釜石の日々

人の運命

昨日の雨と風で散ってしまった家のモミジは庭に落ちて、日射しを受けると、まだきれいな紅葉した葉が輝いていた。そのまま押し花のようにして、取っておきたいくらいだった。日は射しているが、西の空には雲がたくさん出ていて、風もあり、朝にはわずかだが、雪も舞っていた。東北はもう確実に冬モードに入った。遠出をするにはスタッドレスタイヤが必須になった。特に、朝晩は路面の一部が凍るようになったところがある。 NHKによれば、先日の中央自動車道の笹子トンネル事故は1977年開通後一度も補修されたことのない、老朽化したもので、その頃、全国的にも同じようなトンネルや橋が造られており、国土技術政策総合研究所の前の所長、西川和廣氏は社会インフラの老朽化問題を早くから指摘して来たという。建設から30年以上経つ高速道路のトンネルは全国に359カ所あるそうだ。しかし、新規建設に財源の多くが割かれており、点検や補修への組織的な対応体制は十分ではなく、その財源も限られている。その点を西川氏が指摘している。この問題が放置されれば、これからも橋やトンネルの崩落事故は起きる可能性があるだろう。今回の事故では偶然毎日新聞の記者がトンネル内を走っていたようで、ラリー用に使われている瞬発力のある車に乗っていたおかげで、危うく難を逃れたという。昨年の震災などもそうだが、こうした時に犠牲になったり、難を逃れたり、どこか運のようなものが働くのかも知れない。その運を求めて、車にお守りを付けたり、神社でわざわざ車のお祓いを受けたりする人もいる。もうすぐ正月がやって来るが、我が家でも毎年、三ヶ日には神社へ初詣に出かけて、お守りを手にすることもある。神の存在を信じているわけでもなく、まして、その霊験を信じてもいない。そのへんは結構いい加減でもある。子供の頃は父の仕事の関係で、正月三ヶ日はたくさんの人が新年の挨拶回りにやって来た。そのため、母がおせち料理を準備していた。そうした風習も無くなって、せめて初詣に出かけることで正月気分を味わっているのかも知れない。神奈川県の鶴岡八幡宮で正月用の破魔矢が作られていることが報じられていたが、この破魔矢も年によっては手にすることもある。邪気を払うという意味合いがあるのだろう。「破魔」はもともとは仏教用語だから神社で使われるのもおかしなものだが、本来は、破魔矢自体が「はま矢」であったそうだ。647年、孝徳天皇の時、皇子の誕生に鳴弦の儀式というのが行われ、儀式射礼または大射を行い、その時に、用いる的として「はま」という藁縄で丸い的を作った。現在でも九州から北関東あたりまで、地域によってだが、自動車のタイヤや車輪のような丸いものを「はま」と呼ぶそうだ。647年はまだ九州王朝の時代だから、中国、南朝から伝わった風習なのかも知れない。後代に「破魔」の字があてられたらしい。全国には「濱井場(はまいば)」という地名が残っていて、柳田国男は、そこで正月に「ハマ」を射たところから付けられた地名だと言っている。読売新聞によれば、鶴岡八幡宮の破魔矢は前九年の役に勝利した源頼義が奉納した矢に因んで作られるようになったという。庶民にも正月に神社で破魔矢が得られるようになったのは江戸時代からのようだ。「ハマ」は「浜」の字を使っていたこともあるようなので、「ハマ」をアイヌ語で調べると、日本語一般の「浜」と同じ意味のようだ。「浜」は恐らく縄文語であったのだろう。古田武彦氏の言素論では「ハマ」はどのように分析されるのか興味のあるところだ。
落ち葉
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