釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

解明されて来た「予想されている津波地震」のメカニズム

2012-05-07 19:20:07 | 文化
朝は5月晴れのいい青空が広がつていたが、次第に雲が出て来て、午後になり再び青空が広がった。職場の昼休みに近くで石南花を丹念に育てておられた方がいたのを思い出し、そろそろ石南花が咲き始めているだろう、と出かけてみた。日が陰ると風も少しあって、肌寒く感じる。歩きながら、藤の見事だった近所の家も見たが、ここも津波に襲われたためか、藤の木の育ちが悪くなっていた。他にも庭にたくさんの花や木があったが、それらも痩せた感じに見えた。石南花の立派な何種類かの木があった家はもうすっかりなくなっていた。色合いもきれいな石南花ばかりだったのだが。同じ場所に新しい家が建っていたが、庭木は一切見当たらない。同じ方が住んでいるのかどうか。高台の津波が届かなかったところでは毎年咲いていた八重桜が今年も咲いていた。やはり職場の近辺は津波が襲った地域なので、震災前に比べて見られる花がずっと少なくなった。家主がいなくなり、手入れもされなくなって、一層枯れてしまったのだろう。日本列島は四つのプレート(岩板)が交わっているが、陸側のプレートの下に海側のプレートが潜り込む海溝の直下や周辺では、摩擦が少なく、歪みが溜まりにくいため、これまで地震は発生しにくいと考えられて来た。昨日付けで英国科学誌ネイチャーに発表された日本の海洋研究開発機構の研究によると、1944年の東南海地震の震源域を特殊な地震計を使って観測した結果、通常の地震よりゆっくり滑る「超低周波地震」の発生メカニズムが解明された。こうした地震はむしろ海溝のプレート境界で発生することが明らかとなった。2008年に断層破壊速度の遅い地震も観測可能な広帯域海底地震計を、和歌山県田辺市の沖3カ所に設置して、2009年3月22日から10日間に南海トラフ軸近くで超低周波地震を捉え、M4クラスの地震の場合、通常は地殻破壊は1秒程度で終わるが、観測された地震は30~100秒かかった。このタイプの地震は海底地形を変形させることで、巨大津波につながる可能性も出て来た。昨年3月11日の地震では、地殻の破壊は宮城県沖で最初に発生し、そこから北と南へ次々に進んで行き、南側へ進んだ破壊は茨城県沖と房総沖の境で止まった。そこにはちょうどフィリピン海プレートの北東端がある。東日本が乗る北米プレートの下に潜り込む太平洋プレートの溜まった歪みエネルギーが解放されたのが昨年の3月11日の地震であった。その時の地殻破壊の南側が停止した原因がフィリピン海プレートの存在であった。このことを明らかにしたのも同研究機構であった。また以前にも書いたが、同機構は昨年の巨大地震後、海側の太平洋プレート内部の50回分の余震を解析し、引っ張られる力によってプレート内部の断層がずれる「正断層型」の地震であることを突き止め、今後、東北沖でM8クラスの余震が起きる可能性もあることを発表している。
津波で火災も発生し、主のいなくなった家に咲く花たち(左から石南花、椿、花海棠)

高台の八重の花たち(上から関山桜、山吹)

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