釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

国費に群がる亡者たち

2021-02-22 19:19:20 | 社会
江戸300年と明治、大正、昭和と基本的に「お上」意識が維持され、建前上は将軍や天皇が頂点に位置した。敗戦後、米国流の「民主主義」が導入され、憲法から社会システムまでが大きく変更されたが、米国の自己都合で、大きな方向転換が行われて、旧来の日本システムが復活した。官僚や政治家は国民に「不都合な事実」は開示しない風土が復活した。透明性の欠如などは今に始まったものではない。対米密約などは公然の如く行われて来た。戦後の多くの政治家や官僚は国民よりも強大な力を持った米国の顔色だけを見ていれば安泰であった。しかし、その米国が傾き始めると、大樹に依存し続けた間に、自力を養うことを怠り、今や政官の劣化は目を覆うばかりである。しかも、財までも米国から押し付けられた新自由主義に乗り、自ら養って来た日本流経営を投げ捨て、同じく劣化してしまった。IT(information technology:情報技術)の何たるかを全く理解せず、理解の出来ていないものがIT関連のトップに立ち、ただ利権だけを追求する場としてしか見られない。新型コロナ接触アプリの「COCOA」は使い物にならないが、その開発費には4億円近くを投じており、しかも、2次下請けまで使ってである。直接請け負った企業や1次下請けはさや抜きで利益を得、政治献金で政治家に還流させる。17日の国会では、オリンピックの観客向けアプリに73億円もが投じられることが問題にされた。これも巨額の鞘抜きが存在する。昨年5月、医療機関から保健所に新型コロナウイルス感染者の情報を伝えるためのシステム「HER-SYS(ハーシス)」が導入されたが、結局、これも使い物になっていない。感染者情報を届け出るのが医療機関の管轄保健所だと言うことを、このシステムの開発チームが全く知らなかったと言う。下請けが重なることで、本来のシステムやアプリの役割が正確に伝わらなくなっているのだろう。しかも、開発の責任の所在まで曖昧になる。台湾のようにITのプロが権限を与えられなければ、いつまでも無駄な国費を消耗させるだけだろう。新型コロナウイルス感染は、健康被害と経済被害を拡大し、それだけでも巨額の国費を要するが、オリンピック開催も同じく巨額の国費を要する。補正予算を含めて、3月までの2020年度の政府支出は175兆6878億円にもなる。見込まれていた税収は、63兆5130億円であるが、コロナ禍で実際には、ずっと少なくなるだろう。2020年度分として政府は借換債と新発債を合わせて153.5兆円の国債を発行する。借換債とは、借金返済のための借金と言うことだ。全く新たに追加する国債は32兆5562億円だから、借款債が圧倒的に多い。慶應義塾大学土居丈朗教授は、今日の東洋経済ONLINEで、「2021年度予算、「短期国債が4割」の異常事態  短期債借り換えに奔走、コロナ対策の高い代償」を書いている。2021年度当初予算案は一般会計の歳出総額が106.6兆円なる。「税収等で63兆円を賄うが、43.6兆円もの国債を新規に発行し、財源を工面しなければならない。」。2021年度予算案では、「借換債と新発債を合わせて236兆円の国債発行」を要し、借り入れ期間が「1年以下の国債を39.6%も」になり、「2年以下の国債比率は119.2兆円、全体の56.8%にのぼる。」。「2020年度の補正後予算で1年債を大量に発行したため、早くも借り換えを迫られている。2022年度にも、2020年度に発行した2年債と2021年度に発行した1年債の借り換えが待っている。もし市場のニーズがなければ、長い満期の国債で借り換えることができない。日本の財政は、まさに自転車操業状態である。」。こうした政府債務の深刻な状況など政治家はほとんど直視せず、「予算」は単なる利権の源としてしか見えていない。忖度官僚に堕した官僚たちもその深刻さを伝えない。先週金曜日のロイターは「株式バブルの信号点滅か、PERから通貨供給量まで」と大しる記事を伝えた。「各国がコロナ禍に対応して未曽有の金融・財政政策を実施したことにより、世界中に資金があふれている。米バンク・オブ・アメリカは、世界の主要中央銀行が1時間ごとに計11億ドル相当の金融資産をのみ込んでおり、米株式市場には「根拠なき熱狂」が見られると指摘した。」と書いている。何の価値もなく、ただ投機の対象でしかないビット・コインが資産総額1兆ドルを超えたこと自体が、金あまりの「泡沫」である証拠だろう。日本政府にバブル崩壊の危機意識が欠如していることも当然である。ひたすらオリンピック・「GO TO」利権しか頭にない。
福寿草

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