釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「無症状者に検査は不要」

2020-08-28 19:17:33 | 科学
今日の釜石は34度まで上がり、職場に隣接する薬師公園から聴こえて来るミンミンゼミの声が、一層暑さを増すように感じてしまった。太平洋高気圧の上に重なったチベット高気圧が居座る限り、暑さは続く。そんな中で、昨日は岩手県で一気に6人の感染者が見出され、気付かないうちに19人になってしまった。昨日は隣りの遠野市で5人が感染していたことが明らかになった。PCR検査を限定した中での結果であり、恐らくは、実際は10倍は感染者がいるだろう。 日本では最初から無症状感染者は軽視されて来たが、昨日のロイター通信によると、米疾病対策センター(CDC)も、「検査指針を変更し、コロナ感染者と接触しても無症状であれば検査を受ける必要はないと提言した。」ようだ。「これまでは、感染者と接触があった人は全員検査を受けるべきとの指針を示していた。」。「ジョージ・ワシントン大学ミルケン研究所公衆衛生学校の客員教授、リーナ・ウェン博士はCNNに、突然の指針変更は説明がつかないとした上で、「検査は拡大が必要なのであって、縮小ではない」と非難した。」とある。PCR検査では、ウイルスの残骸や活性がなくなったウイルスまで検知して陽性となる。従って、厳密には陽性者=感染者ではない。陽性者>感染者の関係があり、厳密な意味では陽性者より感染者の方が少ない。しかし、現在、感染者を見出す方法が他にはない。となれば、結局は感染者を見つけるために検査を徹底するしかない。とりあえずは陽性者を隔離し、陰性者は通常の社会活動を続ける。そのための検査を徹底する。それが感染症の本来の対策である。しかし、日本では政府の「専門家集団」が厚生労働省の医務技監や国立感染症研究所により独占主導されたため、その系列で行える検査数そのものが最初から限られていた。データの集積やその解析まで全てを独占したことで、それらに手間取り、先進国ではあり得ない、データ開示の大幅な遅れとなっている。26日には、ついにNHKまでが「感染者情報の国のデータベース 一部データを把握できず」と報じた。これは国が新たに導入したシステムの整備の問題として報じられているが、25日の東洋経済は「日本がコロナ第3波を避けられない決定的弱点 「無症状者に検査は不要」の方針は大いに疑問だ」と題して、医療ガバナンス研究所上昌広理事長が書かれた記事では、そのデータ独占のためにかえって、「日本のコロナ研究が停滞していることがわかる。」結果となっていることを、米国の医学図書館データベース(PubMed)に載る日本の新型コロナウイルス関連論文の少なさで示されている。また、「8月6日、『米国医師会誌(JAMA)内科版』に韓国のスンチョンヒャン(順天郷)大学の研究者」が発表した内容では、陽性者全体の29%が無症状で、「PCR検査で推定したウイルス量とPCR検査が陰性化するまでに要する時間が症状の有無に関わらず、変わらなかったことだ。この事実は、無症状感染者も周囲に感染させることを意味する。無症状の人にはPCR検査を実施しないという厚生労働省の方針は、医学的には不適切ということになる。」としている。「コロナの研究の基盤はPCR検査だ。PCRをしないことには診断できないからだ。逆にPCR体制を充実すれば、さまざまな大学や医療機関が独自に臨床研究を進めることができる。」だが、「厚労省は「無症状者に検査は不要」という方針を貫いている。」。7月3日の東京大学先端科学技術研究センター児玉龍彦名誉教授の外国人記者クラブでの会見の中でも、「なんで東大が閉まっているのが問題かと言うとですね、結局、さっきPCRが増えないという話がありましたが、これは日本の科学技術者が、コロナの災いが起こった時に、文科省の指示によって東京大学を始めとして全部閉じてしまった。それで、われわれ、これを続けようとしたら、もう、、、、あらゆるなんて言うんですかね、妨害の渦です。閉じているんだから、人を来させてはいけない。倫理委員会はできないから、やってはいけない。外部の検体を入れてはいけない。要するに日本の科学技術というのが、これだけ衰退しているのを見たのは私、空前絶後であります。」と語っている。米国は大統領選挙のために、検査数を減らして、感染者が少なくなったように見せかけたい。日本は、一貫してオリンピック開催のために感染者を少なくしておきたい政治と主導権を握り全てを独占する「専門家集団」の思惑が合致して、検査が制限され続けている。しかし、検査を制限することは、容易に感染者を見逃すことになり、結局は、いつまでも感染が終息しない事態を招くだけである。
日本の日毎の死者数推移
人口100万人当たりの死者10人(東アジア最悪)137位、感染者152位、検査数150位(215カ国・地域中)

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