この映画には、2018年9/15、75歳で他界した樹木希林さんが登場するという。全身がんで余命宣告され、体調不良の状況で最後の最後まで仕事をした人です。普段あまり映画館にいくことがありませんが、「この映画は、映画館で集中して見よう!」と、以前から決めていました。
視聴後、感動したり、共感したり、学んだことが多くあり、自分の想いや感想、気付いたことを書こうという気持ちが高まりました。しかし、このような感想文的なことは、私の場合まとまりのない文章で終わりそうです。ま、現時点で頭にめぐることを、少しは整理し書いておくこともいいか!、と考えトライすることにしました。 さて、私の関心事は、
❶ 先生の人柄や茶道の指導法、点前をはじめ茶室・茶庭や諸道具など
❷ 本テーマな何か~映画の中でどのように表現するか
原作は、エッセイスト森下典子さんが約25年間通った茶道教室での体験や感じ考えたこと、心の変化、そして手ほどきをしてくれた師匠からの教えなどを綴った
”日日是好日~お茶が教えてくれた15のしあわせ”
🎥 STORY】
武田先生のこと 樹木希林さんが演じた武田先生の人柄や茶道に対する指導法について考えてみることにしました。合わせて樹木さんの劇中の演技についても触れたいと思います。
❶ 主人公の典子が25年もの間、一人の先生から茶道を学び続けることができたということから、武田先生の人間的にもすばらしい人柄を推察することができます。何事も一つのことを続けて学ぶには、その人の考えや環境などの変化で難しいことがあります。また、どのような師匠と出会うかも。まず、典子にとって武田先生は、信頼できる人格者で、タイムリーにお茶の魅力を的確に教えてくれた先生だったと思います。
❷ また、武田先生を演出した樹木さんの演出も上手だったのですが、先生は茶道について造詣の深い人にも関わらず指導するところは徹底して指導しながらも、謙虚で、偉ぶらない、そして温かみのある姿に大変好感をもちました。
❸ 茶道は、季節の変化や年中行事などをお稽古や茶事に組み入れて行います。例えば、春から秋にかけて風炉を使い、晩秋から冬の終わりまで炉に切り替えたり、床の間には、季節や行事などにあわせた掛け軸や茶花を飾ります。そして、抹茶を飲む前にいただく菓子をはじめ菓子器も季節や目的に応じたものを用意します。毎日、毎週、毎月、毎年そのトキ・時季が来ると精一杯気を配り、準備をし、客をもてなすのです。これは好き=数寄(すき)でなければできません。先生にとっては、長い間茶道に携わってきて茶道が生活の一部であり、茶道をこよなく愛している人だからできることでしょう。
❹ 武田先生=樹木希林さんのお点前ですが、茶道経験がなく、本役を引き受けてから始めたとのことです。ところが、劇中のお点前の様子や割り稽古の指導の場面から、今まで何十年と教えてきた大先生!と変わりなく、「さすが大女優だなあ!」と、感心させられました。
つくばい~手水鉢
映画の場合、カットの連続で撮っているにしても、座位、歩き方、構え、所作ごとの動き、一つの動作を終え次の動作に移る間のとり方、かつ、お茶に関する指導場面など、全く違和感なく見ることができました。どの流派でもそうだと思いますが、部分的に強調したり派手な動きをせず、さらさら水が流れる如く!ーといったお点前がよしとされているかと思います。特に武田先生の流派は、「わび茶」をより追求していますのでこのことがよく表れているかとー。