釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

食の先祖返りこそが求められる

2021-02-19 19:10:31 | 社会
今朝、出勤時に見ると、昨夕見つけた向かいの建物の軒先にたくさんの氷柱がそのまま垂れ下がったままであった。屋根に積もった雪が日中に溶け、夕方に気温が下がって、氷柱になったのだろう。気温が低い朝まで残っていた。今冬は釜石へ来て以来、最も雪の降る回数の多い冬である。寒さと雪で、一層、休日も出かけなくなった。東京のような大都会よりもこうした釜石のような地方の方が、新型コロナウイルスへの感染を避けようとする意識が強いかも知れない。まして、今は、釜石市を南北から挟むように、宮古市と大船渡市で連日わずかずつだが新規感染者も出ている。職場は小高い山の裾にあり、窓からは山の木々に飛んでくる小鳥たちの姿を見ることが出来るし、いくつかの古い石碑が立つのも見える。それらの風景を見ていると、現在の日本の社会や、日本列島の歴史、日本と言う国の歴史などがよく浮かんで来ることがある。目の疲れを癒すのにもいい。昨日、息子と日本の癌死の多いことについて話した。欧米では癌による死亡が減少して来ているが、何故か先進国で日本だけは癌による死亡が増え続けている。もちろん、癌の発生自体も増えている。同じ人間ではあっても欧米と日本では、食習慣が大きく違う。日本をはじめ東アジアでは海藻を食べる習慣があるため、腸内には海藻を消化してくれる細菌がいるが、欧米人にはそうした腸内細菌がないため、海藻を消化吸収出来ない。しかし、戦後、この日本の食習慣が大きく変わった。欧米の食習慣が急速に日本に入り、旧来の日本の食習慣が大きく減少して来た。四方を海で囲まれる日本列島では、動物性蛋白源は主に魚介類で、野菜と卵、米が中心であった。戦後は、それらが減少し、肉と油と外来野菜、小麦粉が増加した。高度経済成長後は、いわゆるファーストフード店が全国で見られるようになった。日本の伝統的な和食とは程遠い食べ物のオンパレードである。外来食の問題は糖質の過剰摂取である。あるいはインスタント食のような腸内細菌には不都合な加工食品が増加した。過剰な糖分が体内へ入り、腸内細菌のバランスを大きく崩す食べ物が腸へ入るようになった。人類の祖先が樹上から地上に降りて来るまでは、果実や昆虫が食物の中心で、地上に降りてからは、それに動物の肉や卵、魚が加わった。たまには野生の植物も口にしただろうが、頻回ではなかったために、人の体内で独自に植物を消化・吸収する機能は身に付かなかった。植物に付着した枯草菌のような細菌をともに口に入れることで、腸内でその細菌の助けで消化が可能となって行った。700万年の間に口に常時入れていたものだけが、消化吸収可能となる身体の仕組みを得た。日本人が米を食べるようになって、わずか3000年でしかない。3000年では米に合った身体の仕組みを作り上げることは出来ない。700万年かけて進化した身体は、わずか3000年では変わらない。まして100年も満たない年数で変えてしまった現代日本の食べ物には、とても身体はついて行けない。癌細胞は、糖分をエネルギーとして増殖する。米や小麦のような炭水化物は、みんな体内で糖分に変わる。人の身体の細胞37兆個のうち、毎日5000個が癌細胞に変化すると言われる。それでも多くの人は何事もなく生活している。免疫細胞がそれらの癌細胞の芽を攻撃してくれているからである。ところが、酸化と糖化が正常な免疫細胞の働きを抑えてしまう。特に腸内細菌がいる腸は、免疫の6〜7割を担っていると言われており、その腸に日本人の体にはかっては入ってこなかった食べ物が入り込むようになってしまった。1969年に初めて診断された花粉症は、今では多くの人で見られるようになった。これも免疫異常であり、腸の細菌のバランスと大いに関係があるだろう。腸内細菌、酸化、糖化が相互に影響して、日本人の身体を疲弊させている。メディアで報じられる様々なハラスメントもストレスの要因であり、ストレスは体内で酸化を促進し、免疫力も低下させる。日本人は長寿になったと言われるが、世界での最長寿者は日本人ではなく、フランス人である。122歳の女性が記録上の長寿者だ。統計上の寿命には、当然だが寝たきり状態の多くの高齢者も含まれる。健康で、自分のことが自分で出来る状態のまま長寿であることを目指す必要がある。先月、東京大学などが、身体に残り続ける老化細胞を除去することで、体内の老化現象を回復させ得ることをマウス実験で確認している。亡くなられた免疫学の安保徹新潟大学名誉教授は、「癌は先祖返り」だと言われていた。元々、細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアは、細胞に外から寄生して来た外来のものであり、本来はブドウ糖を主としたエネルギー作りしかなかった。癌はこの本来のブドウ糖中心のエネルギーで成長する。そこからブドウ糖を絶った癌療法の発想も出て来た。和食へ回帰し、腸内細菌に優しい環境を作る必要があるのかも知れない。

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