釜石の日々

今も生き続ける「安全神話」

昨夜は凄まじい風が吹いた。釜石での台風時よりずっと強い風だった。今朝はだいぶ収まって来ていたが、JR 釜石線はいつものように止まってしまった。一昨日来の雨で甲子川もかなり増水している。河川敷の一部はそのため崩れて、土砂が水に流されていた。今日も空は雲に覆われ、小雨がぱらついた。たまに薄日がさす程度だったが、夕方近くになりようやく晴れて来た。しかし、風はかえって強くなった。昼休み、小雨が降る中、気になっているシデコブシと枝垂れ梅を見に行った。いずれも花がずっと多く開いていた。梅も風で飛ばされてはいなかった。やはり開き始めたばかりの花は強いようだ。 2011年12月16日前首相は「原発の事故そのものは収束に至ったと判断される」と早々と収束宣言を発した。翌日、インターネット上でYahooが「現時点での『収束宣言』は妥当?」と言う問いかけで調査した。16時時点で7360票が投じられ、6793票、93%の人が「妥当ではない」と回答している。廃炉の問題や避難者の帰宅問題などの目処が立っておらず、国内メディアと違って、欧米メディアや原発を推進しようとしている中国すら、この『収束宣言』を批判的に報じた。昨年8月出版された細野豪志前原発相の著書『証言 細野豪志』では氏自身が「反省」の弁を述べている。本年3月13日の衆議院予算委員会では現首相が「地域の話を聞けば政府として収束といえる状況にない。安倍政権として収束という言葉を使わない」として事実上『収束宣言』を撤回している。東京電力は福島第一原発事故後、各原子炉の燃料棒の冷却に使われた汚染水を一時、海に流していたが、メディアの批判で、貯水槽への貯留に切り替えた。しかし、一昨日、その貯水槽から放射性物質を含む汚染水が大量に漏れ出ていたことが発表された。漏れた汚染水は推定で最大約120トンで、放射性物資の総量は約7100億ベクレルとされた。事故前の規定では液体の放射性廃棄物の年間排出上限が2200億ベクレルとなっており、発表された数値だけでも規定の3倍以上の漏出になる。貯水層は掘り下げた地面の上に粘土質のシートを敷いた上に、ポリエチレンシートを二重に重ね、さらに、その上をコンクリートで覆った構造になっていた。大きさは縦60m、横53m、深さ6mのものをいくつも並べていた。粘土質シートの内側では1立方cmあたり6000ベクレル、外側でも数十ベクレルが測定されている。昨日にはさらに別の貯水槽でも漏出が発見された、と東京電力が発表している。こちらは粘土質シートの内側で1立方cmあたり2200ベクレルが測定されている。貯水槽の水位が下がり始めていたのを半月以上も見逃していた。しかも、東京電力が発表した漏出放射性物質の数値は独断で貯水槽内の汚染水の50分の1という低い濃度にあえて設定している。専門家によれば貯水槽内には1立方cmあたり29万ベクレルの放射性物質が含まれており、そのまま120トンが漏出したとすれば、約35兆ベクレルもの危険な放射性物質が漏出したことになると言う。東京電力は外部の水によって薄められて6000ベクレルという値になったと説明するが、だとすれば外部からの水は120トンより多くなければならず、説明が付かない。現在の福島第一原発では貯水槽そのものが満杯になって来ており、今後も冷却し続けなければならいことを考えると、これを解決する方法を早急に見出さなければない。東京電力の管理の杜撰さ、評価の甘さは事故前から何ら変わっていない。そして、原発再稼働や新規建設に積極的な政府の姿勢にも同じ甘さが見られる。燃料棒付近へ近づけないため、事故原因の究明すら十分に出来ていない。汚染水の処理や、廃炉への道のりも明らかではない段階で、原発の推進だけを急ぐ姿勢には甘さしか見えて来ない。南海トラフの巨大地震でもあれば、再び同様の原発事故に見舞われる可能性が十分あるだろう。政府や電力会社には未だに「安全神話」が生きているようだ。「国策」で被害を受けるのはいつも国民でしかない。
8分咲きになった八幡神社横の枝垂れ梅
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