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New Yorkのジャズピアニスト、クニ三上(Kuni Mikami)のブログ

ツアーの様子を中心にお伝えしています。

丸瀬布・木芸館

2011-06-06 23:42:00 | 2011年スプリングツアー
 旭川郊外にある「Hana悠」という素敵なレストランに立ち寄る。店内にピアノがあるので下見をさせてもらい、すぐに帰る予定であったが、美味しそうなメニューを見て10個限定の日替わり膳やチーズカツドンを注文することに。

 食後は緑と春蝉の鳴き声に囲まれながらテラスでコーヒー、満足しての帰り道、すぐ傍に牧場を発見、そこでアイスクリームやプリンを味わう。


Hana悠さんの庭



テラスにて一服


1曲弾かせてもらいました


近くの牧場にて


 北海道の東北部、網走と旭川の間にある紋別郡・丸瀬布に3時間で到着。北海道は道が整備されているから高速並みに飛ばせる。覆面パトカーに25分間尾行された(福森・談)。

 演奏会場の「木芸館」は天井が20m位ある円錐形の建物だ。内部の壁はグルリと組み込み式の木製のリリーフ、中央にグランドピアノ。

 ここを管理している隣にある北見木材は、ヤマハピアノの共鳴板を製作しているという。世の中、たくさんピアニストがいても、いつも弾いているピアノの重要部分の原産地を訪れる人は稀であろう。

 現在ではこの土地で採れる高品質の「赤エゾ松」は稀少になっているので、ロシアや中国材の輸入が多い。どうりで50年前のピアノの方が頑丈で響きも良いわけだ、当時は赤エゾ松が使われていたのだから。

 地元の「文化連盟」を中心とする「実行委員会」の皆さんお陰で満員のお客様。1600人という丸瀬布の人口の9%の人が駆けつけてくれたことになる。地元の歌手・岩上みゆきさんのボーカルが2曲入って、お客さんにも喜んで頂いた。

 宿舎の越後屋旅館での打ち上げでは「ホタテの稚貝」が供された。都会の料亭なら1貝幾らで取引きされそうなこの小型のホタテを「味噌汁」の具にしてしまう。これが美味なのは当然だ。

 150Km先のオホーツク海から、さっき水揚げされたばかりの稚貝を、漁師さんたちが地域の人たちに提供し、一般市場には出ない代物である。その上、料理の仕方も豪快、食べきれないほどの「酒蒸し」にした。


木芸館の天井はこのように高い


木芸館は山に囲まれている


ピアノ型の戸棚。鍵盤部を押すと上の人形が動きます


入口にて








一杯の客席




丸瀬布の歌姫、岩上みゆきさん




ホタテの稚貝の味噌汁と酒蒸


豊浦「いちご豚まつり」、旭川へ移動

2011-06-05 20:02:00 | 2011年スプリングツアー
 朝から周囲がとても賑やかである、それもそのはず、今日は近隣から3万人!もの観光客が訪れる、この町の年に一度の「いちご豚まつり」だった。

 朝10時、宿舎の横の海岸に面した広場に出ると沢山の人が3千箱(4パック入り)用意された名物の「イチゴ」の販売コーナーの前に数百mの列を作っている。これではとても買うことはできない。夕べの打上げで頂いておいて良かった!

 200円で貸し出されるコンロを使って早速、「豊浦の無菌豚肉」のバーベキューを開始する人達もいる。プリプリのイカの丸焼き、ホタテの串焼き、朝からこの町は宴会気分である。

 うずたかく積まれた山芋やジャガイモは1袋に詰め放題で売られている。野外ステージでは学生の鼓笛隊やバンドが景気良くやっている。花火は上がるわ、大道芸人も来るわ、で年に一度の町おこしである。人々は、今日ここで元気をつけて明日からの日常に戻る。


宿泊先温泉「しおさい」のベランダで朝食


バーベキュー用に貸し出されているコンロ


イカの丸焼き


長いもはこのように売られている


このイチゴは1時間位でなくなるという


小学生のマーチングバンド


高校生のブラスバンド


豊浦の美しい海


 我々も祭を味わってから旭川に向けて出発、午後3時に到着。

 駅前のホテルにチェックイン後、私は「アイヌ記念館」を訪問。ここは大正5年に川村イタキシロマ氏が創設そして火災後に明治に生まれアイヌ文化の継承に努めた川村カ子ト(カネト)氏が私設再建した建物で、この地に住むアイヌの人々によって運営されている。

 数々の道具や生活用具が展示されているのだが、私にとって圧巻だったのは、敷地内に建つ「わらぶきの家」である。細かい土の敷かれた内部には横2m縦3mほどの囲炉裏、草が燻って煙を上げている。窓からの光線が暗い室内のその煙をクッキリと白く見せる。

 これを目にして、私は「生きること」の原点を考えさせられた。「食べ物を探し、獲得する行為」が昔の人々の生きる原点、あるいは「生きる」という意味だったのではないだろうか?冷蔵庫も無いから数日ごとに食物を探しに出かけねばならない。人は、たくましくなければ生きていけなかった。

 数年前に航空写真が発表された「周囲と隔絶してアマゾンの密林に住む種族」のことを思い出した。彼らは現在も密林で暮らしている。

 この「何かの思考を促す囲炉裏の煙」はどんな博物館でも見ることはできないはずだ。
 長い黒髪を後ろに束ねた女性にアイヌの文化について色々と質問し、マレウレウやトンコリ(立琴)による音楽についても教えていただいた。


旭川のジャズマン




アイヌ記念館にて


北海道豊浦町・とわにー

2011-06-04 23:29:00 | 2011年スプリングツアー
函館から3時間、豊浦町の地域交流センター「とわにー」にはグランドピアノの設置された立派なステージがある。人口4千人のこの町には、全国に数校しか存在しない私が関心を持つ「シュタイナー学校」がある事を知ったのは昨年である。

 町に入ると、食堂にも道の駅にも我々のポスターが貼ってある。昨年に引き続き「豊浦とわにー倶楽部」の主催で、商工会や豊浦ミュージックプッシュの方々が、集客はもちろん、会場の準備から舞台のPAや照明、受付まで、皆さんでそれぞれ担当してくださった。

 土曜の昼なので子どもから年配者まで、幅広いお客さんに音を楽しんで頂くことができた。

 打上げは北海の海の幸の数々、それにコンサート終了後に摘んできたという、この町の特産イチゴ。温泉にも入って旅の疲れも癒された。若者たちは、遅くまで二次会が続いたようである。


町の食堂でお昼を食べたら、レジにはポスターが貼ってあった!


控室にて


皆さんが忙しく準備中






さっき摘んできたイチゴ


ソイのしゃぶしゃぶ


ホタテの稚貝


打上げで皆さんと


函館・想苑

2011-06-03 23:37:00 | 2011年スプリングツアー
 「想苑」は私が高校時代に学校に行かずに通った渋谷のジャズ喫茶を思わせる懐かしい感じのする店だ。

 函館公園が目の前にあって、店の右半分はオーディオスペースとライブスペース、左半分はブティックのように洋服やアクセサリー、陶器も販売されていて、雑誌を読みながら美味しいコーヒーが飲めるモダンで綺麗なインテリアのカフェとなっている。

 オーナーご夫妻から「母の代から50年やっている」と言う話を聞いてビックリしていると、そこへ熟年のカップルが「まだこのお店あったんですね!」と入って来た。50年ぶりにこの店を訪れた、というから何たる偶然。「ライブなら、また今度来ます」とおっしゃる所をすかさず「お好きな曲を演奏しますよ」と声をかけて、聴いて頂くことに。

 満員のお客様のほとんどがジャズ好きなので、バリバリやる、モンクの曲までやった。先のカップルにはシンミリとテネシー・ワルツをプレゼントする。皆さん喜んでお帰りになったが、聴けばジャズを初めて聴いた人も何人かいたことがわかる。 

 宿泊の「チサングランド函館」はツインルームを独り占め、広くて清潔で4千円!お勧めである。






店の前にある函館博物館の旧館




目の前の函館公園は、想苑の庭のようである




カウンターの向こうがライブスペースになってます



移動日、北海道へ

2011-06-02 21:16:00 | 2011年スプリングツアー
 今日は函館に向かう移動日。

 昨晩遅く実家からの電話でいとこの訃報を知る。代々の歌舞伎の三味線弾き手で、私より2歳だけ年長で、今年の年賀に会ったのが最後となった。この先は彼の息子が名前を継ぐことになる。

 南三陸町で話をする機会のあった、畳にしがみついて生き延びた方の事などを思うと「人生とは?」と改めて考えさせられた。

 朝10時に出発、車で5時間、青森から青函連絡船で4時間、夜中の函館に着いた。



途中の秋田県鷹巣にある「大太鼓の館」にて