4月は甥孫の新1年生なので、お喜びに出かけて来ました。玄関を開けるとみなさんのお迎えがありました。孫が2人なので久々に賑やかさを満喫してきました。怪獣の懐かしいおもちゃがあって、44年前の我が家にいるような錯覚になりました、「ガメラ、エレキマン、」とあてずっぽうに名前をあげて喜ばれました。おかあさんが洋服を持って来て「この服を着せようと思っているのよ」と見せてくれました。その上下は甥の入学式にじいさまが若かりし日に縫ってあげた服でした。義妹が丁寧に37年も保存しておいてくれたものでした。心の底から嬉しかったです。茶の縞模様に左の胸ポケットには、黒の水玉模様のハンカチがちょこっと色を出していました。37年ぶりの再会にじいさまも感激しています。「下の弟と妹のところも男の子2人なので、あと3回出番があります。お陰様です」。新しさを求める人も多い中で、大切さを大事にされる家族に恵まれて、じいさまの職人が今でも生きているようで感謝に限ります。人生最高のプレゼントを、最後に頂いた気持ちになりました。
この3日間は親戚廻りの、お墓参りに出かけてきました。家族の一人が病に侵されると、家族まで病寸前まで追い込まれます。気仙沼でお母さんはご主人を見守るだけですが、しばらく実家へ行ったことがないと言うので、外食をしながら連れて行くことにしました。バイバスからの入口が分からないと、変わり果てた道路にパニクっています。落ち着かせながらゆっくり進みます。「ここから下に降りて」というものの、道幅がぎりぎりです。「庭でまわれる?」「大丈夫」を信じて入ると、庭には車があって、切り替えしを何回もなので、じいさまを心配しました。お茶を頂いて周りを拝見して驚きました。柱や鴨居は1尺もあるケヤキでどっしりと構えています。「うちの木だ、今こんな大きな家はいらない」とこぼしますが、立派なお屋敷には重さを感じました。彼女のお兄さん夫婦にも歓迎して頂き、兄弟に恵まれていて、彼女は一人じゃないと安心しました。帰りにはつぼみ菜から、珍しい食品を頂き申し訳なかったです。彼女は念願かなって喜んでくれました。女の人はどの人もですが、家を守るのに一生懸命で美しいと思いました。
糖尿病になったじいさまは、去年と違って自分で仕事を見つけて動くようになりました。朝は必ず掃除機をかけてくれます。朝食後はゆっくり休んでから、散歩か畑に行くようになりました。昨日畑に行った時のことです。おやつをバックに入れて木の枝に掛けて仕事していました。お茶にしょうとバックをみたら、下に落ちていて袋に入っているお菓子は、持ち去って行ったと呆れていました。わたしにも経験があります。チョコレートだったことの悔しさが今でも覚えています。マヌケな夫婦だとカラスは思ったでしょう。共生と言われれば立派ですが、黙っての持ち逃げだけは、70過ぎても許せない気持ちになります。今日の午後は、じいさまは病院です。畑へはわたしだけで、バックは小屋の中に入れておきました。杉の木のてっぺんで、カラスが嫌がらせのようにいつまでも大きい声で鳴いていました。春の穏やかな1日です。
じいさまが6時半に起きてきて、寝ているわたしに「おきろ!、朝だぞ」「?」。起こされて時計を見ると、いつもの起きる時間と違いました。「いつもより早いよ」「ありゃ?!、いいんだこんな日があっても」。わたしだったら嫌な顔をされるに違いないと、布団をあげました。この間、ようやく病名がはっきりしたばかりです。不治の病に判をおされたばかりで、その関係もあるかと口を閉ざしました。病名の入口に入ったばかりで、この先は手探りの生活が始まります。今まで先生に相談した時には、「年相応です」と説かれました。寄り添うことしかできませんが、手だけでも離すまいと心に決めました。そして、あやふやな生活に動じない自分でありたいと思いました。舅が「ぜひ、息子に」と朝一番の電車で、直談判に来られましたから、大事にされて今日まできました。いろんなことがありましたが、穏やかな日々を送れたら、わたしは後悔しないのではと律する一心です。3年前に入院している兄の所に、義姉さんを次男が病院に連れて行った時に、「がんばらいよ」と言って、自分が兄より3週間前に亡くなってしまいました。順序より今日を大事に感じながら、生きたいと思った1日でした。
今日のじいさまは、平泉公民館で行われる「アクセサリー作り」に挑戦しました。新聞を読んでその気になり、こっそりと申し込んだのです。車で1時間ぐらい乗るので、助手に付いて行きました。じいさまが公民館で、受講見学の良し悪しを聞きましたら軽く断られました。受講生の年代を聞いた所、「シルバーの方もいますよ」と聞いて、喜んで車に戻って来ました。老人でもなくお年寄りでもなく、シルバーと聞いて新鮮!フレッシュ!!と感激しました。80を目の前にまだ挑戦をと、後押しされたようで嬉しかったです。わたしは仕方なく近くにある温泉でゆっくりすることにしました。2時から4時まで、それぞれに楽しい時間を過ごしました。迎えに来て車に乗ると、ヤコウガイの侯爵が30分も興奮が伝わるくらいにお喋りしました。雰囲気もよろしく、楽しかったと聞いて安心しました。ペンダントを渡しながら、はにかみながら「ほら、いいべ?」。いっぱいあるうちから選んだのは、丸いひし形で貝の中に緑色が葉の形に見えます。シルバー女に合わせて派手でもなく、頷くぐらいの有難さです。でも、もう少し手渡す時に、気持ちが欲しかったなーと思いつつ、これがじいさまなのだと伏しました。