釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

現生人類の東進時期

2018-04-13 19:11:37 | 歴史
人とチンパンジーのDNAはわずか1.6%しか違わない。98.4%は同じなのだ。人とチンパンジーは700万年前に分れた。その後、人は猿人、原人、旧人、新人へと進化した。我々現生人類ホモ・サピエンスは25万年前のアフリカで誕生したとされている。しかし、以前のブログにも記したように、昨年、北西アフリカに位置するモロッコのジェベル・イルード遺跡で、30万~35万年前の初期人類のものと思われる化石が発見されたことが報じられている。これまでは19万5000万年前のモロッコで発見された人類化石が最古だとされて来た。人類はアフリカで生まれ、先ずはアフリカ内で次第に拡散し、ついにはアフリカを出て、世界に広がって行った。では、いつ頃から人類はアフリカを出たのか。定説は小規模な移動は12万年前から始まり、大規模な移動は6万年前より古い時代の確かな証拠はないとされている。2002年に、イスラエル北部のカルメル山のミスリヤ洞窟で、人類のものと思われる上顎の化石が発見され、測定の結果17万7000~19万4000年前のものであるとされている。また、インドのアッティラムパッカム遺跡では、少なくとも25万年前に遡ると考えられる革新的な石器が発見されており、同様の石器がほぼ同時期のアフリカでも発見されている。アフリカを出た人類は次第に東に拡散し、アジアから当時陸続きだった北米のアラスカ半島に到達し、その後南下して、ついには1万8000年前に南米大陸に至っている。2014年にはカナダのブリティッシュ・コロンビア州キャルバート島の海岸線で、人類の足跡が29個見つかっていて、1万3000年前のものとされた。北米大陸の最古の人類の足跡だ。日本では釜石の隣の遠野市達曽部の金取遺跡から9万年~3万5000年前の旧石器時代の石器を含む遺物が発掘されており、島根県出雲市の砂原遺跡では、さらに古い11万~12万年前の国内最古の石器が発掘されている。氷河期にやはり陸続きとなったアジア大陸から日本列島に渡って来て、すでに11万~12万年前には石器を作る人がいた。地球上では何度も寒冷な氷期を繰り返しているが、最後の氷期はヴュルム氷期と呼ばれ、7万年前から1万5000年前までになる。その前の表記はリス氷期と呼ばれ、18万年前から13万年前までとなる。人類が米大陸へ渡ったのが、従ってヴュルム氷期であり、日本列島に人が渡って来たのがリス氷期になるのだろう。日本にいつ頃現生人類が渡って来たのかは人類の出アフリカ問題との関係でも重要になる。11万~12万年前に日本列島で石器を作ったのが、現生人類だとすれば、出アフリカはこれよりはるかに早い時期でなければならない。インドの25万年前の石器も現生人類のものである可能性は十分にあるだろう。
早咲きのツツジ