釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

貧困を抱えた先進国

2013-11-23 19:11:44 | 社会
先日初冠雪のあった愛染山はその後一旦雪が消えていたが、今朝見てみるとまた雪を冠っていた。そのせいか、今朝は2度まで下がっていた。風も少し冷たい。しかし、空は青空が広がった。いい天気にはなったが、残念ながら、今日は仕事の絡みで盛岡まで片道2時間かけて行かねばならなかった。山や鮭の遡上する川のある盛岡ではあるが、人口が30万ともなると、もううんざりしてしまう。やはり、車の流れを見ているだけで疲れてしまう。釜石に馴染み過ぎてしまったのだろうか。盛岡駅近くのビルで2時間過ごした後は、どこへも立寄らずにさっさと帰路についた。 10月1日の国連食糧農業機関FAO発表によれば、世界の飢餓人口は8億4200万人いる。世界人口の12%にあたり、8人に1人が飢餓状態にある。アフリカ、アジア、南米の順で深刻だ。これまで確かに飢餓と言えばこれらの地域に注目されて来た。しかし、先進国と考えられている米国で今、この飢餓が進行している。米国は製造業が廃れ、金融経済に大きく舵を取り、お金がお金を生み出す魔法の仕組みを創り出した。物を造るために資本が投じられていた構造から、賭けに資本を投じる仕組みに変わった。この仕組みではお金をたくさん保有している者がさらにお金を多く保有出来る。こうした社会では普通の国民は以前の工場のような働く場を失ってしまう。国が発表する失業率には仕掛けがあるため、実際の失業率が反映されない。失業者の定義は職を求めているのに得られていない人を指す。長期失業者は、職を求めていない、として失業者にはカウントされない。職がなければ当然収入もない。最初に困るのは食べ物だ。現在、米国には補助栄養支援事業であるフードスタンプ利用者が5000万人近くいる。5年前より2000万人ほど増えている。今月からオバマ政権はこのフードスタンプ予算を削減した。野党の共和党の圧力もあって。米国商務省の統計によれば、貧困層は国民の16%、4970万人に達する。6人に1人は貧困層に陥っている。リーマンショックのあった2008年にジャーナリストの堤未果氏がすでに『ルポ貧困大国アメリカ』を著している。ニューヨーク市立大学で学んだ後、米国野村證券に勤務していたが、9.11事件をきっかけに、自分の目でもう一度米国を見つめ直そうとした。そこで見えて来た米国の「経済的徴兵制」、「戦争の民営化」を先ず指摘した。堤氏は現在の米国の姿は5年後の日本の姿だと言う。日本は米国を後追いしている。米国は中央銀行にあたる連邦準備銀行FRBが大量にドルを印刷し、米国債を買い取っている。大量に印刷されたドルは製造業や研究開発に向かうのではなく、金融市場と言う賭博場に向かう。競馬や競輪と同じく、コンピュータがはじき出した予想に賭けるのである。株式市場も同じだ。実際に造られた物がよく売れている企業に投資するという古い投資は姿を消して、政府や中央銀行などが発表する政策や数字で経済の動きを予想して投資する。日本はまだ現在、製造業が健在である。しかし、その製造業もこれまでの輸出企業が中心であり、消費税の還付金や円安、株高という政府補助に頼らねば利益を出せない状態になってしまった。その政府補助で得た利益は社内留保に積み上げられ、就労者の所得増には向かわないどころか、正規雇用を削り、非正規雇用を増々拡大しているため就労者の所得は減少する一方だ。米国ほどには金融経済がまだ幅を利かせてはいないが、就労者の置かれている状態は急速に米国に近づきつつある。アベノミックスも大量の貨幣を注ぎ込んでいるが、それは日本の将来を見据えた投資として使われるのではなく、単に旧来の産業の延命と株式の上昇、円安を将来するためにのみ浪費されている。まして、来年からは消費税が増税され、そうした流れまでもが急ブレーキをかけられることになる。米国ほど露骨ではないにしても、日本も着実に貧困層を増大させる方向に動いている。貧困を抱えた先進国はもはや先進国とは言えない。米国も日本も崩壊が始まっているのだ。
日を浴びる庭の柏葉紫陽花

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