釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

日本から新しい文明を

2012-04-13 19:15:50 | 文化
今日も気持ちよく晴れてくれた。ここのところ毎日朝イソヒヨドリの可愛い声が聞こえて来る。職場の裏山ではまだウグイスの声を聞かない。代わりにメジロやヒヨドリたちが10本近い薮椿のたくさん開いた花に集まって来ている。大きな緑の葉で覆われた椿の木に赤い花が点々と灯を灯すように見られるようになった。三陸の海岸はそれ自体が美しく、景勝地が多いが、今回の震災で各自治体は高い防潮堤を築く計画を立てている。しかし、最近、住民からその美しい景観を壊すとして、反対意見が出始めている。特に宮城県の松島などは高い防潮堤によって大きく観光に影響が出るとして、反対する意見が強い。今回の震災や原発事故は我々にあらためてこれまでの生き方を顧みることを促した。自然の脅威を拒絶するのではなく、それといかに共存して行くか。これまでの防潮堤による脅威の拒絶ではなく、景観を生かしながら災害に備えられる方法を模索することが大事だ。共同通信はいくつかの連載記事を特集しているが、特別連載『3.11文明を問う』の10回目で元米国農務省勤務でワールドウオッチ研究所を設立したレスター・ブラウン博士のインタビューを載せている。震災直前の昨年1月に「World on the Edge : How to Prevent Environmental and Economic Collapse」という著書を出されている。「福島の原発事故を見て何を思いますか」との問いに「あの事故は、現在の文明が抱える巨大なリスクとコストについてわれわれが真剣に考える機会となった。世界各国の政治家が、再生可能エネルギーの重要性を理解し始めたのは良い兆候だ。ただ、原子力のリスクは、現代文明が直面する多くのリスクの一つでしかない」 「高騰が続く穀物価格、増え続ける飢餓人口、国としての体をなさなくなった破綻国家の増加という三つの傾向に注目している。地球の再生力をはるかに上回るペースで天然資源を浪費することの上に成り立ってきた現代の文明が、崩壊に向かい始めていることを示している」と答えている。穀物増産の大部分は、持続が可能ではない過剰な灌漑や地下水のくみ上げによって支えられてきたこと、魚の乱獲や森林破壊などにより地上のすべての天然資源が減少していること、地球が吸収できる量よりはるかに多くの二酸化炭素(CO2)を大気中に放出していることなどを指摘している。また他方で、「『セキュリティー(安全保障)』の概念を根本から考え直す必要がある。われわれは二つの世界大戦と冷戦で培われた20世紀型のセキュリティーの概念にとらわれている。だが、21世紀のセキュリティーは軍事的手段では確保できない。気候変動、穀物価格や食料、水資源、人口増加などが人類の安全を左右する問題となったからだ。このセキュリティーを脅かすものが何かを考えれば、新たな経済、新たな文明の姿も見えてくる」と述べている。「タイムキーパーは地球上の自然なのであって、自然によって引き返し可能な地点が決められている。人間がそれを知ることは難しく、もう手遅れかもしれない。もちろん、そうでないことを願っているが」と言われ、人類が崩壊の道を歩んでいることに強い危惧を抱かれている。世界でもかって自然と共存して来たことが特徴的であった日本はそれ故に今こそ新しい文明の方向を示せるのではないだろうか。
芳香を漂わせながら開き始めた沈丁花(じんちょうげ)の花

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