釜石は太平洋を流れる暖流のせいか内陸に比べ気温が高い。とわ言っても北国ではあるので今週末の天気予報でも最低気温が-7度となっている。全国の正式な最低気温の記録は1902年の北海道旭川市の-41度だそうだが岩手でも過去に内陸の盛岡の北で同じ気温になったことがあるという話を聞いた。盛岡の北部あたりは北海道より気温が低い時があるそうだ。県内では一番気温が下がる地域らしく冬の盛岡は厳しいようだ。自分で経験したこれまでの最低気温は初めて訪れた時の北海道の釧路での-29度だった。確か1月の末だった。亡くなった父も一緒だったが、父は兵隊で満州へ行っていたので満州とよく似ていると言っていた。満州へ渡る前には一度北海道の旭川に集められたそうだ。今ほど暖房が良くなかったため凍傷になる人が多かったと言っていた。釜石では今までのところ-10度以下の気温は経験していない。おそらく-7度位が最低だと思う。やはり冬は北海道よりは楽だ。ただ今年の冬は雪と強い風の日が多い。昨日も朝起きると白銀の世界になっており、日中も雪が降った。ほとんどはその日のうちに融けてしまうのだが。雪の点でも内陸とはえらく異なる。西隣の遠野から内陸にかけては景色ががらっと変わる。川端康成の雪国にあるように、トンネルを抜けるとそこは雪国、なのだ。一昨日も内陸から来られた人の話では雪で大変だったそうだ。年末に冗談で雪のない正月は何か気が抜けるなどと考えていたのでそれがまずかったのかも知れない。雪が降って喜ぶのは北海道育ちの犬たちだけだ。特にシェパードは雪が降ると必ず雪を食べる。きれいな部分をうまく見つけては口にする。庭に出してやると雪やこんこんの歌ではないがほんとうに大型犬同士で庭を駆け回る。二匹の大型犬は北海道の広い河川敷に積もった雪の上を身体が雪に埋まりながらでも投げてやった雪玉を追いかけていた。冬は毎日のようにそうして遊んだので雪がよほど好きなのだろう。もともと釜石へ引っ越したのもこの犬たちが愛知県の夏の暑さにあえいでいたのを見て家人が可哀想だからもう少し夏が涼しいところへ引っ越そうと言い出したのがきっかけだ。いつも引っ越しの理由は単純なのだ。それだけに愛知県の職場の人たちからはずいぶん驚かれてしまった。おそらく一番予想はずれの事のように思われただろう。おかげで未だに戻ってほしいと打診されたりする。しかし今のところはこの釜石が家人ともども気に入っているし、何より犬たちのために引っ越したので犬が元気な間は少なくとも釜石にいることになるだろう。 雪のグランドに立つ赤い実だけを残したナナカマドの木