『第2章 太く長く生きるための食べ方』の「市販の牛乳は錆びた脂である」を要約します。
油と並んで酸化の進んだ食物が、牛乳である。加工する前の生乳の中にはいろいろなよい成分が含まれている。炭水化物である乳糖を分解するエンザイムやリパーゼという脂肪を分解するエンザイム、プロテァーゼというタンパクを分解するエンザイムなど様々なエンザイムもたくさん含まれている。抗酸化作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用、免疫調節作用などの効果のある成分も入っている。しかし、市販の牛乳は、そうした「よいもの」は、加工される過程で全て失われている。
市販の牛乳が作られる過程
各農家から集めた牛乳は、大きなタンクに移し、かき回して「ホモゲナイズ」(=均等化)する。これは、生乳に含まれている脂肪の粒を均等化する作業。生乳には約4%の脂肪が含まれている。その脂肪は、脂肪球と呼ばれる粒として存在し、比重が軽いので浮き上がってくる。それを防ぐために、現在は機械で細かく砕く工程が加わっている。この作業で、生乳に含まれていた乳脂肪は、酸素と結びついて「過酸化脂質」になる。これは、酸化し過ぎた脂肪なので、「ひどく錆びついた脂」ということになる。
次に、そのホモゲナイズされた生乳は、加熱殺菌される。世界の主流は「高温短時間殺菌法」(72℃以上で15分間以上加熱し殺菌)だが、日本の主流は「超高温短時間殺菌法」(120~130℃で2秒間or150℃で1秒間加熱し殺菌)。
生乳に含まれているエンザイムは、熱に弱く、48℃から破壊し始め、115℃で完全に壊れる。例え、どんなに短時間であるとしても130℃もの高温では完全に失われてしまう。また、超高温にさらされることによって、過酸化脂質の量はさらに増加する。そして、更なる問題は、タンパク質が熱性変質する。卵を長時間ゆでると黄身がボロボロになるが、牛乳のタンパク質にも同様な変化が起き、熱に弱い成分ラクトフェリンという成分も失われる。このように市販の牛乳は、健康を阻害する食物になってしまう。