日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎霧中(その13)

2023年11月29日 | ◎本日の想像話
 顔をなめるざらついた舌の感触でミツオは目を覚ました。猫がそこにいた。白地の三毛猫がじっとミツオを見ていた。三毛猫は意識が戻ったことを確認して満足したかのように一声小さく鳴いた。こぎれいな部屋。フローリングの床にブランケットが敷かれている。その上にミツオは寝かされていた。
「気がついたかね。あんた、あの連中が誰だか知っているのかね」
 奥から出てきたのは先ほど立ち話をした大家だった。
「知らない」
 大家は心配そうに、ミツオをのぞき込み、ひとりうなずいた。いそいそとミルに豆を入れだす。どうやらコーヒーをいれるつもりらしい。
「権堂には近づくなと言われた」
「あの連中はこの辺り一帯を取り仕切る磯山会と呼ばれる荒くれ者達だ。デジタル関連のしのぎも得意と聞いておる。コーヒーでも飲むかい」
「ありがとう。いただくよ」

コメント
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