釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

復興を遅らせている元凶の一つ

2012-03-12 19:12:20 | 文化
今朝起きてみると湿った雪で一面が真っ白になっていた。日中は曇ってはいたが、プラスの温度になった。路面の雪は一度ほとんど融けてしまったが、午後から再び本格的な雪になった。職場の裏山のいつもの木に先週の末からゴイサギの姿がまた見られなくなっていたが、午後の雪の降る中でいつもの木に帰って来ているのが確認できた。しかし、いつかは、戻らなくなるのだろう。幼鳥の巣立ちだと思えば、喜ばしいことなのだが、少し寂しい気もする。今日の昼にも職場の前でTVカメラが回っていた。昨日はどの局も震災後1年の番組で満たされていたようだ。しかし、職場の方が言われていたが、どの番組を見ていても違和感を覚えたそうだ。東京から来られていたU先生のチームの方々も昨日分かれていくつかの寺で行われた慰霊に参加され、どこも本堂に入り切らないほどの人たちで一杯だったそうだが、そこでは逆に皆が涙を流していないことに驚かされたようだ。震災で犠牲になった人たちへの悲しみに浸っていられないほどに助かった人たちも未だに不安を抱えているのだ。気仙沼までの沿岸部を走っても、1年前とほとんど何も変わっておらず、どこも瓦礫が積み上げられたままになっている。本格的な復興へはまだまだ道のりは遠い。1年を経過しても、被災して生き残った人たちには先が見えて来ない。そんな被災者の気持ちが十分メディアや震災の影響のなかった大都会の人たちには捉えられていない。かえって場違いな報道ばかりが流される。震災後1年の報道はさらに各地で昨日あった反原発集会についてもほとんど無視していた。政府主催の東日本大震災追悼式典で天皇陛下が述べられた内容でもほとんどのメディアが「再びそこに安全に住むためには放射能の問題を克服しなければならないという、困難な問題が起こっています。」と述べられている部分を割愛していることがネット上で取り上げられている。福島県郡山市で行われた反原発集会には大江健三郎氏も参加されている。北海道から九州まで、日本の各地で反原発集会が行われただけではなく、海外でも昨日は一斉に反原発の集会が行われており、ドイツでは2万4000人もの人がたいまつを手に全長80Kmの「人間の鎖」をつくり、原発反対を訴えている。原発大国のフランスでも反原発行動では同国内の過去最大規模となる6万人が「人間の鎖」に参加している。英国や台湾でもデモや集会が行われている。先月末、名古屋大環境学研究科が主催した震災1年のシンポジウムではドイツの核物理学者ハイゼンベルクの後継者と言われるマックスプランク研究所のハンス・ペーター・デュール博士は「原子力エネルギーには百パーセント反対しています」と述べた上で、「平和のための原子力という考え方にも反対です。平和が前提であっても、軍事転用されないという保証はない。」、「最悪の事故に至る確率がゼロではなく、その結果が受け入れがたいものであるなら、迷わずノーといわねばなりません」と訴えている。共同通信編集委員の井田徹治氏は『原発の不都合な真実』という連載コラムを立ち上げて、原発推進派が築いて来た神話がいかに真実ではなかったか、を明らかにしている。そこには記者として原発推進の動きを止められなかった自責の念が込められている。亡くなった高木仁三郎氏のような官製の科学研究とは一線を画し、市民の側に足場を置いた「市民科学者」の声に真摯に耳を傾ける必要性を説かれている。諸外国では高木氏のような市民科学者が大きな役割を果たしているが、日本は閉鎖的な「学会」組織にさらに輪をかけるようにメディアまで市民科学者を無視して来た。この国の首相は昨日の震災後1年を迎えた記者会見で原発再稼働に向けて自ら先頭に立つ旨発表している。何故これほど被災地に瓦礫が処理されないままに残されているのかさえ全く理解していないようだ。誰も放射性物質を含んだ瓦礫など引き受けたくはないのだ。大部分のメディアや首相にとって無駄な1年であったようだ。最も原発被害の大きかった福島県の佐藤雄平知事はさすがに「再生可能エネルギーを推進し、原子力に頼らずに持続的に発展する社会を目指す」とした「ふくしま宣言」を発している。
白砂青松の美しかった陸前高田市の高田松原に残る「奇跡の一本松」

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