しゅ~くり~む ら

Osamu KURIMURA Official Blog

長かった2ヶ月半

2011-05-31 | インポート
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photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS



ツール・ド・熊野が終了しました。

結果としては、増田選手が昨年10月の墜落事故で負った大怪我を乗り越えて総合9位に。

そして、辻選手が最終日にステージ3位に食い込んで表彰台に上がってくれました。

今大会を通じて表彰台に上がれた日本人選手は5人しかおらず、第2ステージでの落車を乗り越えて本当によくがんばってくれたと感じています。

宇都宮ブリッツェンは、昨年のこのレースでステージ1勝を飾り、リーダージャージも手に入れました。

その事と比較すれば物足りなさも感じるかもしれませんが、今年は昨年とはまったく違った状況でこのレースを迎えた訳ですから、私自身は宇都宮ブリッツェンの選手たちに大きな誇りを感じています。

3月11日、未曽有の大地震が東日本を襲いました。

この時、宇都宮ブリッツェンは、1週間後に迫った開幕戦に向けて最終キャンプを行っていました。

合同練習を終えて各自が帰路についた直後、震度6強の地震が宇都宮を襲ったのです。

私は翌日の練習用の補給食を買うためにスーパーの中にいましたが、揺れが収まった直後の店内はグチャグチャになっていて、辺り一面が埃で覆われていました。

柿沼選手と中村選手は二人で追加練習を続けていましたが、自転車に乗っていても揺れを感じ、そして止まったあとは道路上に立っているのも大変な状況だったと語っていました。

その後、ご存知のように東日本はパニックに近い状況へと置かれていきます。

様々な情報が流れ、「今すぐ逃げろ」という人もいました。

宇都宮ブリッツェンも一時的に活動を中断しましたが、すぐに練習を再開し、多くのレースが開催中止になるなかで様々な支援活などに参加しながら“見えない目標”に向かって準備を続けてきました。

自転車ロードレースとは、ある意味で、多くのアクシデントの上に成り立っているスポーツと言えます。

思い通りにならなかったり、不安や恐怖を感じることが、“日常”となって選手たちを取り巻いているのです。

しかし、どんな状況下に於いても、選手たちは運命を受け入れ、そこから前に進む方法を模索していきます。

今年のツール・ド・熊野は、4日間とも悪天候に見舞われ厳しいコンディションのレースが続きました。

レースを走っていないチームほど、この様な状況への対応には苦労するものです。

そんな中で、宇都宮ブリッツェンがみせた走りの可能性は、リザルト以上の価値を持っていたと感じています。

例え周りが気付いていなくとも、僕はこのチームが置かれた状況をずっと見てきたので大きな誇りを感じるのです。

決して簡単な言葉では説明できない状況下で続けてきた選手たちの努力は、いつかきっとカタチとなって表れるでしょう。



諦めないこと

2011-05-29 | インポート
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photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS



本日、ツール・ド・熊野の第2ステージ(熊野山岳コース)が開催され、昨年10月の事故で重傷を負い、4ヶ月間のリハビリを経て4月に復帰したばかりの増田選手が強力な走りをみせてステージ10位でゴールしました。

総合でも9位に上がり(日本勢としては4番手)、明日の最終ステージを戦います。

そんな嬉しかったことの裏では、ドキっとする事故もありました。

札立峠の下りで宇都宮ブリッツェンの初山選手がコーナーを曲がりきれず崖下に転落してしまったのです。

丁度、チームカーが通りがかった時に初山選手が這い上がってきたので運良く気付くことができました。

チームカーを停め、メカニックと共に初山選手の元に向かって体やバイクのチェックを行っていると、後続の選手が下ってきて我々に激突。。。

今度は自分が崖下に落ちかけるハメに…

初山選手は腰周辺に痛みを訴えつつも、強引にバイクにまたがってなんとか制限時間内にゴールにたどり着きました。

しかし、現在痛みはまったくひいてないようで、明日のレースを走れるかはわかりません。

最悪の状況を考えると骨にヒビなどが入っている可能性もあります。

また、明日のレースは台風のなかで開催されるため、レース距離の短縮もウワサされています。

それでも我々には進むことを止める選択肢はありません。

明日も諦めずにがんばります。



雨、雨、雨

2011-05-27 | インポート
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photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS



ツール・ド・熊野の初日「プロローグ」が開催され、辻選手が6位のタイムを記録しました。

辻選手本人はかなり悔しがっていましたが、多くの有力選手を抑えてのリザルトなので悪くはないと思います。

明日から本格的にはじまるロードレースでしっかりとがんばっていきたいと思います!

ちなみに天気予報は残り3日間オール雨…(>_



ステージレースの夜

2011-05-25 | インポート
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監督とは名ばかり…

ステージレースに来るといつもそう思います。

他チームの監督たちのヨレっぷりを見てついニンマリしてしまうレース期間中の夜…

そんな自分が一番ヨレヨレだったりしますが…

自分自身を「こき使いたい」方は是非自転車ロードレースチームの監督をお薦めいたします。

気持ちいい夜が待ってますよ。




いざ熊野へ

2011-05-23 | インポート



5月26日(木)~5月29日(日)の4日間に渡って世界遺産の地“熊野”で開催される「ツール・ド・熊野」に出場するため、25日(水)の早朝に和歌山県の新宮市に向かいます。

宇都宮ブリッツェンにとっては今季3戦目のレース。

4月に出場した2レースは共に1時間以内に終わるクリテリウムレースであり、本格的なロードレースとしては今季初となります。

国内有力チームの多くは既に海外のUCIレースを数多く走ってきており、その仕上がり具合は相当なものでしょう。

「レースは最高のトレーニング」という言葉がよく使われている自転車ロードレースの世界では、シーズン初レースに近いチームが最高のパフォーマンスを発揮することはあまり一般的ではありません。

しかし、我々は自分たちにできることを地道にこなしてきました。

3月11日に発生した大震災以降、国内の殆どのレースが開催中止となり、様々な不安や恐怖が世の中を支配するなか、被災地に近い宇都宮の地で選手たちは強い心を持ち続けてトレーニングに励んできたのです。

被災地への支援活動や募金活動、チャリティイベントの開催や参加など、トレーニング以外のことにも多くの時間を費やしてきました。

“自分たちが被災地代表”というような意識は持っていませんが、宇都宮ブリッツェンというチームが熊野の地で活躍することは、チーム活動の枠を超えて、ある種の重要なメッセージを発信できるとも感じています。

どの様な結果が待っているのかは誰にもわかりません。

我々は全力を尽くしてレースに挑みます。




圧倒的

2011-05-21 | インポート



今年のプロレース界では“圧倒的な強さ”という言葉がトレンドとなっているようです。

北のクラシックでは、ファビアン・カンチェラーラが昨年に引き続いて強烈なパワーを見せつけ、2連覇は達成できなかったものの「ツール・デ・フランドル」と「パリ・ルーベ」で表彰台に上がりました。

続くアルデンヌのクラシックでは、フィリップ・ジルベールが“タレない漢走り”で、「アムステル・ゴールドレース」、「フレッシュ・ワロンヌ」、そして「リエージュ・バストーニュ・リエージュ」を立て続けに制し、偉大なチャンピオンの仲間入りを果たしています。

そして現在、グランツールの帝王、アルベルト・コンタドールが、「ジロ・デ・イタリア」に於いて他を圧倒する力を魅せつけて総合首位をキープしています。

コンタドール自身は慎重な姿勢を崩していませんが、もはや“2位以下に10分以上のタイム差”がつく可能性もあり、大きなブレーキに見舞われなければこのままコンタドールの独走が続いていく気がします。

レースというのは、基本的に“接戦”の方が白熱すると考えられていますが、逆に勝つべく選手が圧倒的な強さでライバルをなぎ倒すレースも同じくらい魅力的だったりもします。

“ヒーローの時代”がはじまると、キャラの立った“助演男優”が数多くクローズアップされてきます。

“ロンド”でのナイエンス、“パリ~ルーベ”でのファンスーメレン、そして、“ジロ”でのルハノなどなど…

いよいよ今夜は「ドMの聖地」、モンテゾンコランです!




僕たちは走り続ける

2011-05-19 | インポート
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千葉県南房総市の千倉に於いて、今季初のUCIレースとなる「ツール・ド・熊野」に向けた短期キャンプを行っています。

今回のキャンプのコンセプトは「実践練習」。

頭と神経をレースモードに切り替えるべく、初日から各選手とも集中した走りで体にシグナルを送っています。

本日は、レース後に「JCN」さんのツール・ド・フランス番宣番組用の撮影も行いました。

初夏を感じさせる気持ち良い気候のなか、元気いっぱい走れることに皆感謝しているようです。




宇都宮→東京→イタリア→カリフォルニア→熊野

2011-05-17 | インポート
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本文と写真(サッシャさん)に関連性はございません



「あのぉ、ぶっちゃけいつ寝てるんすか?」

「ふっ、世界を股に掛ける男は寝なくても平気なんだよ! 」

正確には、ずっと日本にいるんですけど…

現在、世界3大グランツールの「ジロ・デ・イタリア=時差-7時間」がイタリア全土で、アメリカ最大のステージレース「ツアー・オブ・カリフォルニア=時差-16時間」がアメリカの西海岸で開催されており、Live中継のためお台場に通って世界を股に掛けているところです…

所属チームは宇都宮、その他のお仕事は都内他、合宿は千葉、レースは世界遺産の熊野(全て日本時間)…

「なんか最近やつれてますよ、すっかりオッサンっすね」



今日も、なんだか気持ちいい。




大谷石とブリッツェンボーイズ

2011-05-15 | インポート
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[大谷石のストーンパワーを全身に充電する宇都宮ブリッツェンの選手たち]




本日、宇都宮市の大谷町にある「大谷石採掘場」に於いて、宇都宮ブリッツェンのプロモーションビデオ撮影が行われました。


株式会社VIDEOライフ」さんの全面的なご協力により制作されるのこのプロモビデオの完成が今から楽しみです!





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[中央の象形文字は増◯選手 右サイドの類人猿は初◯選手]




もの忘れ…

2011-05-13 | インポート



昨日、コンビニで傘を2本買ったものの、手元には1本も残っていません…

それぞれ使用した時間は、10分と3分くらい。

言い訳ですが、昔から傘をささずに歩くことが多く、自分のなかでの傘の存在感が薄いのだと思われます。

駅からの帰りは、いつも通り「水もしたたるイイオヤジ状態」でちょっとキレ気味に帰宅しました。

年をとるとモノ忘れが激しくなると言われていますが、たしかにそうかもしれません。

しかし、これまた言い訳ですが、年をとると若い時に比べてやらなければいけない事が圧倒的に増えてきます。

もし、自分がガジェットオタクじゃなかったら、たぶん今の仕事の半分もこなせていないでしょう…

ただし、ガジェットオタクであると同時に、設定オタクでもあるので、所有しているガジェットを自分にとって最善な状態にセットアップしなければ気が済まず、更にやることは増えていきます。

もう一発付け加えるならば、自分の身の回りのモノがある程度以上汚れるとキレイにしたくなる性格なので、結局、削られていくのは睡眠時間となります…

睡眠不足は脳の機能低下をもたらします…

そして、またガジェットに頼る…

そして、傘を1日に2本忘れる…

そして、これからお台場に向かい「ジロ・デ・イタリア」の中継の仕事で約200名の選手のデータを詰め込む… き、気持ちいい!

がんばります。



悲しい現実

2011-05-10 | インポート
イタリアで開催されている自転車レース「ジロ・デ・イタリア」の第3ステージで、ベルギーの若手スプリンター、ワウテル・ウェイラント選手(レオパード・トレック)が、レース終盤の下り区間で落車し、そのまま帰らぬ人となりました。

昨年のジロ・デ・イタリア第3ステージで勝利を挙げ、将来を嘱望されていた26歳の若きライダーの死に、レース界は大きく動揺しています。

私も、Jスポーツのライブ中継で事故直後のウェイラント選手の姿を見ていたので、訃報を聞いた今は言葉にできないほどの悲しみに包まれています…

しかし、「ジロ・デ・イタリア」は恐らく中止になることはなく、明日のレースも予定通りスタートするでしょう。

「人生は止まることなく続いていく…」、自転車ロードレースが教えてくれる教訓を、我々は望んでいない形で受け入れなければなりません。

ワウテル・ウェイラント選手のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


御堂筋オープンフェスタ

2011-05-09 | インポート
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昨日、大阪の中心地“御堂筋”で開催された「御堂筋オープンフェスタ」に参加してきました。

歩行者天国となった“御堂筋”上に設営されたステージで、辻選手と「ゴールドスプリント」対決を繰り広げたり、平松大阪市長とのトークショーに同席したりと、内容の濃いイベントとなりました。

今回のイベントは、「エシカルサイクルオーガニゼーション」という自転車のマナーアッププロジェクトと連動していたこともあり、ステージ上では終始シカの被り物(エシカルサイクルのロゴがシカなので)を着用。

宇都宮代表として、大阪市民にシッカりと強烈なインパクトを与えてきました。

ちなみにエシカルサイクルの4か条は以下の様に設定されています。

1.シッカり守ろう、ルールとマナー!
2・シカとしないで、シカることも大切です!
3.わたシカら、広げていこうエシカル活動!
4.便利でシカも健康的、自転車で目指すエコ未来!

自転車のマナーアップは全国的な課題なので、我々も前向きに取り組んでいかなければなりませんね。



エビカニ体操

2011-05-07 | インポート
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photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS



平出幼稚園にて開催した自転車教室、『ウィーラースクール』に参加してきました。

ウィーラースクールの前には全員で『エビカニ体操』を実施!

イマイチ勝手が分からず、恥ずかしさも手伝って踊りは“自粛”していたつもりでしたが、阪本カメラマンから送られてきた写真を見ると、一番腕が伸びていて、“自粛”していなかったことに気付かされました…

ウィーラースクール後には年長さんと一緒に給食(3人前)も食べて非常に有意義な一日となりました!

なによりも、子供たちの会心の笑顔に元気をもらいました。



価値の創造

2011-05-05 | インポート
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先日のJPT第2戦(南紀白浜クリテリウム)に於いて、チームにとって約2年ぶりとなるルビーレッドジャージ(Jプロツアーリーダージャージ)を辻選手が獲得してくれました。

自転車ロードレースというスポーツは、特別な選手に特別なジャージを着用させる文化があります。

「全日本選手権ロード」を制した者が1年間着用できる“全日本チャンピオンジャージ”。

「ツール・ド・北海道」の個人総合優勝者が着用する“マラカイトグリーンジャージ”。

その他、「ツール・ド・熊野」や、「ツアー・オブ・ジャパン」、「ツール・ド・おきなわ」などの、UCIステージレースにも総合優勝者が着用するリーダージャージなどが存在しています。

プロトン(集団)の中では、この特別ジャージを着用した選手というのは独特なオーラを放ち、同じレースを走っている他の選手達からある種の尊敬を集める存在となります。

現在、発展途上にある「Jプロツアー」のリーダージャージというのは、全日本チャンピオンジャージほどの高いステイタスは備えていません。

各ジャージの価値というのは、不変なものではなく、時代や選手たちの価値観の変化によっていかようにも変わっていきます。

今後、ルビーレッドジャージの価値をより高めていくには、「Jプロツアー」の競技レベルを一段と上げ、メディア露出も含めた注目度を飛躍的に向上し、そして、このレースを走る選手たちの本気度をマックスにする必要があります。

「価値」とは追うものである一方、創りだすものでもあるはずです。

ブレない方向性を維持することは非常に大切な要素になってくるでしょう。



おい、いま感じてただろう?

2011-05-03 | インポート
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「八方ヶ原ヒルクライム」を間にいれて3日間x2回で行っているミニキャンプの第2クールが本日はじまりました。

柿沼コーチが管理しているトレーニング内容もより実戦的になり、選手たちのコンディションも全体的に上向いています。

しかし、本格的なロードレースを未だ走れていない(震災の影響により多くのレースがキャンセルとなったため)不安感は消えず、口にしないまでも選手全員が同じことを感じているはずです。

「レースは最高のトレーニング」という言葉があります。

“自分自身に合っているレベル”のレースに“高い目的意識を持って”取り組んだ場合、レースは最も効率の良いトレーニングになり得ます。

それでも、近年、海外のトッププロ選手達のレース出場数は減る傾向にあり、また、トレーニング時間も短くなっているとも言われています。

長期間の出場停止明けの選手がいきなりレースで活躍することも珍しくはありません。

要は、高いモチベーションと、強い競争心、そして優れた“妄想力”を備えていれば、トレーニングの質を限りなくレースに近づけることができるのです。

柿沼コーチがたまに使う言葉に、「おい、いま感じてただろう?」というのがあります。

レースや練習で積極的かつ追い込んだ走りをした選手にかける言葉です。

「感じている」時の選手の脳内では、恐らくドーパミンがダダ漏れ状態になっていることでしょう。

ちなみに、自分も練習中の“妄想ワールド”では、ツールで10,000回以上ステージ優勝を飾っています…