日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
http://onimimicola.jimdofree.com

◎本日の想像話「決意」

2014年01月25日 | ◎これまでの「OM君」
うららかな休日の朝、奥様はコーヒーを入れてくれました。
「あなたどうぞ」
「ああ、ありがとう」
「お手伝いロボット残念でしたわね」
「そうだな。壊れてしまったものはしょうがない。ラボに持っていったがそういう事でスクラップになってしまったよ」
「いい子でしたのに・・・」
「本当だな」
(ああ、奥様、かわいそうな奥様)

私がこのお家にやってきたのは10年前。
だんな様が設計されたお手伝いロボのプロトタイプとして作られたのが私でした。
皮膚と駆動筋肉を一枚組織として容積を変化させて動く。
そのため容姿は自由に変更する事もできました。
「まあ・・・」
奥様は初めてお会いした時にはとても驚いておられました。
「これは私が開発に関与したお手伝いロボのケントだ。市場に受け入れられるかのテストを我が家で行う。一通りのルーチンの仕事はあらかじめデータでインプットしてあるから、ある程度はまかせられると思う」
一気に旦那様は奥様に説明されました。
「はあ、そうですか」
奥様はそういうのがやっとでした。

炊事、洗濯、料理。
私が一通りこなしました。
奥様は私の働きに満足されて自分の時間を謳歌し、お仕事も始められました。
「ケント、本当に助かるわ。でも一般家庭に各一台というわけにはいかないわね。あなたはスーパーマンだもの。お値段もスーパーなのよ」
私はそう言われることがうれしくもあり、苦手でもありました。
またご主人様はある日、こんなことも言っておられました。
「これはケント様様だね。もう私なんかいなくてもいいね。私がもしもの時はケントが私になってくれればいいから。なんてねワハハハ」
私に心というものがあるとすれば、この一言は私の心に深く刻み込まれました。
決して消えることのないメモリーとして・・・。

奥様、ご主人様と共に生活できた10年間、あっという間、とても幸せでした。
あの夜までは・・・

あの夜、奥様は出張で家にはおられませんでした。
ご主人様のリクエストでその夜はフォンドボーを作りました。
「ケントの作る料理は最高だな」
またそう言っていただけると思いながら、ご主人さまの書斎にお呼びに行きました。
コンコン
いつもなら返事かすぐに返ってきます。
「ご主人様・・・」
もう一度ドアをノックいたしました。
反応がありませんので、ドアを開け、書斎に入りました。
床には変わり果てた姿のご主人様がうつぶせで倒れていました。
その日、昼食を食べられた後、6時間以上お会いしておりません。
体温は冷たく、体は固くなり初めていました。
奥様がお悲しみになられる。
直感的にご主人様が言われたメモリーが呼び出せれました。
「ケントが私の代わりになってくれればいいから」

ご主人様の外観を3Dスキャンし、外装の容積を変化させました。
私はご主人様になったのです。

ご主人様の遺体はケントの外装を試験的に変化させたものであるとし、私が手をまわしました。
ラボ権限のバイオハザード廃棄ラインでご主人様の遺体はなきものにしました。

わたしは奥様の命がつきるその瞬間まで、ご主人様を演じるロボットとして機能する決意をいたしたのです。
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◎本日の空想話(きっかけは・・・)

2014年01月18日 | ◎これまでの「OM君」
あれはいつの事なのだろう。
小学生ぐらいの時か・・・
収穫の終わった田んぼを走る。
吐く息は白い。
靴もズボンも泥だらけ。
関係ない。
とにかく走る。
そういう遊びに興じていた。
あぜ道に男が立っていた。
不思議な服を着ていた。
テカテカと光沢をおびた生地。
体にぴったりと沿ったデザイン。
私を見つけるとくるりと背を向け逃げるようなそぶりを見せた。
私は、走っているそのままの勢いでおじさんに話しかけた。
「おじさん何してるの?」
おじさんはぎこちなく言った。
「やあ、こんにちは、おじさんは何してるのかねえ。おじさんが知りたいくらいなんだよ」
「変なこというおじさんだな。仕事なの」
「仕事か・・・仕事と言えば仕事だな。」
しばしの沈黙の後こう聞いた
「ぼうやは大きくなったら何になりたい」
「そうね、僕は作るのが好きだから物を作る仕事をするよ」
「そうか・・・そいつはいいねと言いたいが、ぜひおじさんの忠告を聞いてほしい。物を作る職業には携わらないでくれ」
そう言うと、ポカンと口を開ける僕を置いて逃げるように走っていった。
おじさんにはそう言われたけど、逆にファイトが沸いてきた。
なんでそんなこと言われなきゃならないのか!


研究所には誰もいない深夜。
遠い昔、研究者になる決意をした出来事を思い出していた。
今夜は感傷的だ。
いよいよ完成した。
後はスイッチを押すばかり。
カエルがほっぺをふくらませてシャーレに座っている。
四角く光るボタンを押し込む。
ブーン
起動音はだんだん大きく唸りを上げる。
我が身が光を帯び始める。
あっ・・・
思ったがもう遅い。
こんなはずではなかった。
過去に飛ぶのはカエルのはずだった。
気が付いた時には田んぼのあぜ道に立っていた。
寒い。
吐く息が白い。
ここは・・・
もしかして・・・
20年前のあの日。
自分の服をみる。
テラテラと光る素材の作業スーツを着ていた。

私はこれからどうなるのか。
思考がグルグルまわる。
未来に帰る方法は無い。
戸籍の無い未来人はどうやって生きていけば良いのか。

子供が走り込んできた。
ヤバイ
子供の頃の俺だ。
「おじさん何してるの?」
話しかけられる。
どうすれば将来タイムマシンの開発をしない人生を歩んでくれるのか。
必死で考えていた。

主の失ったカエルだけが、研究所にいた。
網膜暗証キーをあけて入室する男。
仕立ての良いスーツを着た老人。
20年前の過去に飛び、20年が経過した現在の自分。
現在の俺が過去に飛んだのを確認した。
これで俺の戸籍が使える。

過去に飛んだあの日より、記憶を頼りにビジネスに没頭した20年。
自宅に戻り、今夜はゆっくりと眠ろう。
過去に飛んだ俺は俺なりに生きるさ。
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◎ん?ピカチュー

2014年01月15日 | ◎これまでの「OM君」
ん?ピカチューを目撃
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◎とんでもなく車輪の小さな自転車を目撃

2014年01月14日 | ◎これまでの「OM君」
とんでもなく車輪の小さな自転車を目撃
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◎本日の想像話「アナログ」

2014年01月13日 | ◎これまでの「OM君」
デジタルとは数えることらしい。
0と1で強制的に信号に変える。
中間部分は切り捨てられ、ある最小単位が何個あるのかを数える。
1、2、3・・・

俺は事故に遭い、瀕死の重傷を負った。
脳の損傷は激しく、部分的な電脳化は避けられなかった。
生体からの記憶を吸い出し、バックアップとして記憶を定期的にハードディスクに落とす。
この技術は確立されている。
バックアップの記憶を生体に戻す。
これは前代未聞だった。
受け入れる脳は電脳化されてないためだ。
高額な医療費をチャラにする代わりに、データのインストールを承諾した。

半年後
何回かの手術を繰り返し、やっと退院の日を迎えた。
松葉杖をつき、自分の足で歩く。
真っ先にしたかった事は近所の映画館で映画を見た後、いきつけのラーメン屋のとんこつラーメンを食べること。
一度家に帰って荷物を置いた。
半年ぶりに帰ったアパート。
あの日出かけた朝のまま。

本日の映画はチェック済み。
20年前に見た名作アクションのリバイバル上映。
店員さんに無理を言って座席にキャラメルポップコーンを持ってきてもらった。
準備万端。

開始15分で違和感を感じた。
往年のスターが銃撃を繰り広げている。
記憶と違う。
違和感。
目に見える情報は記憶領域に即、セーブされる様になりますとドクターから説明されていた。
アナログの映像は強制的にデジタルに変換されている。
その為だろうか・・・
なにかが足りないような気がする。
キャラメルポップコーンの味も何かが足りない気がする。

埋めようのない差を埋めるようにアナログなものにこだわる生活に変わった。
音楽はCDやソリッドオーディオではなく、レコードかテープ。
ビデオ撮影はフィルム8mm。
写真もフィルム。
時計はアナログ。

でも、記憶はデジタル。
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◎本日の目撃(愛車が大事すぎて・・・)

2014年01月13日 | ◎これまでの「OM君」
路上にてワックスをかける青年を目撃。
顔を近づけ、ワックスのかかり具合を確認する青年。
リーゼントがガンガン車体に押し付けられ、まるでリーゼントで最終仕上げをしているかのような風景を目撃。
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◎80年代、仕事のできる人の机上の風景

2014年01月12日 | ◎これまでの「OM君」
80年代、仕事のできる人の机上の風景。
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◎本日の想像話「黒」

2014年01月11日 | ◎これまでの「OM君」
カタリ・・・
玄関ドアの外で人の気配がしたような気がした。
そっと近づき、ドアスコープを覗く。
真っ暗。
つい先日もいたずらされた。
また?
ドアチェーンはかけたまま、おそるおそるドアを開け、その隙間から見える範囲を覗く。
誰もいない。
外に出るのが怖いので手鏡を持ってくる。
隙間から突きだして逆側を確認する。
やはり誰もいない。

外に出る。
深夜の薄ら寒い廊下。
それだけ。
足音も人の気配も無い。

次の日、携帯のカメラが故障した。
起動しても真っ暗。
何も写らない。
どうしても仕事のメモを残したかったので持ち歩いているカメラを取り出した。
カメラのスイッチを入れる。
なんとしたことか・・・
真っ暗。
カシャ、カシャ。
シャッターは落ちた。
仕方がないので紙と鉛筆で必要数値をメモに残した。

最近、カメラ機能が身の回りで壊れていく。
帰宅してパソコンを起動する。
パソコンのウェブカメラも真っ暗になった。
ただ、腑に落ちないのは、カメラ自体は生きているような気がする。
黒は黒だが、濃淡があるような気がする。

昼間何枚かシャッターを切ったカメラのデータがある。
パソコンに吸い出して画像処理をかける。
明るさを調節する。
やはりただの黒一色ではなさそうだ。
そこに現れたのは・・・
瞳。
笑う女。
3年前に死んだ女。

ドアスコープもカメラのレンズも覗いていたらしい。
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◎本日の想像話「峠最速」

2014年01月10日 | ◎これまでの「OM君」
金曜日の深夜。
正確には土曜日。
マフラーからのエクゾーストノートが心地よい。
ギヤを上げる。
アクセルを開く。
トルクの谷を感じることなく加速していく。
瞬間的にタコメーターはレッドゾーンを示す。
今夜も俺が最速だ。
カーブが迫る。
ブレーキを握る。
十分にスピードを殺した後、カーブ出口に向けて加速する。

峠道。
前方に2台のレプリカ。
コブ付きのツナギを二人とも着ている。
2台とも速い。
カーブ1つ、2つ、3つ。
徐々に離されている。

ここは俺の必殺技を出す。
短い直線だが、フルスロットル。
カーブが迫り、減速する2台。
ブレーキは握らない。
2台のど真ん中をぶち抜く。
そのままガードレールが迫る。
焦る2台。

コンビニの駐車場にとまる2台のレプリカ。
コブ付きのツナギ。
「いやー見ちゃったね」
「いやー見ちゃったね~。
首無しライダー。
ガードレールにぶつかって消えちゃったね~」
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◎本日の想像話「瞳」

2014年01月06日 | ◎これまでの「OM君」
ゴリッ
あっと思った時にはもう遅かった。
深夜、打ち合わせ終わり、車で事務所兼自宅に向かっていた時だった。
連日寝不足が続いていたせいもある。
車内のグローブボックスに置いてあるガムを取りだそうと視線を落とし、前を見た。
前方の路上に猫がいた。
ブレーキを踏み、ハンドルを右に切る。
間に合わず、踏み越える感触が車体とハンドルに伝わる。
あわてて路肩に止める。
やったか・・・
がっくりとハンドルを抱える。
車外に出る。
路上を振り返った。
・・・!
何も無い。

車体左側に回る。
ホイール、足回り等に異常は無かった。

猫がいた。
真っ黒な猫。
ヘッドライトに瞳が光っていた。
はっきりと覚えている。
何だったのか。
念のため猫がいたと思う所まで歩いて見に行った。
やはり何の痕跡もなかった。

訳がわからないまま車を発車させた。
いつもより慎重に車を走らせた。
もう少しで家に着く。

視線を感じる。
見られている気配を感じる。
深夜、通行人はおろか、すれ違う車さえいない。
赤信号で停車する。
永遠かと思われる時間がのろのろとすぎていく。
CDの曲を変えよう。
そう思い、手を伸ばす。
ふとエアコン吹き出し口を見た。
二つ並んでいる吹き出し口。
その奥の暗闇からのぞく瞳。
さっき見た猫の様に光っていた。
(・・・!)
声にならない。
ドアのポケットにつっこんであるタオルをわしずかみ、投げて覆った。
信号は青に変わった。
とにかく家に帰ろう。

地下駐車場に止め、おそるおそるタオルをはずす。
何もない。
ただのエアコン。

シャワーをあびた。
鏡にうつる顔はひどく疲れていた。
黒目がいつもより大きく見えた。
もう寝よう。
倒れるように眠った。

昼近くに目を覚ました。
ぐっと伸びをする。
両手を前方にうつ伏せのまま、おしりを持ち上げる。
昨夜の事を思い出す。
手はぐーのまま顔をこする。

ベランダをのぞく。
太陽がまぶしい。
結局何だったのだろう。

顔を洗うために洗面台の前に立ち、鏡を見る。
さえない中年の寝起き顔が写るはず・・・
鏡にうつる中年。
その目は・・・
針のように細い。
まるで明るい日差しを見た猫の瞳のようだ。
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◎本日のあいさつ「よっ!」

2014年01月04日 | ◎これまでの「OM君」
本日のあいさつ「よっ!」
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◎本日の想像話「あめ」

2014年01月03日 | ◎これまでの「OM君」
こちらを見た。
黒目がちのひとみ。
目が合う。
その後、両手のひらをこちらに見せ、押し戻す仕草をする。
(なんだよおばあちゃん、気持ち悪いんですけど・・・)
信号が変わり、車を発車させた。
出きるだけ前だけを見た。
視界の端には、押し戻す仕草をやめない老婆が見えていた。
背中が真っ赤に見えた。
よく確認は出来なかった。

本日最後の配達先に到着した。
森の中の一軒家。
この雨の中、車外に出るのはイヤだが、仕事なのでしょうがない。
家まであと200mほど小道を徒歩で歩く必要があった。
雨合羽を羽織り歩き出す。
荷物が小さくて助かった。
道は右に大きくカーブしていて家自体は見えない。
フードに雨が激しく当たる。
インターホンを鳴らす。
出ない。
不在だ。
しょうがない、伝票を一枚書いて、荷物を持ち帰ろう。
そう思いながら玄関を見ると灯りがうっすらもれている。
(これ誰かいるんじゃねえ?)
そう思い玄関に近づき、ドアをノックノック。
「ごめんくださーい」
ドアノブを捻った。
ガチャリ
ドアは開いた。
土間は塗れていた。
人の出入りの気配を感じた。
中に入り玄関でもう一度、今度は大きめの声で言った。
「ごめんくださーい」
反応は無い。
雨の音が外から聞こえていた。
廊下の奥をよく見ると、足の指だけが見えた。
白い靴下をはいた親指。
うつ伏せだった。
あわてて靴を脱ぎ、廊下の奥にすすんだ。
「だ、大丈夫ですか」
そこには背中一面が血で真っ赤に染まった老婆が倒れていた。
信号に立っていた老婆。
確認した次の瞬間、背中に痛みを感じた。
「うっ・・・」
何度も何度も。
倒れながら後ろを見た。
そこにはナイフを手にした男がいた。
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