大倉草紙

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【大阪】  向井潤吉展-風土をみつめる旅- (伊丹市立美術館)ほか

2008年11月19日 23時26分01秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
本日の行程:(大阪市営地下鉄・淀屋橋駅) → 【酒器に酔う-東アジアの酒文化(大阪市立東洋陶磁美術館)】 → (大阪市営地下鉄・淀屋橋駅~梅田駅…阪急・梅田駅~伊丹駅) → 【旧岡田家住宅、旧石橋家住宅(伊丹市立伊丹郷町館)】 → 【2008伊丹国際クラフト展[酒器・酒盃台](伊丹市立工芸センター)】 → 【生誕200年記念ドーミエ★人間喜劇(伊丹市立美術館)】 → 【柿衞文庫小企画展 山陽の柿・子規の柿(柿衞文庫)】 → 【向井潤吉展-風土をみつめる旅-(伊丹市立美術館)】 【有岡城跡】




向井潤吉は、日本の古い民家を数多く描いている。
異常なまでに民家ばかりを描くようになったのは、戦後のこと。
戦時中、爆撃を受けて民家が失われていくのを見たり、聞いたりしたことが影響したのだという。



「春塘」(埼玉県川越市郊外)〔昭和59年(1984)〕

陽に照らされ、桃色に染まった木の枝と空が美しい。
残雪が見える。
まだ寒いのだろうが、画面全体の柔らかな色合いから、春の訪れを感じることができる。



「微雨」(長野県木曽郡南木曽町妻籠)〔昭和49年(1974)〕

霧に霞む山がいい。
背を向けて向こう側へと歩いていく人がふたりの衣服と、家の入口に広げられた傘の色がアクセントになっている。



「秋酣」(福島県南会津郡南郷村)〔昭和48年(1973)〕

季節は、ちょうど今頃だろうか。
紅葉が見事だ。

夏の民家も一枚。

「草原六月」(北海道厚田郡厚田村聚富村)〔昭和42年(1967)〕

地名を見ると、民家を求めて、日本全国を歩き回っているのが分かる。
戦後のことだから、画家が描こうとする民家は、もの凄い勢いで失われていったに違いない。

民家を描いた作品のうち数点には、画家が同じ場所を撮った写真とが並べて展示されていて、おもしろい。
構図を変えてあるもの、描かれていないものを見つけることは、画家の理想とした民家の姿を見つけることでもある。



「泉(アングルの模写)」〔昭和4年(1929)〕

向井潤吉は、昭和2年(1927)に渡仏している。
そのときにルーヴル美術館で模写した作品も展示されている。
のちに、昭和34~35年(1959~60)にかけて渡欧したときに描いた作品もあった。
「私の視覚はいつの間にか日本的に訓練されてい」る、と解説にあったが、その通り、描かれているものはヨーロッパの風景に見えない。
中途半端な感じがして、やはり、この人は、日本の民家がいいな、と思う。


ほかに見たものを箇条書き程度に。



「生誕200年記念 ドーミエ★人間喜劇」は、伊丹市立美術館の地下1階展示室で開かれていた。
風刺画が並ぶ。
洋梨が多く登場するが、これは、風刺雑誌『カリカチュール』を主宰していたシャルル・フィリポンの考案によるもので、「洋梨(poire)」には「バカ、まぬけ」の意味があるのだという。




柿衞文庫では、「柿衞文庫小企画展 山陽の柿・子規の柿」が開かれていた。
「柿衞」とは、「柿を衞(まも)る」という意味らしい。
頼山陽は、台柿の美味しさに感動して「柿記」を著したという。
子規の柿はいわずもがな。
柿にまつわる作品が紹介されていた。


高橋草坪「台柿図」

展示されていたのは複製だったが、枝のうねりと真っ赤に熟した柿が印象的だった。
同じく複製ではあったが、田能村竹田画・頼山陽賛「柿記」も色合いが素晴らしく、よかった。



庭園には、「頼山陽遺愛の柿」がある。
これは、二世。




伊丹市立工芸センターでは「2008伊丹国際クラフト展[酒器・酒盃台]」を観る。
チラシにあるのは、大賞作品・松本由衣「オスミツキ」。
備長炭と漆を使った作品。
見た目の美しさだけではなく、備長炭を用いて酒の味も良くするといった気遣いもあって、酒好きには嬉しい。



旧石橋家住宅

江戸時代後期に建てられた商家。
平成13年に県指定文化財に指定された。



旧岡田家住宅(店舗・酒蔵)

江戸時代、延宝2年(1674)に建てられた町屋。
平成4年に国の重要文化財に指定された。
酒造りの道具の展示や、伊丹の酒造造りの歴史についてのビデオの上映もある。



旧岡田家住宅・店の間

天井は黒漆。
ぜいたくなつくりだ。

きょうは、酒器をたくさん観たし、酒蔵であった旧岡田家も見たし、一杯飲みたい気分だ。
帰りに、白雪・長寿蔵で日本酒を買って帰る。


今日の歩数:11,067歩




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