釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

あらゆるところで劣化が見られる日本

2020-12-18 19:15:30 | 社会
11月11日に、ポルトガルのリスボン控訴裁判所で、極めて明解な判決が出ている。4人に対して隔離命令を出した地域保健局の措置は違法であるという判決を下した。4人のうち、1人だけがPCR検査で陽性になっただけで、接触のあった他の3名はPCR検査は陰性であったが、4人全員が隔離措置を命じられたことがきっかけとなり裁判が提起された。裁判所は、病名の診断は医師が責任を持つものであり、政府や政府の出先機関がその決定をする権限はない、とする。また、PCR検査は、新型コロナウイルス感染症のゴールドスタンダード検査ではなく、症状や他の検査と組み合わせて判断しないといけないとした上で、PCR検査の問題点にも触れている。ポルトガル(EUや米国も)では、PCRの増幅サイクル(Ct)を35回以上に設定しており、その場合、PCR陽性者で実際に感染している割合は3%以下である(OXFORD ACADEMICのClinical Infectious Diseasesに9月28日掲載された「Correlation Between 3790 Quantitative Polymerase Chain Reaction–Positives Samples and Positive Cell Cultures, Including 1941 Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Isolates」と題するフランスの論文に基づく)。つまり、現状では97%の人が偽陽性となる検査である、とまで述べている。日本はポルトガルよりさらに増幅回数が多く40回〜45回である。日本では年末年始の「GO TO」キャンペーン停止があたかもコロナ対策であるかのようなメディアの捉え方であるが、これなどは全くコロナ対策でも何でもない。日本ではコロナ対策はあくまで中途半端であり、政府や自治体は積極的に新型コロナウイルスを抑え込もうとはしていない。自粛やロックダウン(都市封鎖)と言った単なる行動制限も、ウイルスを狭い範囲に閉じ込めるだけで消失させることは出来ない。かえって見えない家庭内感染を広げているだけである。特に若い家庭では無症状・軽症の感染を家庭内で広げて、ロックダウンや自粛解除後に再び他へ広げるだけである。たとえ偽陽性が多く含まれようと、検査で徹底的にあぶり出して、一旦は陽性者を隔離しない限りは、ウイルスの根絶は望めない。従って、日本の今の制限検査が続く限りは、いくつもの波が今後もやって来るだけである。さらに日本の現在の問題は、第2類感染症指定のため、データを行政が把握するために医療機関で医師の裁量で自由に検査が出来ない。あくまでも行政からの委託検査であり、医療機関も申請した医療機関だけである。インフルエンザのように、自由に医師の裁量で検査が出来るようにすべきである。民間で設けられて来ている検査センターも大いに利用すべきだ。偽陰性さえ避ければ、偽陽性の隔離はある意味で、ウイルス根絶のためには仕方ないことだろう。これまで根本的な対策をしていないため、現在のように感染が拡大するのも当然である。問題は、今になって、医療逼迫を訴えていることだ。春以来、いまだに専用の病室や人員が準備されて来なかった。巨額のコロナ対策の補正予算を組みながら、医療の重要なところへは全く予算が回されない。ほんとうに政府や東京都など自治体は新型コロナウイルス感染に真剣に取り組んではいない。人命よりも経済が優先である。しかも、厚生労働省の医系技官や国立感染症研究所や分科会尾身茂会長など、政府に助言する立場の医師たちも自己の利益を人命より優先してしまっている。日本では、明治維新以来、官僚が実質的に国を動かして来た。東京大学はそのために設置された。戦争も軍官僚が主導した。戦後も一度は排除されていた戦争中の官僚も、進駐した米軍の都合で、再復帰させた。戦後の復興から経済成長へも官僚が実質的に主導して来た。その官僚で今異変が起きている。20代の若手官僚が多く退職している。昨年は86人もが退職し、6年前の4倍だと言う。前政権で内閣府が官僚人事を左右するようになり、忖度官僚を増殖させた。日本の未来を夢見る若い官僚にとって、失望が大きいのだろう。3代目、4代目などの政治の劣化が、官僚の劣化に波及している。官頼みになった経済界までが劣化した。自動車は政府の円安誘導に頼り、巨大電力は原発と言うとんでもなく経費を要する発電に、政府補助を頼みとする。自立的な未来を築くIT産業などはどこにも見当たらない。中央銀行がまだしばらく大量の通貨印刷を続けている限り、株価などの上昇はさらに続いて行く。しかし、実体経済を無視したこうした上昇も際限なく続くわけではない。高く上れば上るほど、落ちる時の衝撃も大きい。その時、マネー印刷を続けて来た日本銀行の保有する40兆円を超える株式も大きな打撃を受け、日本銀行は倒産に追い込まれる。実際には倒産はしないだろうが、そんな日本銀行が大量に保有する543兆円もの政府国債が果たして無事でいられるのか。
ポルトガルのリスボン控訴裁判所の判決内容