釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

少しづつ暴かれる実態

2011-08-15 19:12:06 | 文化
昨夜は暗くなってから近所の家々の玄関先には提灯が掲げられ、迎え火の火が焚かれていた。空には月と星が輝き、あたりから虫たちの鳴く音が聞こえて来ていた。迎え火の火が炊かれるのを見ていてふとこの迎え火の風習はひょっとして縄文時代から続いているものではないだろうか、と言う疑問が湧いて来た。別に根拠があるわけではないが、巨石と同様縄文時代の火は自然現象として人知を超えた何物かであったろうと思う。死者に対する敬いとしての火というものはあり得ることのように思われる。死者の甦りの希望と後に入った仏教行事としての盆が一体となった時に迎え火も取り込まれたのではないか。今日も暑い日となったが、もう1ヶ月以上前からずっと蕾の状態が続いていたレンゲショウマが今朝やっと1輪だけ開き始めた。他にまだ蕾が3つある。完全に開き切るには今日1日かかりそうだ。娘は午後から東京からの知人と地元の知人と続けて夜までお茶会があり出かけて行った。同年代の知人との交流が少ないのでむしろありがたい。原発事故のあった福島県のアドバイザーとなっていた長崎大学大学院山下俊一教授は福島県入りした当初から県内各地で放射線の安全を説いて回り、100μSv/Hrさえ問題ないと説いた。4月からは福島県立医科大学の副学長に就任し、県民の健康診断にあたることになった。長崎の原爆被曝患者の診療経験をふれこみにして一貫して原発推進に有利な見解をとって来た。県民は今や山下俊一教授への不信感を募らせ県に対して県民の健康調査の責任者を解任する署名運動を展開し始めた。本年5月に出されたヨーロッパ最大の発行部数を誇るドイツのシュピーゲル誌は「原子力国家」と題して日本の原子力発電所の推進のあり方を書いている。どこの日本のメディアも書こうとしない実態を長文で明らかにしている。長くなるが一部を引用する。「『原子力帝国』の中でロベルト・ユンクが恐ろしくも警告していることが、現実になってしまったかのようだ。   ユンクの予測はドイツでは起こらずに済んだが、日本では予言であったことが実証されてしまった。賛成一致をよしとする日本社会において、原子力産業、電力業界、政党、学者は一体となって、民主主義を脅かす不可侵の聖域を作り上げてしまったのである。  原子力村の馴れ合いの根回し談合が、この大事故を助長してしまったのは、確かである。最高5.7メートルの津波しか福島には来るはずがない、と東電は算出していたが、これは日本のエンジニアグループで編成される委員会が出した資料を根拠にしている。しかしこの委員会の35人のメンバーのほとんどは、電力会社の元社員か、電力会社が出資するシンクタンクに従事する人間である。   マスコミの大半も電力産業を大スポンサーとして潤い、この談合世界の一部であるといっていい。
学者たちの研究室にまで電力会社の影響は及んでいる。たくさんの学者たち、ことに東大の学者たちは東電に皆、好意的である。それは、東電が当大学を何百万ユーロという単位の援助で奨励しており、あらゆる協会、シンクタンクや委員会を養っているからである。これまで、こうしたやり方での「コネ」は成功してきたといえるだろう。というのも、これまで東大の学者で東電を批判する意見をしたことがある人は、誰一人いないからである。
 日本のマスコミではこのような警告はなかなか面に出てこない。東電は原発によって潤った金をマスメディアにも大量につぎ込んでいるからである。年間何百、何千億ユーロもの金額を東電はイメージ作りに費やしている。例えば東京の放送局TBSの「News 23」、フジテレビの「めざましテレビ」、テレビ朝日の「報道ステーション」などのニュース番組のスポンサーをしているのだ。これらのメディアは原子力産業の大きな分け前にあっているわけだ。
東電はまた、ジャーナリストたちを豪華な旅行に招待してご機嫌取りもしている。津波が福島第一の原発を襲った日には、東電会長は日本を留守にしていた。彼は、中国の豪華ホテルでマスコミ関係者を「視察旅行」に招待していたのだ。」毎日新聞の8月2日の特集では公開された米中央情報局(CIA)の当時の機密文書から原子力委員会初代委員長をつとめた正力松太郎氏と中曽根康弘氏によって米国の世界戦略と強いつながりを持ちながら、日本の原発開発が進められて来たことが書かれている。同じ日の特集で「原子力政策 発電費用「安さ」疑問も 国が多額経費投入」と題して原子力発電がコスト的に他の発電方法と比べて安いとは言えないことを掲げている。原発は安くないだけでなく、CO2排出も燃料や建物後処理を含めれば相当の排出量になり決してクリーンな発電ではない。まして今回のような事故があればコストも跳ね上がり、すべて電気料に加算出来る仕組みになっている。汚染処理や事故原発の処理にも30年以上を要する。
ダリア メキシコ原産でスペインを通じて世界に広がる