New Yorkのジャズピアニスト、クニ三上(Kuni Mikami)のブログ

ツアーの様子を中心にお伝えしています。

バードランド

2013-03-27 23:43:00 | New York
 今日は久しぶりに人の演奏を聴きにバードランドへ行く。超満員!それもそのはず今日ここでジャズを歌うのは八代亜紀さんである。

 ドラムのClarence Penn、ベースにはPeter Washingtonという中堅ベテランのミュージシャンをバックにFly Me To The MoonやSwayなど英語と日本語の両方で歌唱、彼女のハスキーな声はジャズにも向いている。しかも日本語と英語の両方でジャズを歌う。

 同年代の他の歌手達同様にクラブ歌手として出発した当時にも唄っていた曲なのだろう。クラブ歌手から演歌の大御所に、そして円環を成すように、ふたたび振り出しに戻った。その間の彼女の人生が垣間見られるステージだった。

 もちろんヒット曲も数曲、アメリカ人のバンドでの演歌はなかなか良い。私も青江美奈さん(晩年は彼女もジャズを唄ったな~)がNYに来た時に、日米混合でバンドを編成し伴奏したが、アメリカ人ドラマーのクリスピーなビートは演歌にも悪くない。

 八代さんは父親の好きなジャズと浪曲を聴きながら育ったという。彼女の演歌の歌い方は、のどから声を振り絞り押し殺す感じで、口を大きく開けて胸を開くオペラやジャズとは違って、浪曲に通じるものだ、と発見した。

 そしてゲストの一人はジャズ通なら誰でも知っているヘレン・メリルさん、82歳!まだまだ唄えます。二人でのYou’d Be So Nice To Come Home To は今宵しか聴けない1品であった。


京楽師匠

2013-03-14 17:47:00 | New York
前代円楽師匠の弟子の三遊亭京楽師がNYに来ている。最初にお会いしたのは今日と同じく私が理事を務めるNY日系人会の敬老会に出演した時だから、もう15年前である。

ジャズと落語には共通点が多い、とかねがね思っているのだが、実際に噺家さんと会話をする機会が持てるのは嬉しい。

今日は彼と一緒にミッドタウンのカフェで小時間を過ごすことが出来た。「ジャズにしろ落語にしろ、お客さんの反応を感じてストーリーを進めて行く点が似ていますよね?」と訊くと「受けていない、と思われるお客さんを対象にしていく」との返事である。

 私は一般向けコンサートの際は、前方に座り身体を揺らしてノッテいるジャズ好きのお客様を対象にして「もっとノラセよう」としていたのだが、なるほど、実はノッテいない人をノラセルようにする事が会場全体を考えれば、必要だったのだ!

 そして「その人を相手に分かりやすい言葉やギャグを選んで、進めて行く」という。なるほどジャズ初体験者も多い次回の日本公演で試してみたいアプローチである。

 さらに「演者の年齢に応じて 落語の登場人物の一人を選んでキャラクターをふくらませていけるのも落語の深さです。」などとコーヒーを飲みながら面白い芸談を満喫させて頂いた。

 京楽師匠、続けてアトランタとボストンでも口演するとの事。