釜石の日々

最初から医療崩壊している日本

Newsweek誌日本版4月28日号は、「日本に迫る医療崩壊」と題する特集を組んでいる。その中で、グローバルファンド〔世界エイズ・結核・マラリア対策基金〕戦略投資効果國井修局長は、「「医療崩壊」とは一体何だろうか。実は明確な定義がなく、言葉が独り歩きしているようにも思えるが、新型コロナに関して言えば「患者が急増して病院が機能不全を起こした状態」を指すことが多いようだ。英語で「医療崩壊」に当たる定型語はないが、米ニューヨーク州のアンドルー・クオモ知事は「overwhelm the capacity of the current health care system(現存するヘルスケアシステムの能力を凌駕する)」と表現している。」と書かれた上で、「私としては「医療崩壊」を「保健医療システムの機能不全」と言い換えて、感染拡大により「保健医療サービスの需要が急増し、供給できる能力を超えたために、本来提供できるサービスや成果を生むことができなくなること」と定義したい。」としている。また、4月29日には、公益社団法人の日本経済研究センターのホームページで、九州大学医学部医療経営管理学の馬場園明教授が、「新型コロナ感染拡大、全国病院の5割が通常稼働できず 医療崩壊をどう食い止める」と題する記事を載せている。そこで、教授は「医療崩壊とは、患者数が医療機関のキャパシティーを超え、外来診療や入院治療が行えなくなる事態のことである。」とされている。今日のDIAMOND onlineには「コロナ禍が迫る「命の選択」を避けるため、日本国民がとるべき行動」と題して、内科医でもある中央大学大学院戦略経営研究科真野俊樹教授が寄稿されている。教授は「新型コロナウイルスの感染爆発が生じたアメリカ、イタリア、スペインなどの一部の地域においては、医療崩壊が発生。限られた医療資源を生かすために「誰を優先的に治療するか」という問題が発生し、すでに「命の選択」が迫られるという事態に直面しているからだ。」と書かれている。捉え方の多少の違いはあるが、要は医療を必要とする人が、その必要とする医療を受けられない状態だと言うことだろう。医療は国民の健康と命を維持するためのものであり、医療側から見るのではなく、医療を受ける国民の側から見なければ意味がない。真野教授は書かれている。「つまり、医療者が「この患者は助けることが可能なので人工呼吸器をつけ、この患者はもう手遅れなので人工呼吸器を付けない」などといった選択が迫られているのだ。当然、人工呼吸器をつけなければ、その患者はすぐに死んでしまうので、まさに究極的な「命の選択」である。」欧米で数の限られた人工呼吸器を誰に装着するか医師が選択しなければならない状況になっていることを「医療崩壊」とされている。欧米はある意味では、日本より幸せである。日本は最初の検査の段階で選別され、選別から漏れて、誰にも気付かれずに自宅で密かに命を失う人がいるのだ。これまでの日本の医療は、どうあれ、必ず医療機関で行われて来た。今回の新型コロナウイルス感染は確かに始めてのウイルスではあるが、何故、いつまでも「帰国者・接触者相談センター」に相談しなければならないのか。従来の「37.5度以上」という体温の目安を削除し、「発熱が4日以上続く場合」との条件も外したからと言って、インフルエンザのように医療機関を受診出来るようになったわけではない。インフルエンザも毎年1万人もの人が亡くなっている。それでも医療崩壊など起きていない。検査をどこでも容易に行い、病状に応じて各医療機関が機能分担して、治療に当たっているからだ。医療機関ではない保健所に検査機能を限定することで、日本ではすでに医療崩壊を起こしてしまっているのだ。本来救える人が救われていないのだ。検査キットが限られていた感染当初なら仕方ないが、すでにもう4ヶ月も経ってしまった。韓国や台湾が封じ込めに成功しつつあるのは、過去のSARZなどの「経験」によるものだけではない。経験であれば舛添氏も言っていたように日本では新型インフルエンザを上手く乗り切っているのだ。あくまでも専門家の原則と政治の意志である。昨日の時事通信は「日本の指導者、国民評価で最下位 コロナ対策の国際比較」なる記事を配信している。シンガポールのブラックボックス・リサーチとフランスのトルーナが共同で23カ国・地域の人々を対象にそれぞれの指導者の新型コロナウイルス対応の評価を尋ねた国際比較調査を行った。「政治、経済、地域社会、メディアの4分野でそれぞれの指導者の評価を指数化した。日本は全4分野のいずれも最下位で、総合指数も最低だった。」「政治分野では、日本で安倍政権の対応を高く評価した人の割合は全体の5%にとどまり、中国(86%)、ベトナム(82%)、ニュージーランド(67%)などに大きく劣った。」。ともかく「検査を増やせば医療崩壊する」などと言う世迷いごとをメディアで唱える「専門家」自体が、検査制限でむしろ医療崩壊をもたらせているのだ。死亡後に検査結果が判っても何の意味もない。
鴇草(ときそう)
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