos/
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4/23(水)に、セミクラシックの「Flèche Wallonne」が開催されました。
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http://www.letour.fr/2008/FWH/」
「アムステルゴールドレース」(4/20)と、
「リエージュバストーニュリエージュ」(4/27)に挟まれた、
伝統のセミクラシック「フレッシュワロンヌ」が開催されました。
4月のワンデークラシックシーズンは、
日曜日に「でかいレース」、水曜日に「まあまあでかい」レースという、
一定のサイクルを繰り返して進んでいきます。
4月のクラシックカレンダーをおさらいすると、
4/6(S) Ronde van Vlaanderen(264km-石畳激坂多い-屈強なライダー向き)
4/9(W) Gent-Wevelgem(209km-石畳激坂少ない-スプリンター向き)
4/13(S) Paris-Roubaix(260km-石畳多い-屈強なライダー向き)
4/16(W) Scheldeprijs(207km-石畳少ない-スプリンター向き)
4/20(S) Amstel Gold Race(258km-アップダウン多い-オールラウンダー向き)
4/23(W) Flèche Wallonne(200km-アップダウン多い-オールラウンダー向き)
4/27(S) LBL(262km-アップダウン多い&長い-ステージレーサー向き)
※これ以降は本格的なステージレースシーズンへ~
3月中旬から、
北のクラシックの開幕戦「ツール・デ・フランドル」に向けたセミクラシックが、
ベルギーを中心に開催され、
4月に入ると「本番」クラシックを消化しながらレースの内容が変化しています。
具体的に言うと、ボーネンやデボルデルの様な、
「体が丈夫」なフラマンレーサー達のスケジュールは4/16のシュヘルデで一旦終わり、
この辺りから、ジロ・デ・イタリアや、ツール・ド・フランスを狙うような、
ステージレーサー達がアルデンヌのクラシックに本格参戦していきます。
それに合わせてクラシックレースのコース内容も変化し、
3~4月の「石畳系」コースから「舗装路の登り系」コースに切り替わっていきます。
仮にボーネンが「リエージュバストーニュリエージュ」を狙っても、
登りをこなせないので、まず勝つことは出来ないでしょう。
スキル・シマノの日本人選手で例えると、
別府選手は「ボーネン型」で、石畳は得意ですが、
LBLの様なコースは苦手としています。
一方、土井選手が「パリ・ルーベ」を間違って走ったりすると、
シーズンを棒に振りかねない大変な事になってしまいますが、
登りの多いLBLのコースは力があれば狙っていけます。
この様な感じでプロのレースカレンダーというのは、
各選手達のコンディショニングに合わせてうまくコントロールされているのです。
ちなみに近年のフレッシュワロンでの優勝者で、
グランツールの表彰台に登ったことのあるレーサーを上げてると、、、
2006 Alejandro Valverde (Spa)
2005 Danilo Di Luca (Ita)
2000 Francesco Casagrande (Ita)
1996 Lance Armstrong (USA)
1995 Laurent Jalabert (Fra)
1989 Claude Criquielion (Bel)
1986 Laurent Fignon (Fra)
1983 Bernard Hinault (Fra)
1980 Guiseppe Saronni (Ita)
1977 Francesco Moser (Ita)
1976 Joop Zoetemelk (Ned)
1972 Eddy Merckx (Bel)
↑パリ・ルーベの歴代優勝者とはまったく違いますね…
(イノー、モゼール、メルクスは除く)
ロードレースのプロ選手は脚質によっていくつかのタイプに分けられますが、
生き残っていける選手というのは、早い段階で自分の活躍の場を見付け、
スケジュールをこなしつつ、定期的に自分をアピールする能力を身につけていきます。
もちろん上記の彼らの様にレースに勝てればそれが一番ベストですが、
「レースに勝てる」プロ選手というのは実は全体の一握りしかいないので、
その他の選手は「逃げ」や「アシスト」で自分の価値を表現しなければなりません。
ちょっと話がそれてしまいましたが、
4月のクラシックレースの「ラスト2番目」となるこのレースに、
スキル・シマノから以下の8名がエントリーしました。
231 Fumiyuki Beppu (Jpn)
232 Maarten Den Bakker (Ned)
233 Yukihiro Doi (Jpn)
234 Floris Goesinnen (Ned)
235 Yusuke Hatanaka (Jpn)
236 Thierry Hupond (Fra)
237 Piet Rooijakkers (Ned)
238 Robert Wagner (Ger)
日本の、別府・土井・畑中の3選手も出場します。
さて、このレースの特徴はなんと言っても最大斜度20%の「Huy」の壁でしょう。
他のレースにも多くの「激坂」は登場しますが、
「激坂」がゴール地点になっているレースは滅多にありません。
先週のアムステルゴールドレースも登りゴールではありましたが、
その勾配はこちらの方が遥かにキツイ設定となっています。
「名物”Huy”の壁を3回登る、最大勾配は20%以上!」
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レースは序盤から激しいアタック合戦となり、
1回目のユイの壁まで逃げらしい逃げが決まらないまま進んでいきます。
平均速度48km/hとかなりのハイペースで進むレースの中で、
「夢だった」メジャーレースに初めて出場した畑中選手が、
「生き残れる選手」になるべく何度もアタックを仕掛けていきます。
当然、レベルの高いこのレースで序盤から動きまくれば、
ネオプロの畑中選手が完走できる可能性は皆無となってしまいます。
それでもチャレンジを続けて逃げを成功させ、
テレビ中継が始まる時点で何名かで飛び出していればミッション成功!
「スタート直後から動きまくり、1回目の”Huy”で戦死した畑中選手」
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しかしレースは甘くなく、”記事に残る逃げ”を成功させることはできませんでした。
ただ、彼のブログに書いてあるように何度か数名で飛び出したようで、
この事実は彼の次のモチベーションに繋がっていくのは間違いありません。
その後レースは19名の選手が約3分のリードを保って2回目の”Huy”を超えます。
一方メイン集団では、アムステルゴールドレースで好調だった、
バルベルデとホアキンロドリゲスのいるケースデパーニュがスピードを上げ、
残り30kmで逃げる19名を捕らえてレースを振り出しに戻しました。
このスピードアップで、
アジア選手権から戻ったばかりの別府選手は遅れてしまいます。
「強行スケジュールで”Huy”に挑んだ別府選手」
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ゴールに向けてまったくスピードの落ちない集団から、
今度は9名の選手が飛び出します。
Maxime Monfort (Cofidis)
Vladimir Efimkin (AG2R La Mondiale)
Nicki Sørensen (CSC)
Laurens Ten Dam (Rabobank)
Jurgen Van Den Broeck (Silence - Lotto)
Matt Lloyd (Silence - Lotto)
Addy Engels (Quick Step)
Daniele Righi (Lampre)
Bert De Waele (Landbouwkrediet)
しかしこれも間もなく吸収され、
続いて Andry Grivko (Team Milram) が単独で抜け出し、
集団に対して30秒のアドバンテージを得ます。
スタート時の晴天とは打って変わり、
雨が強くなりクラッシュも発生する激しい展開のなか、
スキル・シマノ勢で集団に残るのは、
フーシンニンと、キャプテンのデンバッカーのみとなります。
「アムステルゴールドレースの疲れが残っていた土井選手」
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ラスト10kmとなって、逃げるグリブコが吸収されますが、
今度は3名の選手がアタックを成功させます。
Erik Larsson (Team CSC)
Fabian Wegmann (Gerolsteiner)
Alexander Efimkin (Quick Step)
更にここからドイツチャンピオンのウェーグマンが単独で抜け出し、
ゴール地点の”Huyの壁”へ突入していきました。
このまま逃げ切るかとも思えたウェーグマンですが、
20%の激坂を征服できずに失速、集団に飲み込まれます。
そして、地獄の激坂スプリントを制したのは、
ルクセンブルグの「ポーカーフェイス男」キルシェンでした!
2位はステージレーサーのエバンス、
3位はアムステルを制したばかりのクネゴ。
スキル・シマノ勢ではフーシンニンの48位が最高位となっています。
そして、いよいよ今週末(4/27)は、春のクラシックを締めくくるLBLです。
このレースには日本の別府選手と土井選手が参加予定。
また、同じ日に群馬CSCでJ-Tour第1戦の東日本実業団ロードも開催されます。
東日本実業団ロードはお馴染みの「Live!!!ブログ」で実況中継の予定、
LBLはCS放送の「Jスポーツ」でライブ放送されます。
どちらもお楽しみに!
◆「
リザルト」
「Flèche Wallonne - Belgium - 1.HC - 199.5km」
1 Kim Kirchen (Lux) Team High Road 4.35.29 (43.45 km/h)
2 Cadel Evans (Aus) Silence - Lotto 0.01
3 Damiano Cunego (Ita) Lampre 0.02
4 Robert Gesink (Ned) Rabobank
5 Thomas Dekker (Ned) Rabobank
6 Davide Rebellin (Ita) Gerolsteiner
7 Michael Albasini (Swi) Liquigas 0.08
8 Joaquim Rodriguez (Spa) Caisse d'Epargne 0.10
9 Christian Pfannberger (Aut) Barloworld 0.15
10 John Gadret (Fra) AG2r - La Mondiale 0.20
48 Floris Goesinnen (Ned) Skil-Shimano 2.38
77 Maarten Den Bakker (Ned) Skil-Shimano 5.13
HD Thierry Huppond (Fra) Skil-Shimano 10.08
DNF Robert Wagner (Ger) Skil-Shimano
DNF Piet Rooijakkers (Ned) Skil-Shimano
DNF Yusuke Hatanaka (Jpn) Skil-Shimano
DNF Yukihiro Doi (Jpn) Skil-Shimano
DNF Fumiyuki Beppu (Jpn) Skil-Shimano