釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

メディアの凋落

2016-08-03 19:12:18 | 社会
日本新聞協会によると、2015年には2000年に比べて、世帯数は増えているにもかかわらず全国での新聞の発行部数は年々減少し、1世帯あたり2000年の1.13から2015年の0.80までに低下している。新聞やテレビはインターネットやゲーム機器の普及で、役割が陰って来た。いずれも広告料が経営のためには必要であり、広告主の存在が無視出来ない。さらにはあろうことか、現政権は気に入らない報道があれば、メディアに直接圧力をかける。唯一国民から受信料を取るNHKに至っては、政権寄りの人物に会長職をすげ替えることまでしている。以後は当然番組にも大きく影響が出ている。一定の権力を持つ政官財からの情報をただ横流ししているだけではメディアとは言えない。国民に「事実」をどう伝えるかが問われる。どのメディアも同じように報じているのでは意味がない。独自の記事が重要になる。雑誌プレジデントが外国人記者の評価に基づいて「日本のマスコミ」 信頼度ランキングを実施している。それによれば、東京新聞が突出して高い評価を得ている。10点満点で、東京新聞8.2、産経新聞と朝日新聞が5.0、毎日新聞4.3、日本経済新聞2.8、読売新聞2.3、最下位がNHKの0.7だ。またジャーナリストの牧野洋氏が調べた独自記事の割合でも東京新聞はやはりトップとなった。独自記事の割合は東京新聞と毎日新聞がそれぞれ32%、産経新聞31%、日本経済新聞24%、読売新聞22%、朝日新聞21%となっていた。以前は各紙ともに独自記事が多かったように思う。しかし、広告料収入の低下に伴い、経営の合理化もあって、記事への経費を節減した結果でもあるのだろう。いずれにしろ、現在のメディアは本来の機能を果たさなくなってしまった。一部にはかってはメディアの代表のように言われ、今では政権の広報誌に成り下がったものさえある。外国人記者たちは、評価するにあたって、調査報道に取り組んでいるか、自由な価値観を持っているか、「メディアの役割は権力側の話をオウム返しに繰り返すのではなく、それを監視し批判することであるのを理解している」かなどを視点にしている。不偏不党を謳ったNHKの今の有り様はまさに0.7点にふさわしいだろう。もはやメディアの体をなしていない、とさえ言えるかもしれない。こうしたメディアの質の低下がヘイトスピーチの氾濫や世の保守化にも影響しているように思う。そして、それは一人日本だけの現象でもなさそうだが。
木槿(むくげ)