ここからは、第3章 『この習慣が健康な体をつくる』の「病気の大半は遺伝よりも習慣に原因がある」を要約します。これは、私の好きな、「氏より育ち」を思い出し、重ねながら読みました。
病気になる人には、それだけの理由がある。食生活が乱れているか、食べ方が間違っているか、または生活習慣が乱れているか、あるいはそのすべてということもある。
アメリカでは1990年から、がんの発生率、死亡率が減少傾向にある。これは、アメリカ議会で報告された「マクガバン・レポート」を機に、政府が揚げた「食生活のガイドライン」が、少しずつ定着してきたからだと思う。しかし、アメリカ人の全ての人が良い食事をしているわけではない。現在のアメリカでは、社会的なレベルの高い人ほど真剣に食生活の改善に取り組んでいる。そのため、経済力のあるいわゆる「上流」のアメリカ人の食生活は、今はヘルシーになってきた。そのため、太っている人もあまりいない。
なぜ上流の人と庶民の間に差ができてしまったのか。一つは、コストの問題がある。野菜物を購入する際、フレッシュで農薬や化学肥料を使っていないものを選ぼうとすると、コストがかかる。もう一つの要因は、アメリカの場合、知識力と経済力が正比例しているからと考えられる。食事が病気の原因になるという情報を得たとしても、その意味の深刻さをきちんと受け止め、自分の生活に反映させるには知識力が必要である。その結果、今のアメリカでは健康な富裕層と不健康な庶民層に分かれつつある。この傾向は、ますます強くなっていくのでないか。なぜなら、今後それぞれの階層では今までの食生活が「習慣」として受け継がれていくから。
確かに、中高年になって、親と同じ病気を発症する人はたくさんいる。「親が○○だったから仕方がない。うちは○○の家系だ」という人がいる。そんなことなない。遺伝的要素はゼロとは言わないが、最大の原因は、親が病気になった原因である「習慣」を受け継いだからである。
子供は、育った家庭の習慣を無意識のうちに刷り込まれて育つ。食べ物の好み、調理法、生活サイクル、価値観などは家庭によってそれぞれ違うが、同じ家に育った親と子とではとても似ているもの。すなわち、子供が親と同じ病気を発症するのは、病気の原因となる生活習慣を受け継いだ結果である。
よい食材を選ぶ、よい水を選ぶ、規則正しい生活をする、薬は極力飲まない、そうした体に良い習慣を受け継げば、子供はそれほど苦労せずに健康を維持し続けることができる。しかし、逆に、酸化したものを平気で食べる、ミネラルウォーターを買ってまで飲むことはしない、具合が悪くなったらすぐ薬に頼る、不規則な生活をするなどの体に悪い習慣を受け継ぐと、子供は親よりもさらに不健康になってしまう。自分は今どのような生活習慣をもっているのか、それは良い習慣なのか悪い習慣なのか、きちんと見極めてから次世代に手渡す責任がある。