New Yorkのジャズピアニスト、クニ三上(Kuni Mikami)のブログ

ツアーの様子を中心にお伝えしています。

宮城南三陸・ファームステージ風の宿「被災地無料コンサート」

2011-05-31 23:12:00 | 2011年スプリングツアー
 今や震災被害地としてすっかりその名を知られた宮城県南三陸町にある「ファームステージ風の宿」へ。途中の仙台駅は震災の影響が無かったかのような平常の賑わいであった。南三陸町へ続く高速道路も特に支障は無い。周りの緑の山々が守ってくれたのだな、と思う。この山の樹々を乱伐したら災害時には土砂が出て大変な事となる。

 しかし海岸の町に入った途端、そこはテレビで放映されていたのと同じ瓦礫の山であった。震災から2ヶ月半以上たった今でも、ビルの屋上からはみ出している車が見える。この高さまで波にさらわれたのだろう。しかし高台や今日の演奏会場のように山の上の建物は無傷である。その対比に驚かされる。





 会場までたどり着くのが難しかった。震災被害の影響ではなく、住所を探し当てられない。2台あるカーナビは、1台が行き止まりの細道、もう1台が存在しない山道を示す。大きなワゴン車を細い田んぼ道で何回もUターンさせながら困っていると、パトカーがやってきたので尋ねたら先導してくれるとの事、ありがたし、と付いて行ったらパトカーも迷っている。よく見たら「群馬県警」と車体に書いてある・・地元の警察ではなかったのだ。運良くコンサートを聴きに来た知人の車と遭遇、親切に先導してくれるパトカーにお礼を告げて別れ、知人に案内してもらった。


群馬県警のパトカーに先導される


 ここは「フォルテッシモな豚飼い」という面白い題名の著書のある元報道写真家・杉田徹さんの、放牧しながらの養豚場。地域の人々が、しがらみなく集い、良い音を楽しみ、良い味を楽しみ、という趣旨で作ったグランドピアノのある空間だ。

 この町は今も水道が出ずに不便を強いられているが、山の方にあるこの集落は、以前から水道ではなく沢からの水を使っているので支障がないという。ここに今日は、避難所から、あるいは仮設住宅から、それにボランティアで南三陸町に入っていて来てくれた人……と人々が集い、コンサートとその後の飲食のひと時を楽しんだ。

 杉田氏から「3人のさえずりを楽しみました。」という嬉しい感想を頂く。皆さんにも喜んで頂けたようで、販売したCDを買ってくださる際に「今はもう買いたいものがない。でも今日はコンサートを聴き、このCDを買いたいと思って買います」というありがたい言葉も頂く。

 コンサートの終わりに自宅を失った方々に、これまでの演奏会場で募ってきた義援金を一人ずつに手渡す事が出来た。

 「来年もぜひ」というありがたいお誘い。1年後のこの町の蘇生を期待しながら、コンサートを終了。


放牧されている豚たち




水を飲んでます


始まった時間、窓の外は緑があふれています


途中から真っ暗になった


演奏後、家を流された方たちに義援金を渡す横田


翌朝。この風景にかえって癒されてしまいました


杉田夫妻(徹さん、あっちゃん)と


これが風の宿全景




大移動

2011-05-30 17:06:00 | 2011年スプリングツアー
5月29日高知から名古屋まで10時間!!名古屋泊。

5月30日名古屋から東京へ戻るが自宅へは寄らず、今日までの橋本学のドラムを降ろし、明日からのドラマー・福森康のドラムを積み込み、栃木のホテルへ。

 この二日間はなかなか大変な移動日であった。


高知・高知大医学部付属病院/宿毛・文教センター

2011-05-28 14:47:00 | 2011年スプリングツアー
 昼は高知大医学部付属病院でのコンサート、今年で4回目である。広い受付ロビーにステージを設け、ピアノを運び込んでいただいての演奏会。患者さんと一般の方々に無料で音楽を楽しんでもらう病院側の企画だ。今年は大学生のバンドやダンスも参加して、文化祭の様相である。

 すぐ近所に隠れ家的レストランを経営するタキさんとオパさんから手作りピザの差し入れがあった。

 2時に終了。残念ながら我々の後に出演する学生たちのパフォーマンスは見る時間がない。皆さんに手伝って頂いて急ぎ片付けて、夜の演奏地・宿毛へ向かう。












 5時に到着した宿毛文教センターは舞台のあるコンサートホールで、ピアノはスタンウェイである。

 3年前にもお世話になった石崎さんはピアノの先生で音楽教室を持っている。前回一緒にお世話になった石崎さんのご主人は昨年病気で亡くなったそうである。まだ若かったのに驚いた。その後東京にいた息子さんが戻って来て、今回は息子さんが照明などを手伝ってくださった。この息子さんも今はホテルで働いているが、音大ピアノ課出身である。

 生憎の雨だったが、石崎さんのお陰で音楽好きの方々が多く、ジャズのリクエストもたくさん頂いたし、CDもよく売れた。

 先日宿泊した「みどりのおうち」のご夫妻が友人達と4人でいらしてくれて差し入れも頂いた。

 演奏後のお疲れ様の会で、石崎さんにご馳走になった旬のかつおが美味であった。








かつおのたたき


こちらはかつおの刺身

香川丸亀・ピアノカフェルフラン

2011-05-27 22:56:00 | 2011年スプリングツアー
 昨年も演奏したこの洒落たカフェにはエレクトーン3台、ピアノ2台、ドラムと各種パーカッションが置いてある。それもそのはず、オーナーのエンドラ・細川さんはボーカリスト、このカフェでは音楽教室も開かれているし、東日本震災の義援金チャリティコンサートも行われるなど、この地の音楽文化振興の拠点となっている。

 お陰で音楽好きのお客様が多く、子どもも来ていて楽しい雰囲気となった。






ベースの池田、パーカッション奏者となる




高知「細木ユニティ病院」「かるぽーと」

2011-05-25 23:59:00 | 2011年スプリングツアー
 高知・細木ユニティ病院での演奏は3回目、ここでは毎月演奏会が行なわれている。多目的ホールにあるスタンウェイのグランドピアノの音色は丸くて、強弱が付けやすい。

 皆さんの知っている「アンパンマン」や「愛の讃歌」のジャズ風アレンジを演奏、最後に「上を向いて歩こう」を合唱する。

 一番前に座って、曲に合わせて歌う人もいるし、車イスの人たちが曲に合わせて足の先を少し動かしながら聴いてくれているのも嬉しい。






上を向いて歩こうの合唱


花束贈呈


作業療法士さんたちと記念撮影


 夜は高知市「かるぽーと」の小ホールでのコンサート。響建設の丁野夫妻のご尽力によるコンサートもこれで3回目となる。

 ロビーには高知近辺の4軒のカフェが出店、開場前と休憩時に軽いつまみと飲み物を楽しむという洒落た趣向である。フードコーディネーターSUMI氏が、若者たちが経営する、それぞれこだわりのある店を選んだという。

 ホール内も小さなテーブルにテーブルクロスをかけてキャンドルを飾り、ニューヨークのライブハウスを髣髴とさせる。

 細木病院で聴いて「良かったから」、とここにも来てくれた人もいる。当日券で来た方も多く百席を超えた。

 音響も抜群のホールに、カワイのピアノも良い音で鳴ってくれて、何もないフラットなスペースがお洒落なジャズバーとなって、皆さんにも喜んで頂いた。


カルポート入り口にて


一番後ろが丁野夫人


この壮大な建物を見よ




客席の様子