釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

科学

2008-10-11 07:42:44 | 文化
昨日は予報に反して日が射した。今日はまた曇り。周囲の山は少しずつ色付いている。晴れると気温差が出るので紅葉がきれいになるのだが。先日日本人のノーベル賞受賞者が初めて4人まとめて出た。うち3人が物理学賞、1人が化学賞。2人は米国国籍。3人が名古屋大学出身。4人とも戦中ないし戦前生まれである。これまで日本人のノーベル賞受賞者は13人いるが京都大学出身が5人、東京大学と名古屋大学が3人、東北大学と東京工業大学が1人である。この人たちの中で戦後生まれは2002年受賞の田中耕一氏一人。しかも彼は博士ではなかった。国外で研究を続けた人は3人である。1973年受賞の江崎玲於奈氏は秀才教育を主張され推進されている。管理教育(あるいは効率教育)の肯定だ。理数系へ進む若者が少なくなっている。現在のような教師に負担のかかる教育でいいのだろうか。受賞した人たちのほとんどがかってののんびりした、個性のある教師のいる環境で過ごした人たちではないのだろうか。今あまりにも若者たちと彼らを教える教師たちにとって自分のやりたいことがやれない教育環境のような気がする。


遠野から釜石にかけて山上に風力発電の羽根が並ぶ 景観を無視して

自然の輝き

2008-10-10 07:08:21 | 自然
今朝は秋の薄雲になっている。天気予報は曇りだが、少し日が出ている。なんとか晴れてくれるといいが。家の庭の木にも蜘蛛の巣がよく見ると結構ある。勤務先の植木にもある。タバコを吸うため外で立って眺めているとだんだん蜘蛛が大きくなってきており、ところどころに死んだ蜘蛛がぶらさがっている。ジョロウグモだと思う。昆虫の生態学の世界では蜘蛛は自然の豊かさの指標の一つだそうだ。蜘蛛が巣を張るのを見ていると縦糸をおおざっぱに張ってから横糸を張っている。横糸もおおざっぱに張ったあとさらに間を埋めて行っている。雨の降る夜に街灯に照らされた蜘蛛の巣は幻想的な美しさを見せることがある。雨の雫が玉になって白い糸とともにきらきら光る。背景が真っ暗なのでよけいにその輝きが浮き立つ。これまでこんなものに気付きもしなかった。自然の中の美は皆見えているが見ていないのかも知れない。


黄金色の実り 秋の傾いた日射しの中で輝いていた

インターネットは便利だ

2008-10-09 07:00:18 | 文化
今日で4日連続曇天。最近は曇天の過ごし方を覚えて来た。小学校の頃はラジオ、中学では山口県岩国の米軍の極東放送、FENと呼ばれる放送で歌を聴いた。邦楽と洋楽がともに聴け、中学でテニス部の友人からレコードを借りて主に洋楽を聴いた。洋楽も米英だけでなくイタリア、フランスの曲も多かった。イタリアはカンツォーネ、フランスはシャンソン。今になるとそれらが懐かしい。引っ越しを何度もしたのでそれらのレコードもどうなったか分からない。あっても手元にはレードプレイヤーがない。ふと雨の日に思いつき、ネットのYouTubeで検索をかけてみた。すばらしい。そのころの歌手たちの映像と歌が見て聴けるではないか。ぞくぞくと出て来る。もう夢中で自分のパソコンに取り込み1日が充たされた。特に感動したのは洋楽の歌手たちのもの。当時はレコードのジャケットの写真でしか知らなかった人たちの動画が当時のままのものが見れるのだ。シャンソンやカンツォーネをこんな歌があるんだとほんとうに聴き惚れていた。その歌の主に会えて、歌がまた聴ける。


コサギ 休耕田で餌を啄んでいたが警戒して

曇天が続く

2008-10-08 10:00:47 | 文化
一昨日の天気予報では今日は晴れるはずだったが昨夜からずっと雨が降り続く。8月以来晴れ間が続くことがまずない。釜石は三陸沿岸の各市と同様漁業が中心産業の一つだが人口四万のうち実際に直接漁業に従事している人はわずか1200人ほどだ。建設業が1800人、新日鉄やSMCなどの製造業が約4,000人、卸・小売業が3,300人、医療・福祉が2,000人弱、その他サービス業2,000人など。意外と漁業人口が少ない。それでも中心産業の一つなのだ。まあそれだけ産業面では衰退気味ということだと思う。65歳以上の高齢者も3割を占めており、労働人口も決して若くないということだろう。国の政策がアメリカ追従型なので製造業や金融業に力が入り、都市部中心の経済が推進され、地方は高齢化と産業の衰退が進み、疲弊して行く。そのアメリカが転けたのだが。急速な変化は自然や歴史を無視することで地に足がつかず、うまく行かないのかもしれない。ともあれ地方は結局その地方性そのものを生かしてやっていくしかない。


高原の秋の気配 晴れ間を見つけて出かけた日に

釜石はどんな街だろう

2008-10-07 07:19:07 | 文化
昨日一日は雨が降り続いた。今朝は曇天。つくづく考えてみると釜石は甲子川を挟んで両側に山が迫り空けた空は少ない。曇っているとその狭さがますます意識される。晴れていれば青空がどこか遠くへの繋がりを無限に与えてくれる気がする。現代も昔も都市部と地方では建物の大きさや人の密集度が違う。釜石のようにもともと土地が狭いと家々がまさに密集しておりまるで都会の様相を呈している。人によっては息が詰まる気がする、と表現する。今住んでいるところからは太平洋は見えないが迫った山がずっと南北に続いているという感覚が少しはあるため閉塞感までは自分では感じない。まだまだ釜石を良く知らないので狭い釜石も実際は地区毎にいろいろ興味深い特色があるのかもしれない。今のところは漁業の釜石だけが耳に入って来る。少し前に近所を歩いていると江戸時代の一里塚が個人の庭にあるのを見つけた。道ばたにはその説明の看板が立っていた。意外なところに意外な物があるかも知れない。


小川の岸に赤とんぼが集まって休んでいた

鉄の歴史

2008-10-06 07:27:49 | 自然
昨夜から雨が降り続く。いつものようにまわりの山に霧靄が立ち上る。この時期は庭には花が開いていない。ちょっと寂しい。釜石に限らず三陸沿岸には昔から鉄が出ていて近代製鉄が行われるまでは川の砂鉄を利用した踏鞴製鉄が行われていたそうだ。たしか宮崎駿の映画のどれかでも出て来たふいごを使った製鉄法だ。鉄は武器を持つことを意味するのでかってはその生産地を支配することが重要だった。奥州藤原氏以前の安東氏などもそのために栄えた部分があった。つまり鉄=権力であった。その後岩手では南部氏の支配が安定すると鉄器として南部鉄と呼ばれる特産品が作られるようになる。それも現在は材料である鉄はおそらく輸入されているのだろう。鉄鉱山自体が採算が合わなくなっているからだ。釜石の製鉄も終わってしまった。今は北上市と奥州市に挟まれた金ヶ崎町という人口16,000人の町にトヨタ関連の関東自動車が進出し、その運送に釜石港が利用されている。


孔雀草(白孔雀) 夕暮れの日射しの中で

秋の気配

2008-10-05 09:25:09 | 自然
今朝は家のまわりでカラスたちがうるさく鳴き立てていた。庭の椿にはなぜか蕾が出ていた。以前彼岸花の芽だと思っていたのはどうも葉が出始めたのを勘違いしたようだ。隣家の壁沿いに蔦が這っているが蔦の葉も色づいて来た。周囲の山もほんのりと秋色を見せ始めている。千葉から一昨日やって来たという人の話を聞いたが、花巻から釜石までJR釜石線でのんびりやってきたがすばらしかったそうだ。山間を抜ける単線で、各駅停車なのでスピードは遅く、狐や狸も見かけ、高い鉄橋はカナダを思い出させたそうだ。熊を間違って轢いてしまうこともあり、そんなときは列車がずいぶん遅れてしまう。1両が普通で時には3両で走っていることもある。1度は乗ってみようと思っているがなかなか機会がない。これから紅葉が深まればのんびりと紅葉狩りができるかもしれない。ただ高い鉄橋には両脇に普通見かける鉄柵がないのでちょっと怖い気もする。


岩手の農家 重厚で城郭のようなたたずまいを見せる。瓦はつやのある黒か茶。

いろんな人がいるもんだ

2008-10-04 10:51:06 | 文化
今朝は気温が少し高いようだ。あまり寒くない。ちょうどいい秋日和。ただ雲が出て来ている。昨夜は職場の人たちと久しぶりに12時近くまで居酒屋で過ごした。寝たのが1時半。職場のある部署が権限のある人物に極端なストレスを強いられ、その部署のチーフが相当精神的に参っていた。その権限のある人物がやっと退職してくれることになり、チーフの慰労会を6人ほどで開いた。退職する人は同僚でもあるので最初はいくつかアドバイスもしたが人の意見は全く受け付けず、受け付けないばかりか何の関係もないこちらのことを非難されたりするのでだんだん自分を含め周囲ができるだけ関わらないようになっていってしまった。世の中にはほんとうに常識で考えられない言動をする人がいるもんだと改めて知らされた。わずか10日ほど前まではそんな人だと誰もが気づかなかったのだから180度の転換だった。ひどく長い10日だった。職場全体がやっと平穏にもどった。


紫式部が咲き始めた

岩手はのんびりしている

2008-10-03 07:03:58 | 文化
愛知県だと衣替えの10月だからといっても必ずしも長袖でないと寒いという感じはなかったが岩手はそうはいかない。朝晩はやはり寒くなって来た。家から職場まで車で15分位市の中心部に向けて走る。釜石は甲子川に沿って太平洋側に向けて街ができていて港周辺が旧市街となっている。どこの地域もそうであるように釜石も郊外に大型店が新しくできている。旧市街は寂れて来ている。朝夕の通勤の車の流れは大きな都市部と異なりのんびりしておりいらつくことが多い。2車線がともに同じスピードでしかも50キロ制限を40キロで平気で走る車がある。田園地帯の農家の軽トラなら分かるが急ぐときには苛立ってしまう。また直進車を無視してゆっくり横から車線に出て来る車が実に多い。こちらの車を先に行かせば後ろには車がいない状況でもわざわざ出て来る。慣れない頃はしょっちゅういらついていた。東京から来た人も同じようなことを行っていた。遅い車が早い車に場所をゆずることはまずない。みんなマイペースなのだ。でも人はほんとうにやさしい。



今も咲いていた高原の山紫陽花

秋の味覚

2008-10-02 06:48:34 | 自然
今朝は晴れ。気温は低い。愛知だと晩秋の気温。岩手の紅葉は今月半ば過ぎから。最近は職場の人が獲れたての秋刀魚やイカをよく持って来てくれる。新鮮さがポイントなので量は多くはないが何度も持って来てくれる。その度にうまい食べ方を教えてくれる。さすが地元の人だけあって無駄がない。イカも秋刀魚も新鮮だとほうとうに地元のスーパーで買ったものでさえまるで味が違う。来週は職場の人の家に皆が集まり秋の山菜料理を味あう。メインは松茸。楽しみだ。その家の人が朝早くから山に入り松茸を採って来てくれるそうだ。やはり地元の人でも松茸の採れる場所は人には教えないそうだ。採れたての松茸は非常に匂いが強く、すれ違っただけで分かるそうだ。この人の家は敷地が広大で裏は山になっていて竹やぶがあり春にはそのタケノコ掘りをさせてもらい、そのタケノコ料理を味わった。いずれも素朴な材料だが最高の贅沢だ。


岩手は林檎の産地でもある