釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

原子力発電所事故

2011-04-17 12:37:10 | 社会
最近暖かくなって来るとまたイソヒヨドリが近くにやって来て可愛い声で鳴くようになった。周囲の花たちはわずか1日で驚くほど早く開き始めている。その様子に感動すら覚える。被災地域に植物が見られなくなったのでなお印象深いのかも知れない。経済産業省原子力安全・保安院は12日に福島第1原子力発電所の事故を国際評価尺度(INES)の暫定評価で最も深刻な「レベル7」に引き上げると発表している。米国は当初から最大の原発事故とみなして大使館機能を東京から大阪へ移し、米国民へは80Km以上の範囲へ避難するよう指示を出し、多くの米国民は国外退去した。レベル7は1986年の旧ソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所事故の時と同じレベルになる。現在の福島第1原子力発電所の原子炉の正確な状態は分かっていない。1979年のスリーマイル島原子力発電所事故にしても、チェルノブイリ原子力発電所事故にしても原子炉に近づけたのは数年後だ。狭い国土の日本には発電用原子炉が55基あり、建設・計画中のものが10基ある。いずれも大部分が海岸沿いに設置されている。輸送と排水の関係から立地されたのだろう。日本は国土が狭い上プレートや中央地溝帯(フォッサマグナ)が複雑に取り巻いていて、地震の多発地帯でもある。三陸沿岸部は寒流と暖流が流れて豊かな漁場をもたらしていたが、その潮流は放射性廃水を外洋へは運ばず沿岸部を南北に流れさせる。欧米以上に従って安全対策には慎重でなければならなかったはずだ。原発を推進する経済産業省に原発を監視する原子力安全・保安院が置かれていることも首を傾げる。東京電力は3月28日に福島第1原発で33機器に自主検査漏れがあったと発表している。いくつかのメディアでも言われていることだが今回の福島第1原発事故は自然災害をきっかけとした人災であるとも言える。日本経済新聞は4月12日に「問われる原発の合理性」と題して原子力発電は経済効率的に見ても決して効率の良いものではないことを明らかにしている。4月14日には福島大学が放射性物質の飛散が北西へも向かっていることを実測したと発表した。春の暖かい風は心配していたように放射性物質の分布状況を変えているようだ。全国漁業協同組合連合会会長が抗議した汚染水の海への排出はいずれ魚介類の食物連鎖に大きく影響して来るだろう。
ショウジョウバカマ(猩々袴) 庭に植えてはじめて花が咲いてくれた