釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

ワクチンだけでは終息しない

2021-01-21 19:12:18 | 科学
大阪市立大学大学院の公衆衛生学福島若葉教授によると、2013年から2017年までの6歳未満のインフルエンザ予防接種の有効率は41%~63%であった。教授によれば、ワクチンの有効率が正しく理解されていないようで、「有効率70%」とは、「100人にワクチンを打ったら70人に効く」という解釈は間違いで、「接種なし」の者の発病率を「1」 とすると「接種あり」の者の発病率が 「0.3」 に なる場合、その差「0.7」をパーセンで表したものである。米国製薬大手ファイザーとドイツのバイオ医薬ベンチャーのビオンテックが共同開発したワクチンは有効率95%と言う驚異的な数値が発表されている。同じく米国のバイオ医薬大手のモデルナのワクチンも94.5%と言う驚異的な数値である。1月14日に米国CNNが報じた中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発したワクチンの有効率は「当初よりも大幅に低い50.38%だった」。「当初発表された78%を大幅に下回る」。ブラジルのブタンタン研究所とサンパウロ州の発表で、「全体で50.38%の有効率を達成し、軽度の症状については有効率78%、中程度から重症の症状については100%だった。いずれも世界保健機関(WHO)が定める50%以上の基準を満たしたとしている。」とある。中国シノバックのワクチンは従来手法の不活化ワクチンである。世界で最も早く、しかも急速にワクチン接種を実施したイスラエルはファイザーのワクチンを使った。12月16日から開始しているので、1ヶ月は経った。しかし、昨日の1日の新規感染者は1万0213人で、死者は101人とこれまでで最大となっている。19日の英国The Guardianは「Single Covid vaccine dose in Israel 'less effective than we thought'」なる記事で、イスラエルのコロナ対策を指揮するナフマン・アッシュNachman Ash教授が「単回投与は「私たちが思っていたよりも効果が低く」、ファイザーが示唆したよりも低いようだと述べた。」と報じている。ファイザーは単回投与が約52%有効であるとしていた。イスラエルでは新しい感染症の30%から40%が英国の変異種と見られている。18日には3ヶ月ぶりに陽性率が10%を超えている。世界五大医学雑誌の一つであるThe British Medical JournalのOpinionで、メリーランド大学准教授で同誌の副編集長のピーター・ドシPeter Doshi氏は、「Pfizer and Moderna’s “95% effective” vaccines—we need more details and the raw data」として、ファイザーとモデルナの95%の有効率に対して資料不足を指摘している。ファイザーは、170人のPCRで確認された新型コロナウイルス感染の症例を報告し、そのうちワクチン群とプラセボ群はそれぞれ8人と162人であった。これが有効率95%の根拠とされている。しかし、PCR検査では陰性であったが、新型コロナウイルス感染の症状を示した症例が合計3410例いて、そのうちワクチン群で1594例発生したのに対し、プラセボ群では1816例であったが、ファイザーはこれらの症例を排除した。新型コロナウイルス感染症状の発症に対するワクチンの有効性を概算すれば、19%でしかない。ワクチン接種から7日以内に発生した症例を取り除いたとしても、有効率は29%でしかない。同氏はこの疑問を解消するためにはデータのさらなる開示が必要だと訴えている。しかも治験の裁定についても、モデルナでは審査委員会の4人のメンバーが、モデルナ以外の大学関連の医師であったが、ファイザーでは3人の委員全てがファイザーの職員であった。感染力の強い英国タイプの変異種はすでに日本だけでなく、世界の多くの国に広がっているが、英国タイプ以上に脅威となる可能性があるのが南アフリカタイプの変異種である。今月4日のロイター通信は、「英国の科学者らは4日、南アで見つかり世界各地に感染が拡大している変異種について、新型コロナワクチンが効かない可能性への懸念を示した。」ことを報じたが、今日のロイター通信は「南アフリカで検出された新型コロナウイルス変異種「501Y.V2」には、感染後に回復した人の血液を使用する「回復期血漿療法」による抗体が効かないことが分かった。」と報じている。「専門誌に公表された論文で」、「スパイクタンパク質を標的とする現行のワクチンの効果が限定される可能性があるとした。」とある。「南アフリカで検出された新型コロナウイルス変異種「501Y.V2」」は「人の細胞に結合しやすく、感染力が従来種よりも強いことが生物学的に確認され」ている。
山茶花

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