釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

立ち遅れが際立つ日本

2020-12-04 19:12:15 | 社会
世界の新型コロナウイルス感染者数が累計で6553万人を超え、死者は151万人を超えた。過去2カ月で50万人が死亡し、過去1週間は1日平均の死者が1万人を超えている。週平均では9秒間に1人が亡くなるペースになっている。世界最多の米国は感染者が1453万人を超え、死者は28万人を超え、今月2日には死者が1日で2804人となり、過去最多であった。しかもこの日、入院患者数も10万226人を記録し、初めて10万人の大台を超えており、死者は今後も増えるだろう。ロイター通信によると、欧州ではインフルエンザが例年に比べ激減している。欧州域内54地域からサンプルを集めた結果、9月28日-11月22日のインフルエンザ定点検査の今年の陽性率は0.02%で、昨年の同じ時期の15%をはるかに下回った。欧州では例年、季節性インフルエンザに最大約5000万人が罹患し、インフルエンザ関連の死者は年最大7万人に達している。今日の東京新聞でも「インフルエンザ患者激減 新型コロナとの同時流行気配なし?「ウイルス干渉」の可能性も」と題して、日本のインフルエンザ感染も激減していることを伝えている。しかし、「専門家は、異なるウイルス同士で感染を阻害する「ウイルス干渉」の可能性を指摘。」とあり、季節性インフルエンザの基本である、海外からの流入に触れていない。渡航者が激減すれば、例年の南半球から北半球へのインフルエンザの移送は阻まれる。このことが激減の最大の原因である。東アジアの感染では優等生であったお隣の韓国では、先月半ば位からやはり第3波が到来し、昨日は629人の新規感染者が検出され、累計で3万6332人となった。死者は536人である。韓国のこれまでの1日の最多感染者は第1波の3月3日の851人で、第2波の8月27日のピーク441人を現在は超えてしまっており、この第3波がさらに拡大するのか注視される。韓国の人口は5127万人だが、人口100万人あたりの検査数は日本の2倍である。その韓国の基礎科学研究院(IBS)ナノ医学研究団と米国ハーバード大学のイ・ハクホ教授研究チームの共同で、プラズモニック物質と磁性物質を結合した「マグネト・プラズモニック・ナノ粒子」と呼ばれるものを開発し、新しい新型コロナ診断装備「ナノPCR」を創り出した。17分以内に正確に判定可能なPCR検査装置で、小型化されており、重量は3Kgしかない。今月3日に国際学術誌『ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング』に論文が掲載された。軽量で早い検査が可能なPCR検査機器の登場は、とても好ましいが、「無症状者にPCR検査しても感染は抑えられない」と検査抑制を訴え続ける分科会会長がいる限り、日本でのコロナ対策の科学化は望めないだろう。大阪府は昨日、医療的な緊急事態宣言を発したが、そもそも大阪府の中心である大阪市は人口270万24区で、保健所は1つであり、PCR検査センターも4つしかない。中国の青島市は人口950万人で、感染が発覚すると、直ちに検査体制を整え、4090箇所のPCR検査所を設置し、市民全員の検査を行い、市内の感染を抑えた。北海道にしても、感染が急増し、クラスターが発生して医療機関が追い込まれるのは、高齢の感染者が重症化するためである。医療機関、老人施設、学校、保育所のようなところは、定期的な検査を行わない限り、必ず無症状・軽症感染者を通じて、感染を広げてしまう。特に高齢者の多い医療機関や老人施設は深刻である。そこでクラスターが発生すれば、重傷者も多くなる可能性が高い。スリランカの健康政策研究所The Institute for Health Policyの「Increased Intensity Of PCR Testing Reduced COVID-19 Transmission Within Countries During The First Pandemic Wave(PCR検査の強度が増すと、最初のパンデミック波の間に国内でのCOVID-19感染が減少した)」と題する論文は、スリランカにおける第1波の際の、PCR検査の拡大が感染の減少に有効であったことを示している。米国メディアのワシントンポストが「健康政策の聖書」と評する医学医療学術雑誌Health Affairsに今月2日掲載された。分科会やメディアに登場する専門家には無縁の論文である。例年の予算以外ですでに60兆円のコロナ予算があり、さらに20〜40兆円が追加されようとしているが、重傷者用のスタッフや機材などの医療体制や解雇された人たちへの補償に回されず、観光業者や無駄なマスクに消えてしまうだけである。しかもGO TOを停止する議論ではなく、来年までの延長である。政府や分科会にとっての新型コロナウイルス感染とは、一体何なのだろうか。何年後かにはまた新たなウイルス感染がやって来るだろうが、今の日本を考えれば、また、変わらず同じことを繰り返すだけになるのだろう。その時も「上級国民」だけは医療的な選別から漏れることはないのだろう。世界からは日毎に新たな新型コロナウイルス研究論文が出されているが、日本には極端に少ないPCR検査データしかなく、遺伝子解析や情報分析の専門家も分科会にはいないため、研究論文が極めて貧弱である。いまだに世界のお山の大将を決め込んでいるのは政治家とそこに寄り添う「専門家」だけのようだ。